WindowsもUbuntuもオペレーティングシステム

Windowsは世界のパソコンで最も多く使われているオペレーティングシステムであり、デファクトスタンダードに近いポジションにある。さまざまなアプリケーションやシステムがWindowsを前提として開発され、使われている。パソコンを活用する上で欠かすことができないのがWindowsだ。

Windows 11

ところで、Ubuntuもオペレーティングシステムだが、サーバやアプライアンス、組み込み機器などで使われることが多い。日本においても人気の高い多いオペレーティングシステムの一つで、Webアプリケーションといったソフトウェアの開発を行っていたり、Webサービスの開発運用を行っていたりするエンジニアやオペレータにはなじみのあるオペレーティングシステムだ。

Ubuntu 22.04 LTS

パソコンを使う上でWindowsは欠かすことができないのだが、WebアプリケーションやWebサービスまたは現在の企業システムの開発にあたってはUbuntuのようなオペレーティングシステムの存在も欠かすことができない。どちらも使いたい、これがソフトウェア開発者やビジネスマンの需要だ。

同時に使うことは可能?

パソコンで同時に動かすことができるオペレーティングシステムは基本的に1つだ。

パソコンのハードディスクを複数の領域に分割して複数のオペレーティングシステムをインストールすることで、複数のオペレーティングシステムを実行することはできる。しかし、同時に実行できるのは1つだけだ。

パソコンの起動時にどのオペレーティングシステムを使用するかを選択することで、そのオペレーティングシステムを使うことができる。別のオペレーティングシステムを使おうと思ったら、パソコンを再起動してオペレーティングシステムを選択するところから実行し直す必要がある。

1つのパソコンで同時に2つ以上のオペレーティングシステムを使おうと思ったら、仮想環境を使う方法が現実的だ。ソフトウェアを使って仮想のパソコンを作り上げ、そこで別のオペレーティングシステムを実行する方法だ。

Microsoftはその目的でHyper-Vという技術を有している。サードパーティ製ソフトウェアとして、VMwareやVirtualBoxを使うという方法もある。Windowsを使いながらUbuntuを使うというのは技術的には実現可能だ。

Windowsと同時にUbuntuをもっと簡単に使いたい

Ubuntuはgrep、sed、awkといった便利なコマンドが最初から利用できる。パッケージ管理システムは充実しており、欲しいコマンドもすぐにインストールできる。Windowsで同じコマンドを使う方法はいくつかあるが、それとは比較できないほどUbuntuは恵まれた状態にある。

仮想環境を使えばWindowsを使いながらUbuntuを使うことはできるのだが、できればWindowsからシームレスにUbuntuを使いたい。仮想環境を使う場合にはどうしても仮想環境とWindowsの間に隔たりが生まれてしまうのだ。これをなくしてWindowsでもUbuntuのコマンドを使いたい、Ubuntuのサーバ、Ubuntuのデータベースを使いたい。

MacにはFreeBSDというオペレーティングシステムのコマンドやそれ以外の有名どころのコマンドが最初から搭載されているので、この点は不満が少ない。Homebrewというパッケージ管理システムを使うことでUbuntuと同じようなこともできる。ようするに、Windowsもこれと同じ状態になって欲しいのだ。



WindowsでUbuntuを動かす技術「WSL」登場

現在のWindowsはUbuntuをWindowsで実行する機能を提供している。この機能はWSL (Windows Subsystem for Linux)と呼ばれている。技術的には仮想環境でUbuntuを動かすというものだ。

WSLと仮想環境の違いは、WSLがUbuntuなどのオペレーティングシステムを実行することに特化していることと、Windowsと高い親和性を実現するための機能が統合されている点にある。ユーザーから見ると、Microsoft StoreからアプリケーションをインストールするようにしてUbuntuをインストールすることができる。まるでアプリケーションだ。

Windwos 11 - PowerShell / Windows Terminal

WSLを使って動かすUbuntuはWindowsによくなじんでいる。Windowsのターミナルから直接Ubuntuのコマンドを実行することができるので、仮想環境が動いているとは思わないかもしれない。

Ubuntu 22.04 LTS on WSL

Microsoftは現在もWSLの開発に取り組んでいて、UbuntuとWindowsの垣根はもっと低くなっている。Ubuntuのいろんな機能が直接Windowsから使えるようになっているのだ。

WindowsでUbuntuをはじめよう

Ubuntuはインストールするのも使い出すのも簡単だが、それでも自分でインストールして利用できる状態にするのは、今のエンジニアには慣れない作業になっているように思う。

現在ではWebブラウザやアプリからボタン1つで便利な環境がポンと生まれる状況だ。自分でオペレーティングシステムをインストールして使うというのは、だいぶ行われなくなったように見える。

そこで注目すべきはWindowsだ。今のWindowsはUbuntuを簡単に利用できる。世界で最も使われているパソコンのオペレーティングシステムで、アプリケーションレベルの容易さでUbuntuをインストールして使うことができる。

本連載はこんな感じでWindowsのWSLを使ってUbuntuを使っていく方法を紹介する。これまでUbuntuといったLinuxディストリビューションを使ったことがない方を主な対象とする内容だが、WSLだとどんな風にLinuxが実行されるのか知りたいという方にも参考になる内容にまとめていこうと思う。新しいソフトウェアを利用するきっかけになってくれれば幸いだ。

○参考

Windows Subsystem for Linux Documentation | Microsoft Docs

What is Windows Subsystem for Linux | Microsoft Docs

Install Linux on Windows with WSL | Microsoft Docs

Basic commands for WSL | Microsoft Docs

Run Linux GUI apps with WSL | Microsoft Docs

Get started using VS Code with WSL | Microsoft Docs

Set up Node.js on WSL 2 | Microsoft Docs

Advanced settings configuration in WSL | Microsoft Docs

Add or connect a database with WSL | Microsoft Docs

Comparing WSL 1 and WSL 2 | Microsoft Docs

Manual installation steps for older versions of WSL | Microsoft Docs

Set up a WSL development environment | Microsoft Docs

Install Linux Subsystem on Windows Server | Microsoft Docs

Troubleshooting Windows Subsystem for Linux | Microsoft Docs

FAQ's about Windows Subsystem for Linux | Microsoft Docs