阪神・藤浪晋太郎【写真:荒川祐史】

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9回に4番手として登板し1回無失点、最速158キロをマークし球場は大歓声

■西武 2ー0 阪神(交流戦・31日・甲子園)

 阪神の藤浪晋太郎投手が5月31日、本拠地で行われた西武戦にリリーフ登板。9回に4番手としてマウンドに上がり1回無安打無失点に抑えた。甲子園が大歓声に包まれた右腕の復帰に現役時代に阪神、ヤクルトなど4球団で計21年間捕手として活躍した野球評論家・野口寿浩氏は「球場の空気を変える投手はそうそういない。0点で終われたことが収穫」と、中継ぎでの活躍を期待した。

 藤浪の出番は2点ビハインドの9回。先頭・外崎に対し初球・157キロをマークすると球場は大きな拍手が起こった。フルカウントになり粘られるも最後は144キロのカットボールで空振り三振。続く滝澤には四球を与えたが、岸の打席で一走・滝澤が飛び出し長坂の一塁牽制で憤死。最後は岸を二ゴロに抑えた。

 この日の直球は最速158キロをマークし、カットボール、スプリットを駆使し、結果的には1回無安打1四球無失点に抑えた。ストライク、ボールがはっきりする場面もあったが「それが藤浪。今の立場は結果を出すことが全て。走者を出しながらも無失点で抑えたことは良かった」と野口氏は評価した。

「今後の課題は連投した場合、いかに球数を少なくしていくか」

 今シーズンは新型コロナウイルスに感染した青柳の代役として開幕投手を務めた。その後も先発として3試合に登板したが0勝1敗、防御率6.00の成績を残したが新型コロナウイルスに感染し4月13日に登録を抹消。療養期間を終え2軍では5試合に登板し防御率0.53をマークしていた。

 中継ぎでの復帰登板となったが野口氏は「今の先発陣は盤石で、無理やり先発させるのは得策じゃない」と指摘。今後についても「本人は先発の思いがあるが、勝ちパターンに入ることを目指して行けばいい。この日の登板でもリリースに力が集約しされており、力感も凄く良かった。今後の課題は連投した場合、いかに球数を少なくしていくかになると思います」と口にする。

 この日は1球ごとに球場が沸き、改めて藤浪の存在感を示したともいえる。チームは自力優勝が消滅したが、まだまだ浮上する可能性は十分に残っている。待望の復帰を果たした剛腕がチームの流れを変えたいところだ。(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)