【漫画】「非常識でしょ！もう限界」LINEのプロフィール画像を前妻にしたアスペルガー彼氏に、彼女ブチギレ
アスペルガー症候群(自閉スペクトラム症)と診断されたご主人とのちょっとユニークな日常生活をInstagramで発信している、ちくわさん(@chikuwa_bloger)。彼女のコミックエッセイ「好きになった人はアスペルガーでした」は、ちくわさんとご主人の出会いから、沸きあがる違和感、まさかのカミングアウトを経て、それを受け入れ結婚するまでを描く。今回のテーマは「違和感が爆発した日」。
【漫画】アスペルガー彼氏の「ずれた」言い訳に、彼女がブチ切れた話
子供のような無邪気さや裏表のない言動に好感を抱き、テニススクールの担当コーチ(のちのご主人)と交際を始めたちくわさん。だが、その直球すぎる傾向は実はアスペルガー症候群の特性によるものだった。そのことを知らないちくわさんは、一般の常識から外れた言動を繰り返す彼に対して次第に違和感を募らせ、ストレスを抑えきれなくなっていく。
■「違和感が爆発した日」
とくにちくわさんを悩ませたのは、彼の別れた妻への嫉妬。空気が読めないアスペルガーの特性もあり、彼は現在の彼女であるちくわさんの前で、平然と前妻やその子供のことを口にしていた。そこで、彼に「元の奥さんの話は控えてほしい」と懇願。彼も快く承諾し、話は終わったかに見えた。
「この前言ったばかりなのに！私の気持ちを理解してくれたんじゃないの!?」ちくわさんは彼を問い詰めた。だが、彼の返事は…。
■「今の彼女の前で前妻の話はタブー」という常識が分からない
今回のエピソードは、言外の意味を想像することが苦手なアスペルガー特性が端的に出ている。ちくわさんは「前妻さんのことを話さないで」とお願いすることで、同時に前妻に関わる言動は控えて“嫉妬させるようなこと全般をしないでほしい“という思いがあった。
だが、彼はその気持ちを汲み取れず、平気で前妻の画像をアップした。ちくわさんは、「夫は私の言葉の中の『話さないで』という部分だけを切り取ってしまったようです。『確かに前妻の写真を載せたけれど、“話してはいない”のだから、嘘はついていない』ということを主張したかったのでしょう」と語る。
そもそも一般常識として、新しい彼女の前で、昔のパートナーとの写真や話題はタブー。ちくわさんは、それをとがめる意味でも怒ったのだった。「普通彼女がいるのに、前妻さんの写真をプロフィールにはしないよ、常識でしょ？と怒りました。ましてや、つい数日前に『嫉妬してしまうから』と理由もきちんと説明したわけですから」
しかし、人の気持ちを想像できない彼は、子供が撮った写真をアイコンにするのは珍しくないというまったく別の理由で、前妻の画像を使うのは問題ないと言い切ってしまう。「こちらの気持ちとはあまりにもずれた回答が返ってきて、会話がかみ合わず、歯がゆい気持ちになりました」
■「説明しても分かってくれない」怒りと共に虚しさすら覚えた
さらに「私が同じことしたら、あなたはどう思うの？」とちくわさんは彼を責めた。「心の中では『想像してみてよ！すごく嫌な気持ちになるでしょ？あなたは私にそういうことをしたのよ』と自覚させることで、反省してほしい、謝ってほしいと期待していました」
だが、イメージ力や共感力が乏しい彼には響かない。逆に「実際されたわけじゃないから、分からない」「されてもいいかな」と言い放った。ちくわさんは「もう私の怒りや悲しみをまったく理解してもらえない、受け止めてすらもらえないんだ、と虚しい気持ちになりましたね」と当時の心情を振り返る。
彼の悪気のない一言一言は、ちくわさんから見るとまさに「言葉の凶器」と化していた。今まで抱え込んできた違和感が、負の感情と共に爆発し、ついに彼にブチギレ。「どうして私の気持ちが分からないの!?」と声を荒げた。すると、何かがフラッシュバックしたように、突然膝から崩れ落ちた彼。その秘密はやがて明かされる。
なお、ちくわさんのご主人の場合は、人の気持ちを想像できない特性に加え、多動性や衝動性に代表されるADHD(注意欠如・多動症)の特徴もあるタイプ。漫画内や記事に出てくる特徴の描写はあくまでちくわさんとご主人のケースに対する説明で、すべてのアスペルガー症候群の方に当てはまるわけではないことを念のため補足しておく。
取材・文＝折笠隆
