財布は3つに分けるが鉄則 10年後に1千万円貯まるメソッド

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夫の定年が見えてきたなかでの物価の上昇、年金の改定。これからの懐ろ事情が心配でたまらないのに一向に貯金ができない、と嘆く人に朗報。今すぐ「お財布を3つに分け」て10年後の1,000万円を目指そう――!

子育てが一段落して「これからの人生を楽しもう!」と、思ったはいいが、お金がないという人は意外と多い。

「50代半ば以降は住宅ローンや子どもの教育費など、大きな支払いが終わるので、自分へのごほうびが欲しいですよね。でも、いつもカツカツという声をよく聞きます。物価が急上昇するなか、近々夫が定年退職を迎えて収入ダウンが予想されるなど、将来への不安も高まっています。その不安を解消するためにも、ラクに確実に貯蓄を増やしていきましょう」

そうアドバイスするのは、『貯金ゼロから始める「新へそくり生活」のススメ』(プレジデント社)の著者で、ファイナンシャルプランナーの山口京子さん。 “貯金ゼロ”の人でもラクにお金を貯められる方法が、山口さんが勧める「収入(へそくり)3分法」。

まず、夫の給料が「給与振込口座」に振り込まれたら、光熱費やローン、通信費などの固定費の支払い分を除いて、「使う(普通口座)」「貯める(定期預金)」「増やす(積立投信)」の3つの口座に先取りで振り分けるだけ。

「使う」財布で食費や日用品費、遊興費などをまかなう。

「貯める」財布には、冠婚葬祭や家電の買い換え、入院時の医療費など、いざというときに備えるお金を貯めておく。

「増やす」財布には、老後の資金として、当分引き出さないお金を積み立てる。

「ふだんは『使う』の普通口座の残高だけを見てやりくりをするので、“へそくり感覚”でお金を貯められます。特に女性は夫が亡くなった後、年金収入が少なくなるので、少しでも老後のお金を増やしておきたいですね。貯蓄額は、収入の10〜40%が目安になりますが、住宅ローンや教育費が終わった人は、40%を最終目標にがんばりましょう」(山口さん・以下同)

たとえば、図(画像参照)の子育てが一段落して夫婦2人暮らしの世帯では、毎月の手取り収入が35万円。固定費の引き落とし約7万円を残して、28万円を3つに分けるプランにチャレンジしてみた。

最初は固定費を除いた額の30%程度を貯蓄に回すとして、「貯める」財布には月5万6,000円、「増やす」財布には月2万8,000円、と分けた。

「残りの19万6,000円でやりくりしますが、夫の収入は定年とともに少なくなりますので、少しずつ節約生活に慣れていき、収入が今より10万円ぐらい少なくなったとしても、貯蓄できるように今のうちに生活を見直しましょう。特に、意外と支出金額が大きい『特別支出』から見直すと、貯蓄に回す金額が増えてきますよ」

【 見直したい「特別支出」】

〈1月〉お正月のお年玉や帰省の費用
〈2月〉バレンタイン
〈3月〉新年度の準備
〈5月〉母の日やゴールデンウイークの旅行
〈その他〉お中元、夏休み、お歳暮、クリスマス、家族の誕生日、家電の買い換え、結婚式や葬式などの冠婚葬祭

「家族の誕生日や記念日の食事会、バレンタインの贈り物など、少しずつ予算を見直していきましょう」

■「増やす財布」の運用は「つみたてNISA」が◎

「つみたてNISAの専用口座を作って投資をしますと、運用益には税金がかかりません。1年間40万円まで、20年間積み立てられます。つみたてNISAで買うことができる投資信託に毎月、一定額、長期間投資しつづけますと、年平均3〜10%程度の利回りを得られる可能性があります」

たとえば、「貯める」財布に毎月5万6,000円積み立てると、10年後には約672万円にもなる(利息分少し増)。「増やす」財布に毎月2万8,000円を、つみたてNISAを活用して平均利回り年3%で積み立てると、10年後には約391万円、合わせて1,000万円超を達成できる!

「節約生活を続けるためには、何でもかんでもコストカットすればいいわけでもなく、『食材はこだわっても外食は控える』『洋服はリサイクルでよいけれど、年に一度はごほうび旅行に行きたい』というように、支出の取捨選択をして、メリハリをつけることが大事」

まずは特別支出を見直す! 今年こそ物価高や収入減にも負けない、強い家計を作ろう。

【PROFILE】

山口京子

ファイナンシャルプランナー。家計管理からお金を増やす運用までアドバイス。著書に『貯金ゼロから始める「新へそくり生活」のススメ』(プレジデント社)などがある