ドローンを使って隕石が発見された場所を指さす研究者 (c) カーティン大学

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 オーストラリア・カーティン大学は14日、ドローンを用いて地表に落下した隕石を捜索する技術を公開した。地球に落下する隕石の総数は、年間数千個程度だ。地球総表面積がおよそ5億1千万平方キロメートルなので、もし仮に年間5,100個の隕石落下があったとした場合、10万平方キロメートル(つまり1辺が316kmの正方形)に1個の割合で隕石が落下している計算になる。

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 316km四方で1年にたった1個しか落下しない隕石を、人力だけで捜索するのは至難の業である。だがこれは、むやみに片っ端から地球上を捜索する場合の話であって、実はもう少しましな捜索方法が以前から用いられてきた。

 それはまず、複数の観測地点に自動動画撮影カメラを設置して、全天のかなりの範囲をそれによってカバーする。火球の落下が記録された場合、複数の地点での撮影データを用いて、三角法によって火球の落下地点を絞り込み、その地点をくまなく人力で隕石捜索する方法である。

 隕石捜索の対象とすべき火球データにも選別が必要で、地上に落下するまでに蒸発してしまうものを除外する必要もある。

 今回の手法は、地上に隕石が落下したことが確実視される火球画像データをキャッチしたら、速やかにその落下地点を推定。そこにドローンを飛ばして、予想落下地点の画像データを収集。過去の隕石落下地点画像データからAIアルゴリズムを用いて、それに類似する画像パターンを有する地点を探し出すという、隕石落下地点と隕石そのものを正確に特定する手法だ。

 この手法によれば、従来の人海戦術による捜索と比較して、所要時間と労力は10分の1に効率化されたという。またこの技術は、野生動物の生態系に及ぼす悪影響を最小限にとどめる側面も併せ持っている。

 このプロセスが全自動化されて実用化できれば、研究者は研究室に居ながらにして、ほぼリアルタイムで隕石サンプルが集まってくる。研究効率の著しい向上も期待できるだろう。