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オリックスの育成が足りなかった…!

そろそろ野球ファンの皆様におかれましても「何故オリックスは負けたのか?」という敗因分析をされる頃かと思います。本日11月25日はヤクルト高津監督の誕生日ということでもあり、新聞各社も「バースデー日本一」「オリ投手陣を攻略」「ラオウ、悔いある昇天」みたいな見出しの準備稿を用意している頃でしょう。

しかし、僕はまだオリックスの勝利を期待しています。オリックスを信じる気持ちは微塵もわいてきませんが、願望を込めて祈っています。土曜日に野球が見たい。日曜日に野球が見たい。可能なら月曜・火曜までもつれた末に、タイブレーク方式の追加延長あるいは無制限の死闘が見たい。どっちがどうなろうとどうでもいい2球団による、精魂尽き果てるまでの死闘。最後は両者がすべての闘気を出し尽くし、子どもの喧嘩に戻る戦い。そして両者昇天。そういう極限の世界を見たいのです。

そんな切なる祈りを込めて、一足早くオリックスの反省会をしたいと思うのです。僕もインターネットにその人アリと言われた「逆神」のひとり。このシリーズ中も「勝ったな(勝ってない)」「勝ち確定(すぐ逆転)」「4-0もありうる(逆に0-4になりそうだった)」など逆神ぶりを遺憾なく発揮しています。その能力を駆使すれば、オリックスが逆に奮起する未来もあるのではないか。そう思うのです。

↓石毛宏典さんであれば謝罪に追い込まれるレベルの見当違いな見立て!

4-0は絶対なくて、1-4がありそうな今!

オリックスに期待した僕がバカでした!

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敗因を分析するにはまず勝因を知らねばなりません。路上最強を謳う男が、対戦相手としてその辺の道端にいる程度の素人ばかりを選んでいたら、これまでの勝因も「相手が弱かったんだな」と察しがつきますし、今後の敗因についても「相手が強いんだな、分析する必要ナシ!」と思うでしょう。何故オリックスがここまで勝ち上がってきてしまったのか、そこから想像を巡らしていきたいと思います。

日本ハム・新庄ビッグボスも言っていますが、プロまで来た選手は「ほとんど一緒」です。チカラがないはずがないし、ドラフトなどでシャッフルされることで格差が固定化されているわけでもありません。差のほとんどはメンタルです。もちろんそれは「気持ちで打ちました」みたいな感情論ではなく、自分に誇りを持ち、周囲に感謝を抱き、自分の弱さを律して、素直な心で研鑽に励み、どんな苦境にも腐らず取り組む、という意味でのメンタルです。それができればチカラが上がり、勝利という結果が生まれ、勝利が生み出す熱狂がさらに自分たちを後押ししてくれます。小さな一歩が大きな一歩につながる、人生もそういうものです。

山本由伸さんは去年も一昨年も大エースとして存在していましたし、吉田正尚さんも大打者としてパ・リーグを席巻していました。それでも「最下位になれる」のがプロの世界の紙一重の差であり、それを覆すのがビッグボスの言う「メンタル」です。平均的な地力については「金」という覆せないパワーで差が生じていたとしても、毎年同じチカラが出るとは限りません。相手が弱い年に、自分たちが強ければ紙一重を引っくり返せる。強靭なメンタルで虎視眈眈とすることができるのならば、ですが。

↓メンタル面で「新庄監督はようやっとる」と思います!


そうした「紙一重」のなかで、今年はオリックスに風が吹いていました。ソフバン・日ハムが過渡期に入り、勝手に負けたこと。西武を上手くカモにして大きく貯金を作ったこと。そして、交流戦でセ・リーグから大勝ちしたこと。とりわけ交流戦は大きかった。交流戦が始まる5月25日を前に、オリックスは借金4の5位に沈んでいました。瞬間的にAクラスに顔を出すこともありましたが、数字としては例年並みのシーズンを過ごしていました。

しかし、そこからセ・リーグを相手に12勝5敗1分と急上昇し、交流戦優勝にこぎつけます。「いい選手がいるのに勝てないよねぇ」はオリックスファンを慰めるフリして煽るときの常套句ですが、優勝という結果によって大きく流れが変わったと感じます。もちろん新たにホームラン王となった杉本ラオウ裕太郎さんの成長や、宗・紅林の強固な三遊間の固定、若月ではなく伏見など、駒が揃ったという面もあるのでしょうが、お通夜で野球をやるのと熱狂して野球をやるのとでは、ちょっとした差の勝利がいくつか違うというもの。5個も勝ちが増えれば順位も含めて大きく違いが出るのが紙一重のリーグ戦です。「優勝」までいけた、というのは大きな紙一重でした。

パ・リーグの上位球団の勝敗を見てみると、その紙一重ぶりがわかります。オリックスは2位ロッテに2.5ゲーム差をつけて優勝していますが、交流戦を除いたパ・リーグ同士の対戦だけで言えばオリックスが58勝50敗17分の「勝率.537」であるのに対して、ロッテは59勝48敗18分の「勝率.551」でロッテのほうが上回るのです。パ・リーグ同士だけでやっていれば、オリックスはそもそも優勝していなかったのです。「オリックス相手だし野球名鑑見る程度で何とかなるやろ…」的なセ・リーグの慢心が大きく今季のリーグ戦の趨勢を変えたのではないか、僕はそう睨んでいます。

↓強くなって勝ち、勝つことでさらに強くなる、そんな好循環!


セ・リーグ(5勝12敗1分)と西武(8勝15敗2分)が育てたオリックス。しかし、育成が十分ではなかったと今さら感じています。オリックスにとって「一戦必勝」の決戦を勝ち抜いたと言えるのは9月28日からのロッテ3連戦くらいで、10月14日のロッテ戦ではキッチリ負けてマジック点灯を許しています。ひとつも落とせない終盤戦では、オリックスが痛恨の逆転負けでロッテのマジックが5に減ったあとの西武戦にて、西武が2点タイムリー落球でナイスアシストしてやるなど、甘やかしてしまった部分もありました。

もちろんロッテが最後に勝手に4連敗したのも事実ですが、「西武とオリックスはコンビ打ちか?」と愚痴りたくなるようなシーズンであったのも確か。最終戦も「負けたら優勝逸の可能性があるマジック2」と「負けてもまだ可能性は消えないマジック3」とでは気分も違ったでしょう。世間の「珍しいものが見たい」という大きな風に乗って、相手が勝手に負ける形で優勝までたどりつかせてしまったのはパ・リーグの落ち度でした。もっとワイルドに、もっとたくましく、オリックスを真の王者に育ててから送り出さなければならなかった。「優勝してもCSで必ず負ける球団」よりはマシではありますが。

そんなことですから、ちょっとヤクルトに負けたくらいでオリックスには再びお通夜ムードが甦ってきています。「やっぱりオリ達は弱いのかな?」「所詮オリックスだもんな」「場違いでした」と。元気だけいいのが混ざっているから声はやたらと出ていますが、第4戦9回の攻撃だって一打同点という場面でありながらドンヨリと見守っているではないですか。去年一昨年最下位のオリックスが帰ってきた、そういう感覚です。「オリ達は強い」と揺るぎなく思えるくらいまで、苦しめて、苦しめて、苦しめてから勝たせてやらなかったことをパ・リーグ一同反省するしかありません。

↓「1点差か…追いつける気がしない…」みたいな顔で攻撃するのはいかがなものか!



こうした一連の検討を経まして、オリックスの日本シリーズの敗因は「所詮オリックスだから」ということに決定しました。相手に助けられ、ふわふわーっと勝ち上がったことで、真の優勝球団としての自覚も誇りも自信もないまま、ひとつふたつ負けた程度でお通夜に戻るようだからこうなっているのであると。相手方にしたら、京セラドーム2連戦で連敗していたら、あるいは東京ドーム3連戦でひとつでも負けたら、神戸に行って慣れないDH制で山本・宮城をぶつけられるという絶望ルートが待っているのに、先にお通夜に突入するだなんて、真の王者であろうはずがない。

今日勝てば、第6戦で山本由伸2021が完封して引き分け、第7戦では神戸のファンの熱狂的な後押しを受けて宮城からの完封継投で2勝3敗2分に持ち込み、勢いに乗った第8戦で勝ち、第9戦で永遠の死闘を演じる…そこまでクッキリと見えているのに先にポッキリと折れる。ヤクルトはセ本拠地で3つ勝たないとヤバイと内心震えているのに、相手より先にガタガタ震え出す。傍目から見れば最後まで大接戦を演じているのに、勝手に負けを予感し始める。いっそ対戦相手から「オリックスはオリックスより弱い」とかキツめの煽りでももらったほうがいいんじゃないかと思うくらい。これでは勝てるものも勝てませんわ!

↓さすがプロ、弱そうに見える写真を撮るのがお上手!



「第9戦までやれ」
「第8戦でも妥協する」
「せめて第7戦までやれ」
「最低でも第6戦を要求する」
「勝つのはどっちでもいいが」
「1試合でも長くやってほしい」
「そのためなら両方を応援する」
「掌を高速回転しながら」

このような具体的な要望をお伝えしまして、今夜のオリックスの奮起に期待したいと思います。これでも「第9戦までやるも両チーム疲労困憊で試合を完遂できず、シリーズ不成立で今季の日本一は該当者ナシになりました、とかが真の希望」と言わないだけ褒めてもらいたいくらいの控え目な要望ですが、「最低限第6戦」を達成してもらえたら、もう何も言いますまい。第6戦、第6戦までは最低限いってほしい。楽しい週末と日本プロ野球の未来のために、頑張れオリックス・バファローズ!

↓勝っているときだけでなく、負けているときもこんな体勢でいきましょう!


第5戦でのオリックス勝利は、ヤクルト以外全員歓迎であるはずです!