香港国際映画祭に合わせて開催された俳優ブルース・リーの展示会(2010年3月31日撮影、資料写真)。(c)MIKE CLARKE / AFP

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【AFP=時事】香港政府は11日、市内で公開される全ての映画を検閲し、国家安全維持法(国安法)に基づく違反行為を取り締まると発表した。政治的な自由のみならず、芸術面での自由も大きく制限されることになる。

 2019年に民主派による大規模な抗議デモに揺れた香港では、当局がその後、中国政府への批判を根絶するべく一斉摘発に乗り出した。国安法と「愛国者治港」のスローガンの下、体制批判は非合法化され、民主派の運動は抑圧の対象となった。

 次の標的となったのが映画だ。香港政府は、映画検閲条例を改定し、「国家安全保障を脅かす犯罪に相当し得るあらゆる行為や活動」を新たに検閲対象に加えたと発表した。

 直ちに施行された新条例の検閲指針には、「検閲官は映画全体と視聴者への影響を検討する際、国家安全保障を脅かす行為や活動を防止・抑制する義務と、国家の主権と統一を守り領土を保全するという香港人の共通の責任を考慮しなければならない」と記されている。

 中国本土では、映画は厳しい検閲にかけられ、欧米の映画やドキュメンタリー作品は毎年数本しか一般公開されない。一方、香港の映画検閲はこれまではるかに緩かった。

 香港は歴史的に映画産業が盛んで、20世紀後半には広東語映画は世界的に有名になった。だが、近年は中国本土や韓国で制作された大ヒット映画が香港映画界を席巻している。

 現在も香港には著名な撮影所が幾つか残っており、高い評価を受けている映画監督も少数ながらいる。自主制作映画も盛んだ。しかし、香港の文化芸術シーンでは、中国本土と同様に統制を強化したい当局の思惑が透けて見える動きが拡大しつつある。

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