飼い主を救ったヒーロー犬(画像は『CTV News Ottawa 2021年3月20日付「Lucky Clover: Family dog stops traffic in Ottawa neighbourhood to help owner during a medical emergency」』のスクリーンショット)

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米アリゾナ州立大学の研究チームが2020年に「ほとんどの犬が訓練を受けてなくても苦しんでいる飼い主を救おうとする」と研究結果を発表しているが、それを裏付けるような出来事がカナダで起こった。散歩中に突然倒れた女性を救ったのは、彼女が飼っている犬だった。『CTV News Ottawa』『New York Post』などが伝えている。

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カナダのオンタリオ州オタワ市スティッツビルで現地時間23日の朝、地元に住むヘイリー・ムーアさん(Haley Moore)は1歳になる雌のマレンマ・シープドッグのミックス犬“クローバー(Clover)”と一緒に近所を散歩していた。

しかし突然、ヘイリーさんは発作を起こして倒れてしまった。人通りの少ない住宅地とあって誰も彼女に気付くことがなく、クローバーは心配そうに倒れているヘイリーさんの顔を覗き込んでいた。そのうち1台の車がやってきたが、ヘイリーさんに気づくことなく通り過ぎてしまった。

この時クローバーは、なすすべもなく通り過ぎる車をただ見送っていた。だがその後、クローバーは思いも寄らない行動に出た。ヘイリーさんの手から繋がれているリードを引き離し、道路の真ん中に立ちはだかったクローバーは、助けを求めるために走行してきたピックアップトラックに注意を向けさせて停車させたのだ。

ピックアップトラックを運転していたドライデン・オートウェイさん(Dryden Oatway、21)は「それは本当に印象に強く残る一瞬でした。犬は僕のトラックを止めるために道路に立ちはだかったんです」と振り返っており、彼はすぐにトラックを降りてヘイリーさんに駆け寄った。

その間もクローバーはずっとヘイリーさんを見守っていたそうで、ドライデンさんはさらにこのように明かした。

「僕がトラックから降りると、犬は後ずさりして僕との距離を保とうとしていました。その間もずっと倒れている飼い主の女性に視線をやり、ずっと見守り続けていました。それは本当に素晴らしかった。」

その後、ドライデンさんに続いて車で通りかかったダニエル・ピロンさん(Danielle Pilon)がヘイリーさんに気付き、車を停めて駆けつけてくれた。2人は救急車を呼び、ヘイリーさんはその場で救急隊員により手当を受けることとなった。のちにドライデンさんとダニエルさんはヘイリーさんの自宅を探し出し、彼女の父親と連絡を取ることができた。

ヘイリーさんの父親ランドール・ムーアさん(Randall Moore)はメディアのインタビューに応じ、次のように語った。

「近所の人が来てうちのドアをノックする音が聞こえたんですが、彼らは必死な様子でクローバーもそこにいて狂ったように吠えていました。そして娘のところへ向かったんですが、顔中が泥だらけで話していることも支離滅裂で自分がどこにいるかも分かっていませんでした。そんな娘の姿を見て本当に心配でたまらなかったんです。」

幸いにもヘイリーさんはのちに意識が回復し、何事もなく無事に済んだそうだ。ヘイリーさんは当時のことを「気付いた時には救急車の中で、何が起こっているのか分からず、混乱していました」と明かしている。

発作の原因は分かっておらず心配が残るところだが、ヘイリーさんはクローバーが自分を守ってくれていることが大きな心の支えになっていると言い、「動物がいかに素晴らしいか知っていると思いますが、私のクローバーは本当に素晴らしい犬です。死ぬほど愛しています」と語った。なおクローバーはその晩、家族が用意したご褒美の特大ステーキを美味しそうに頬張ったそうだ。

画像は『CTV News Ottawa 2021年3月20日付「Lucky Clover: Family dog stops traffic in Ottawa neighbourhood to help owner during a medical emergency」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 MasumiMaher)