年金では足りない…中堅以下の若手医師「悲惨な老後」の実態

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一般に「高所得」と言われる医師こそ、資産形成が必須です。大半の医師は「富裕層」とは程遠く、むしろ「ほんの少し余裕があるだけの普通の家庭」というのが現実。それだけでなく、自分の時間と体力を使い、労働と引き換えに得る「稼ぎ」には限界があります。現役時代のうちから取り組むべき資産形成とは何か、現役医師として働きつつ資産形成に成功した筆者が解説。※本連載は、自由気ままな整形外科医氏の著書『医師の経済的自由 豊かな人生と理想の医療を両立できる第3のキャリアパス』(中外医学社、2017年刊行)より一部を抜粋・再編集したものです。

「自分の時間を使って働く」という稼ぎ方の限界

世の中には「仕事=自分の時間を使って働く」という考えの方が多いと思います。医師は、一般企業に勤める人と比べて時給単価が高いです。このため、自分の時間を使って働くという考え方が顕著です。このことは他人に雇われている勤務医に限らず、開業医にも当てはまります。開業医は、自分が投入した時間や労働力に比例して収入が上がります。このため、仕事とは自分の時間を使って働くことという考え方になるのも仕方がありません。

もちろん社会的に考えても、自分の持つ能力を世の中に還元することは望ましいことです。しかし、「仕事=自分の時間を使って働く」という考え方には大きな落とし穴があります。その大きな落とし穴とは、自分の時間を使って働いている限り、いつの日にかリタイアする日がやって来ることです。

(※写真はイメージです/PIXTA)

リタイア後に待ち受ける「危険な生活」

なぜ、普通にリタイアすることが問題になるのでしょうか? お金を稼ぐことが、経済的には最大の攻撃であることは論を待ちません。それに加えて、人生において自分や家族の身に大きなトラブルが発生した場合に、お金を稼ぐことは最大の防御にもなるからです。

現役時代に身を粉にして働くことで、一生食べていけるほどの多額の貯蓄を残すことに成功したとします。それであっても、リタイアして無収入になることは危険な行為です。例え1億円の現金が銀行口座にあったとしても、減る一方の通帳を見ることは精神的に辛いものです。自力で稼いだお金ではなく、親から引き継いだ資産の場合は、更に恐怖感が高まります。

このように言うと、銀行口座に現金を貯めるのではなく、不動産投資や株式投資によって不労所得を得ることが解決法になると考える人もいます。しかし、残念ながらこの方法でも、問題を完全に解決することはできません。その理由は、働かずにお金を殖やそうとすると精神的余裕がなくなってしまうからです。

精神的な余裕がなくなると、不動産投資や株式投資がうまくいかなくなる危険性が高まります。私は、たとえ十分な貯金があっても無収入になることは避けるべきだと考えます。

ちなみに中堅以下の若手医師が、将来の年金収入をあてにした人生設計を立てることは控えるべきでしょう。少子高齢化の流れは既定路線です。年金の財源は、現役世代から徴収する収入です。これから現役世代の人口はどんどん少なくなっていきます。少なくなっていく現役世代に、自分の老後を託することは危険な行為だと思います。

一方、「70歳ぐらいまで働きたい」や「開業すると定年退職がなくなることがメリット」ということを耳にします。しかし、この考え方には、いつの日にかリタイアする日がやって来るという事実が抜け落ちています。

現役医師のうちに「リタイア後も使える収入源」を獲得

それでは、私たちは一体どうすればよいのでしょうか? 先ほど否定しましたが、安定的な収入を得ることができる手段は、やはり不動産だと思います。ただし、不動産「投資」ではなく、不動産「経営」をすることが必要です。

ここで言う経営とは、自分の時間を投入して清掃・修繕・客付業務を行うという意味ではありません。私が考えていることは、経営者の視点で不動産を運用することです。不動産の運営を、完全に他人に任せてしまってはいけません。

自分の力でコントロールする能力を身に着けることが、問題解決につながると思うのです。ここでは、一般的に最も参入のハードルが低いため不動産経営を例示しました。しかし、スモールビジネスを立ち上げることも、魅力的な選択肢のひとつだと思います。特に、医師の参入障壁を上手く利用できるスモールビジネスを構築できれば最高だと思います。自分の力で収益構造を100%コントロールする能力を習得する。そして、医師をリタイアした後も継続的に収入を得る手段を複数獲得することが重要なのです。

継続的に収入を得る手段を複数持つことは、経済的自由を獲得するためには必須です。経済的に自由な状態になることで、自分の意に反して働き続ける必要性から解放されます。このことは思考や選択の自由を獲得することにもつながります。そして、自分が理想とする医療を実践することも可能となるのです。

<POINT>

経済的自由の獲得には、自分の力でコントロールする能力を身に着けることが必要

資産形成と「不動産投資」は切っても切れない関係

不動産は資産の王様世界的に有名な不動産投資家であるドルフ・デ・ルース氏の著書に、『世界の不動産投資王が明かすお金持ちになれる「超」不動産投資のすすめ』(東洋経済新報社)があります。

ドルフ・デ・ルース氏はこの書籍の中で、日本を含めて世界中の富裕層で不動産と関わりのない方はほとんどいないと述べています。彼自身が独学で富裕層研究を行った結果、次のような結論に達しました。

●何らかの方法で富裕層に到達した後、資産の保全のために不動産を活用している

●不動産経営(投資)を行い、財を築いて富裕層に到達した

このことに関しては、洋の東西や時代を問わず普遍の真実だと思います。昔から不動産は資産の「王様」として君臨しており、医師であっても経済的に自由な状況へ到達するためには、どこかの時点で不動産と向き合わなければなりません。磐石な経済的基盤を築き、そしてその資産を保全するためには不動産を所有することが必須なのです。

不動産投資は、収入が安定した「ストック型ビジネス」

私が不動産所有を推奨するひとつの理由は、不動産経営はストック型ビジネスであることが挙げられます。ストック型ビジネスのストック(stock)は、蓄えるという意味です。ストック型ビジネスは、毎月決まった収入が入ってくるビジネスのことを言います。契約者が増えれば収益も増えていくので、損益分岐を越えると収益がどんどん増えていきます。

ビジネスにおいて、新規顧客の獲得が最も難しいです。ストック型ビジネスでは一度顧客と契約を結んだり会員を確保すると、継続的な利益を得ることができるので収益が安定しやすいです。

ストック型ビジネスの代表例としては、電力・ガス事業、鉄道事業、通信事業、医療事業が挙げられます。そして、不動産賃貸業も典型的なストック型ビジネスです。

一方、フロー型ビジネスのフロー(flow)は、流れという意味です。フロー型ビジネスはその都度の取引で収入を得ているスタイルのビジネスです。フロー型ビジネスの代表例としては、居酒屋やレストランなどの飲食店、コンビニエンスストアなどの小売店が挙げられます。

フロー型ビジネスは各顧客との取引が一度きりであるため、その顧客からの継続的な利益は得られません。飲食店や小売店にはお得意さんがつきますが、契約関係を結んでいるわけではないので収入に継続性がありません。季節、ライバル店の存在、流行り廃りなどのさまざまな影響によって売上が増減します。契約や会員に限らないので縛りは少ないですが、収入が安定しにくいのがフロー型ビジネスの特徴です。

ビジネスモデルとしての安定度は、ストック型ビジネス<フロー型ビジネス、となります。私たちが属する医療業界が安定しているのは、ストック型ビジネスであることも大きな理由です。

他の「ストック型ビジネス」に比べて参入が容易

ここまで見てきたように、ストック型ビジネスはとても魅力的なビジネスモデルです。しかし、ストック型ビジネスの代表例である電力・ガス事業、鉄道事業、通信事業に個人レベルで参入することは、巨額の資本・利権・ノウハウが必要であることから事実上不可能です。

私が知る限り、クリニック開業を除いて最も参入ハードルの低いストック型ビジネスは不動産賃貸業です。不動産賃貸業のメリットはたくさんありますが、一度客付けしてしまえば何もしなくても毎月のように賃料収入が入ることが最大のメリットです。このように、不動産賃貸業はストック型ビジネスへの参入ハードルが最も低いビジネスモデルなのです。

更に不動産は時価で売却することも可能です。M&Aを通じて一般事業会社が売買されるケースは散見されますが、不動産のように市場が整備されているわけではありません。そういう意味では、不動産はお金が実物資産に変化したものと考えることも可能です。また、必要であれば不動産を売却しなくても、不動産を担保にして銀行から非常に有利な条件で融資を受けることもできます。このような理由から、不動産は資産形成を行う上で必要不可欠な存在と言えます。

参入するなら、自己資金で買える「低額の戸建物件」

とはいえ、不動産価格は安くないため参入のハードルはそれなりに高いです。このため、物件の目利き能力や不動産の運営能力をマスターする必要があります。医師の場合は高属性を利用できるため、その気になればいきなり1億円を超えるような収益1棟マンションを購入できることもあります。しかし、ほぼ満額に近い金額を銀行融資でまかなう場合には、うまく運営しないと破綻してしまう危険性が高まります。このため、不動産投資を行う場合には、事前にどのような種類の投資を行うのかを考えておく必要があります。一般的に不動産投資は、次のようなパターンに分類できます。

【物件種類】

●1棟マンション

●1棟ビル

●区分所有マンション

●戸建

●駐車場

【建物構造】

●木造

●鉄骨

●鉄筋コンクリート(RC造)

【地域】

●都市部

●郊外

●地方

●海外

一部の戸建や区分マンション以外では少額の資金で開始することが難しいため、基本的には銀行融資を受けて物件を購入することになります。しかし前述したように、不動産経営の経験が乏しい状態で、いきなり巨額の銀行融資を受けると破綻する危険性が高まります。このため、私は自己資金で購入可能な低額の戸建物件から不動産投資を開始することが望ましいと考えています。そして、戸建物件を運営することで不動産経営の知識をある程度習得してから、より規模の大きな収益1棟マンション経営に挑戦するとよいでしょう。

<POINT>

不動産経営は医師の資産形成に必要不可欠

まずは自己資金で購入可能な低額の戸建物件からスタートしてみよう

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自由気ままな整形外科医

医学博士、日本整形外科学会専門医、日本リウマチ学会専門医