●アップデートしたウォークマンAでサブスクを聴く

いきなりの質問で恐縮だが、読者の皆様はふだん音楽を聴くとき、どういったサービスを使っているだろうか? おそらく、まずは最新のミュージックビデオなどがタダで楽しめるYouTubeが筆頭に挙がるだろうか。サブスク配信なら、iPhoneとの親和性が高いApple Musicを使っている人もいれば、「好きなアーティストの曲が無料でたくさん楽しめるから」とSpotifyのフリープランを愛用している人もいるハズ。“音楽配信の大海原”は実に広くて深く、そこにはほかにも多様なサービスが存在する。

ウォークマンA100シリーズ(NW-A100TPS)でハイレゾストリーミングを試す


数ある中で、筆者は最近、主に高音質ストリーミングサービスの「Amazon Music HD」と「mora qualitas(モーラ クオリタス)」を気分で使い分けて楽しんでいる。特に6,500万曲以上が聴き放題のAmazon Music HDは、HD音質(CD相当の44.1kHz/16bit)やUltra HD音質(最大192kHz/24bit)の楽曲が用意されており、スマホやPCだけでなく、自宅に置いてあるマランツのミニコンポ「M-CR612」に備わっているネットワークプレーヤー機能で単体受信して高音質に聴けるので、とても重宝している。

Amazonの高音質ストリーミングサービス「Amazon Music HD」の概要。HD音質やUltra HD音質の楽曲が用意されている


mora qualitasは曲数は公表していないが、96kHz/24bitまでのハイレゾ音源とCD音質の楽曲を多数用意。スマホやPCから高音質再生を楽しめ、PCでは音質を重視したモードとして、WASAPI/ASIO(Windows)、Exclusiveモード(Mac)に対応しており、さらにiOSデバイスでも外付けDACを別途用意することでデジタル情報が欠落なしに再生できる、ビットパーフェクト再生が可能だ。Andorid版アプリは残念ながらビットパーフェクト非対応だが、ソニーのAndroidウォークマンではハイレゾ再生が可能になっている。

ソニー・ミュージックエンタテインメントが提供する高音質ストリーミングサービス「mora qualitas」。初めて登録したたときは月額料金がかからず、30日間無料体験できる


自宅で過ごす時間が長くなる中、筆者は日中家事などをこなしながら気を紛らすためにSpotifyの流行曲プレイリストを流すこともある。仕事柄、新しいサブスク配信サービスはひと通り試してみて気に入ったら使い続けており、Spotifyもそのひとつ。多彩なプレイリストやSpotify Connectといった便利機能など、イマドキのサブスクに欲しいものが網羅されていて好印象だけれど、非可逆圧縮で元の音源に対して音質的なロスがあるのも事実だ。

そこで音楽に没頭したいときは、聴きたい曲が何でもそろうAmazon Music HDと、音質面に強みのあるmora qualitasの2つを使っている。Amazon Music HDはプライム会員なので月額1,780円(税込)、mora qualitasは月額2,178円(同)と、月々の出費は決して安くないが、欲しいCDを何枚も買ったり、CDよりも音が良いハイレゾアルバムを沢山ダウンロード購入していた頃に比べれば、はるかにおサイフにやさしい。アカウントさえあれば、スマホやウォークマン、PCでいつでもどこでも良い音が楽しめるのだから、便利になったものだ。

ストリーミングウォークマンの“ある弱点”

ただ、ウォークマンに関してはひとつ重大な問題があった。それは、普段使っているストリーミングウォークマンの入門モデル「NW-A100」(2019年発売)が、ハイレゾ音質のストリーミング再生には対応できておらず、せっかくの高音質設計の恩恵をフルに受けられていなかったことだ。ストレージに保存したローカルのハイレゾ音源はいい音で楽しめるのに、「Amazon Music HDで作ったプレイリストを聴きたい」と思ってもウォークマンでは音質がスポイルされてしまい、音にこだわりがある身として残念な気持ちになることも少なくなかった。

しかし、これには事情がある。2019年に登場したAndroidウォークマン「NW-A100/ZX500」シリーズは、2015年の「NW-ZX2」以来となるAndroid OSの採用により、音楽ストリーミングサービスをはじめとするさまざまなアプリが使えるように進化。内蔵ストレージやmicroSDカードに保存したハイレゾ音源を標準の「W.ミュージック」アプリで再生するときは、専用オーディオパスを使うことで最大384kHz/32bitで再生できる。だが、ハイレゾストリーミング再生時はこのオーディオパスではなく、OS標準のSRC(サンプリングレートコンバーター)を介して音声出力する仕様により、48kHz/16bitにダウンコンバートして音質を落とさざるを得なかったのだ。

SRCは音楽に限らず、OSのシステム音などあらゆるサウンドをきちんと扱うための仕組みなので、致し方ないところではある。とはいえ、ユーザーの中から「せっかくのハイレゾウォークマンなのに、高音質ストリーミングをそのままの音で聞けないのは納得できない」という声が上がるのも無理はない。

こうしたユーザーの声は当然、ソニーのウォークマン開発陣にも届いており、2020年2月のNW-A100/ZX500シリーズの本体ソフトウェア更新の折、時期未定としつつも「ハイレゾストリーミング対応」に関する機能強化を検討していることを告知。その後、5月28日に提供開始した本体ソフトウェアVer 2.00.05で、ついにストリーミングサービスのハイレゾ音源をハイレゾのまま再生できるようになった。

NW-A100/ZX500シリーズをアップデートすると、設定画面に「ハイレゾストリーミング」の項目が加わる(赤枠で囲った部分)。オンにすると、高音質ストリーミングサービスのハイレゾ音源をハイレゾのまま再生できる


NW-A100/ZX500シリーズの本体ソフトウェアVer 2.00.05


ストリーミングウォークマンのいちユーザーとして、このアップデートは非常にワクワクする内容であったが、一方で気になることもある。

ダウンコンバートされなくなった高音質ストリーミングを本当に「音が良い」と実感できるのか?

ハイレゾストリーミング再生では、電池の消費量が増えるそうだが、実際どれくらい保つのか?

前置きが長くなったが、今回は手持ちのNW-A100TPSの本体ソフトウェアを更新し、Amazon Music HDとmora qualitasを使って簡単な音質比較とバッテリー保ちを試してみた。

※編注:NW-A100TPSは期間限定発売のウォークマンで、現在は販売終了。通常のNW-A100シリーズは、16GBモデルが実売32,990円(税込)など。

余談だが、AndroidのSRCにまつわる問題は何もウォークマンに限らず、Android OSを採用するポータブルオーディオプレーヤーの多くがハイレゾストリーミング再生にあたり直面する壁でもあった。以前から、iBasso Audio「DX160」やShanling「M6 Pro」、FiiO「M11 Pro」といった一部のポータブルプレーヤーでは、Amazon Music HDなどの音質を落とさずロスレス出力できるよう工夫を凝らしており、イベントなどでマニアの注目を集めていたことも記憶に新しい。

Android 10ではハイレゾ再生に関する機能を標準でサポートしているそうなので、今後はSRC回避などをしなくていいようになるのかもしれない。新たなAndroid搭載プレーヤーに期待したいところだが、それはともかくとして、さっそく本題に入ろう。

Amazon Music HDなどの音質を落とさず再生できるAndroidポータブルプレーヤーのひとつ、iBasso Audio「DX160 ver.2020」


ウォークマンでハイレゾストリーミングの準備をする

NW-A100/ZX500シリーズで、ストリーミングサービスを利用してハイレゾ音源を再生するには、まずは本体ソフトウェアをVer.2.00.05以降にアップデート。無事に更新できたら、設定メニューの[音]>[ハイレゾストリーミング]にあるトグルスイッチをオンにして再起動をかければ準備完了だ。詳細はソニーのサポートページに情報が上がっているので、そちらのページを見ていただきたい。なお、この機能は有線接続時のみ有効で、ワイヤレス接続時はLDAC(最大96kHz/24bitの伝送ができるハイレゾ相当のコーデック)であっても無効となる。

NW-A100/ZX500シリーズの設定メニューにある[音]>[ハイレゾストリーミング]にあるトグルスイッチをオンにする


ハイレゾストリーミングをオン/オフするたびに再起動を求められる。ひと手間かかる印象だが、いつも高音質で聴きたければオンのままで良いだろう


再生前に、各アプリのストリーミング再生時の音質設定も見直しておこう。Amazon Music HDアプリでは、設定から[ストリーミング設定]の項目で「HD/Ultra HD」を選ぶ。mora qualitasアプリでは[再生]>[Wi-Fi]で「ハイレゾ+CD音質」にしておく。

Amazon Music HDアプリのストリーミング再生時の音質設定を見直す。設定から[ストリーミング設定]の項目で「HD/Ultra HD」を選ぶ


mora qualitasアプリのストリーミング再生時の音質設定もチェック。[再生]>[Wi-Fi]で「ハイレゾ+CD音質」にしておく


●気になる「音質」と「バッテリー保ち」

ハイレゾストリーミングの音を聴く。バッテリー保ちは……

今回は、手持ちのUltimate Earsのイヤホン「UE900s」(BAドライバー×4搭載)に、ALO audioの高品質ケーブル「Litz Wire Earphone Cable」(MMCX - 3.5mmステレオミニ)を組み合わせ、マティアス・アイクの作品『Midwest』から1曲目、Midwestを流してハイレゾストリーミングの音を確かめてみた。

BA4基のイヤホン「UE900s」をウォークマンA(NW-A100TPS)と組み合わせて聴いてみた


『Midwest』はECM Recordsからリリースされ、国内では2015年に発売された作品だ。ノルウェー出身のトランペット奏者、マティアス・アイクがアメリカのジャズの影響を受けて作曲し、メインのトランペットにヴァイオリンを迎え、さらにピアノ、パーカッション、ベースという不思議な取り合わせのクインテットで演奏している。ジャズというよりは、異国情緒がありながら現代音楽っぽさもあり、ゆったりドラマチックで映画音楽のようなサウンドが心地よい。

Amazon Music HDとmora qualitasでは、どちらも96kHz/24bitの音質でMidwestを配信中。また、Spotifyでも同作が圧縮音源で用意されている。筆者は最近、自宅で仕事をするときによくこれを聴いている。

ウォークマンの音量を45、ソースダイレクトをオンにして各種音質設定をすべて切って聴いてみる。ハイレゾストリーミングで聴く方が、Spotifyで配信している音源よりも個々の楽器の音色や音の響き、重なり、分離感がスッキリしていて分かりやすい。楽器由来と思われる、金属質で細かな音も聞き取れ、それでいて低域もしっかり迫力がある。音量を大きく上げなくても、ハイレゾならではの音の生々しさが感じられた。

設定で[ハイレゾストリーミング]のトグルスイッチをオン/オフしてみると、ビックリするほど音が変わる……というほどではないが、オンの方がやはり音の余韻などに質感があるというか、生楽器の曲だからこそ味わえる臨場感が感じられて好ましい。例えるなら、テレビやモニターで映像のグラデーション(階調)がより細かく表現できているような感じだ。

e-onkyo musicでダウンロード購入した同じMidwestのアルバム(96kHz/24bit FLAC)と両サービスの音源も聞き比べてみる。Amazon Music HDではパーカッションのきらびやかさ、低音の沈み込み具合が気持ち大人しめに感じるくらいで、ハイレゾ同士では(当たり前かもしれないが)音場の広がり、定位感については、そこまで大きな違いは感じられなかった。使うイヤホン/ヘッドホンやスピーカーによっても変わるかもしれないが、好みに合わせて選ぶとよいだろう。

ほかにもAmazon Music HDやmora qualitasで聴ける楽曲をいくつか選んでウォークマンで聴いてみたが、いずれもハイレゾストリーミング対応の恩恵は十分に受けられていると感じた。音にこだわって作られた作品をダウンコンバートせずに聴けるのは嬉しいものだ。

Amazon Music HD/mora qualitasの音源は、ウォークマンの内蔵ストレージ/外部ストレージ(microSD)にダウンロードして保存することもできるが、今回はあえてローカル再生ではなくストリーミングのまま再生している。ストレージを大きく消費しない代わりに、通信量が多くなるので、安定したWi-Fiネットワーク環境があることが望ましい。筆者宅はIPv6(IPoE)対応の光回線を引いており、さらに5GHz帯の強力なWi-Fiルーターを使っているので、その点は問題なさそうだ。

実際にウォークマンでハイレゾをストリーミング再生できているかをチェックするには、Amazon Music HDの場合は再生画面に現れる黄色い「ULTRA HD」のアイコンをタップすることで確認できる。詳細情報の欄で、「端末の性能」が「192kHz/24bit」と表示されていれば大丈夫だ。一方、mora qualitasの場合は再生画面に96kHz/24bitなど楽曲の仕様を示す黄色い文字が表示されるが、端末のオーディオ性能を示す仕組みがアプリにないようで、明確ではない。

ハイレゾストリーミングをオンにしていると、Amazon Music HDアプリでは「端末の性能」が「192kHz/24bit」と表示される


ハイレゾストリーミングをオフすると、Amazon Music HDでは「端末の性能」が従来と同じ「48kHz/24bit」と表示される。ただし、AndroidウォークマンのSRCの制限は48kHz/16bitなので、情報が食い違っていることに留意


mora qualitasの場合は再生画面に96kHz/24bitなど楽曲の仕様を示す黄色い文字が表示される。ただし、端末のオーディオ性能表示はない


ひとつ気になるのは、今回のアップデートで「(ハイレゾストリーミングの)データはすべて192kHz/32bitに変換して再生する」というソニーの担当者のコメントだ。96kHz/24bitなどの楽曲も、192kHz/32bitに変換されて再生されるそうだが、変換をかけずにそのままで再生することは難しいのだろうか……。

ただ、手持ちのiBasso Audio「DX160 ver.2020」でAmazon Music HDの楽曲を流したときも、再生楽曲の仕様にかかわらず(96kHz/24bit音源であっても)ステータスバーに「192.0kHz」と表示されたので、もしかするとこれはAmazonアプリ側の仕様なのかもしれない。ちなみにmora qualitasの場合は、曲の仕様に合わせてCD音質や96kHzで再生していることがステータスバーに表示された。

iBasso Audioのプレーヤー「DX160 ver.2020」も、Amazon Music HDでは再生楽曲の仕様にかかわらず(96kHz/24bit音源であっても)ステータスバーに「192.0kHz」と表示された


なお、ウォークマンA100/ZX500でハイレゾストリーミング再生中は、ウォークマンが備えている高音質化技術「DSEE HX」の補間処理のオン/オフを切り替えられる。イコライザーや、アナログレコードの豊かな音源を再現するという「バイナルプロセッサー」なども有効にできる。筆者は元の音源の臨場感に浸りたいので、これらの機能はオフでソースダイレクト(音質調整せず素の音を出す)をオンにして聴いているが、好みの音を追求したいという人にとって便利なポイントだろう。

ハイレゾストリーミング中も高音質化技術「DSEE HX」やイコライザー、バイナルプロセッサーなどのオン/オフを切り替えられる


筆者はウォークマンでは常にソースダイレクトをオンにしている


続いて、ハイレゾストリーミング再生時のバッテリーの保ちもチェックした。e☆イヤホンオリジナルの密閉型モニターヘッドホン「SW-HP11」をウォークマンAにつなぎ、音量は耳にほどよく感じられる中くらい(60前後)に調整して、バッテリー残量がなくなるまでAmazon Music HD/mora qualitasのハイレゾ楽曲をWi-Fi経由でひたすら再生するテストだ。

一般的な使用シーンを考え、両サービスがあらかじめ用意している、宇多田ヒカルの人気曲(いずれも楽曲の音質は96kHz/24bit)を集めたプレイリストをチョイス。Wi-Fiのみオンで、シャッフル&リピート再生にして選曲ボタンを触らないようにしつつ、音楽再生に関係ない機能やBluetoothはオフにして、画面も消して余計な電力消費を抑える。ハイレゾストリーミング再生しながら、ウォークマンのバッテリー残量が何時間でなくなるかを各サービスにつき5回ずつ試した。

その結果の一例が、下のスクリーンショットだ。設定画面からバッテリー使用量のグラフをチェックしたところ、Amazon Music HDの宇多田ヒカル プレイリストを流しっぱなしにしたときは5時間50分〜6時間ほど再生できた。mora qualitasの宇多田ヒカル プレイリストでは6時間〜6時間半ほどと、Amazonよりは少し長持ちする結果だったが、2,30分でも長く保たせられるならmora qualitasを選ぶという考え方もアリだろう。

Amazon Music HDで宇多田ヒカル プレイリストを再生し続けると、ウォークマンA100シリーズでは5時間50分〜6時間ほど再生できた


mora qualitasの宇多田ヒカル プレイリストを再生し続けると、ウォークマンA100シリーズでは6時間〜6時間半程度再生できた


1日の通勤・通学時間を往復2時間として、通勤中にスマホなどのテザリングで高音質ストリーミングを楽しみ、それ以外では電源オフにする場合、単純計算で最大3日は保つ計算だ。実際は、出先ではあらかじめローカルに落としておいた曲を聴くだろうし、選曲などの操作で画面を点けたりBluetoothイヤホンと組み合わせたりすればまた条件も変わってくる。どんな使い方をするにせよ、こまめに電源をオフにしたり都度充電したりしたほうがよい、というところはこれまでの対処法と変わらなさそうだが……。

なお、Spotifyのストリーミング設定を最高音質にして宇多田ヒカル プレイリストを流し続けたところ、およそ8時間保つことが分かった。A100シリーズのバッテリーライフは、MP3 128kbps再生時で公称約26時間(デジタルNCオフ)だが、圧縮音源のストリーミングメインで使う場合も相当に電力を消費することが分かる。

筆者は日頃さまざまなガジェットを抱えているので、充電用のUSB-Cケーブルと大容量モバイルバッテリーを常に携帯しており、ウォークマンのバッテリー残量が少なくなっても継ぎ足し充電しながら使えるのでそれほど困らない。しかし、なるべく荷物を減らしたり、バッグを小さくしたい人には悩ましい結果だろう。ウォークマンAシリーズに関しては、サイズはそのままでバッテリーライフを大幅に強化したモデルの登場が待たれる。

ついに実現したハイレゾストリーミング対応。今後にも期待

Amazon Music HDやmora qualitasで音楽を聴くようになってから、筆者はあまりダウンロード型の音楽配信サービスを使わなくなってしまった。手元に好きな楽曲を置いておける安心感はもちろんダウンロードサービスのほうに軍配が上がるのだが、高音質である分ファイルサイズも大きくなるのでストレージの空き容量が必要になり、楽曲ライブラリが増えればより大容量のmicroSDを買わねばならない。

その点、サブスクなら月々CD1〜2枚買う程度の出費で数百万から数千万という聴き尽くせないほどの楽曲ライブラリに自由にアクセスできるうえに、懐かしい楽曲に出会えたり、気にはなっていたけれど持ってないアルバムをレコメンドされて、ロスレス音質でフルで聞けたりする。ハイレゾのダウンロード購入も決して安くはないので、定額で同じコンテンツが聴き放題になるなら、自然とそちらに傾く。学生時代、限られたお小遣いを握りしめて買いたい(借りたい)CDを選んだり、FMエアチェックのためにあくせくとMDを買い足していたのと比べれば、今は便利すぎてまるで夢のようである。

高音質サブスクを手軽に楽しめる時代に、ウォークマンでハイレゾストリーミング再生できるようになったのは嬉しいことだ。欲を言えば、ストリーミングでもライナーノーツが読めるようになるとありがたいし、まだまだ気になるポイントや細かな改善要望もあるが、おおむね今のハード・サービスには満足。ストリーミング非対応だったA50シリーズからストリーミング対応のウォークマンAに乗り換えておいて良かった、と実感している。Amazon Musicアプリの改善や、mora qualitasのさらなる楽曲追加にも期待しながら、長く使い続けていきたい。