「アップルには悪いが画質と音質が違う」ハンクス、新作の劇場スルーに落胆
Apple

米Apple TV+独占配信になった『グレイハウンド』の脚本を執筆し主演したトム・ハンクスが、この映画を劇場公開できないことに対して「非常にがっかりしている」と述べました。ハンクスいわく「アップルの大ファンたちを怒らせるつもりはないが、やはり劇場と配信では画質や音質が変わってくる」とのこと。

Apple TV+における4Kストリーミングのビットレートは、他の4K動画配信サービスに比べて高めで、AV製品レビューサイトFlatpanels HDの調べによれば平均29Mbps、最大41Mbpsとなっています。これはNetflixの平均16Mbpsに比べると格段に高く、その分映像の再現度も高くなることが期待されます。

しかしそれでも巨大なスクリーンに映写する劇場には遠く及びません。厳密にはエンコード方法の違いなどが画質に関わるものの、劇場で使用されているDCPフォーマットのビットレートは最大250Mbpsとされ、これはApple TV+の6倍強もあります。家庭用媒体で4K映像を堪能できるUHD-BDでも最大108Mbpsという高いビットレートを提供することを考えれば、長年を費やして作り上げた作品を最高の環境で公開できないハンクスの落胆は理解できます。

ハンクスはThe Guardianに対し「アップルの冷酷な鞭打ち処刑人たちがインタビューにおけるビデオの背景を真っ白にしろというので残念だが、私はいまApple TV(+)の要求に応じなければならない立場だ」と冗談めかして語っています。

とはいえ、まだまだ集客はむずかしいと予想される劇場公開を模索するよりは、Apple TV+独占として全世界一斉配信になるほうが、新型コロナを避け自宅にとどまる人たちを含め大人数の興味をひくことができるかもしれません。

『グレイハウンド』の配信開始は7月10日から。米国ではその直後あたりから多くの劇場が再開になる見込みです。