第二次世界大戦中にナチス・ドイツが運用していた暗号機「エニグマ」が、ネットオークションサイトのNate D. Sanders Auctionに出品されています。「完動品」とはいかず一部パーツ欠けや年数に応じた汚れはあるものの、美品と呼んでいい非常に良好な状態のエニグマが市場に出回ることは極めて珍しく、この歴史的に非常に高い価値のあるアイテムの初値には20万ドル(約2200万円)という価格がつけられています。

Lot Detail - Enigma Machine Used by Germany During World War II -- Very Scarce, as Germans Were Ordered to Destroy the Machines to Prevent Capture by the Allies

https://natedsanders.com/LotDetail.aspx?inventoryid=54590

Nazi Code-Making Enigma Machine Is Up for Auction

https://www.livescience.com/65591-enigma-machine-auction.html

出品されたエニグマは、1934年から終戦まで使われたモデルM3。およそ28cm×34cm×15cmほどの木箱に収まった状態で……



木箱を開けるとこんな感じ。表面に少しサビが浮いているものの、パーツの欠けなど目立った損傷はほとんどありません。



キーボードの下部に取り付けられたプレートには「A//00660/bac/43E」というシリアル番号が刻印されています。



キーボードの上には暗号化・解読の時に使われる26文字分の電球があり、失われているのはたった1つだけ。本体左上に取り付けられているバッテリーは当時のままで、70年以上経過して腐食している模様。



3枚のローターを本体に取り付けたところ。ローターは入力した文字を別の文字に変換する回転ボードで、複数ある中から3枚を選んで装着して使用しました。メッセージをキーボードで入力すると、1文字入力するごとにローターが回転し、解読難度の高い暗号を作ることができました。



ローターには、ナチス・ドイツの国章であるワシが刻まれていました。また、ローターに刻印されているシリアル番号は、本体のものと一致しているとのこと。



本来木箱についているはずの革製のストラップは失われているそうですが、木箱のふたの裏にはエニグマの使い方を記した説明書も付属しているそうで、かなりの美品といえます。



エニグマは、第二次世界大戦時にナチス・ドイツが使っていたことで知られる暗号機です。第二次世界大戦の終戦後、連合国軍は残存するすべてのエニグマを破壊するように命令したため、現存するエニグマは推定でおよそ250台と、非常に希少。Nate D. Sanders Auctionに出品されたエニグマは、終戦後にコレクターの手に横流しされてしまったものの1つとみられています。

なお、オークションは日本時間で2019年5月31日午前9時まで入札を受け付けています。