NASA、史上初の「火震」と思われる音を公開。InSight火星探査機が地中深くからの震動を検出

NASAが、火星へ送り込んだInSight探査機によって観測された、火星の地震と考えられる「音」を公開しました。今後データを精査し、確定すれば市場初の"火震"観測ということになります。InSightが火星で地震観測を開始したのは2018年末のこと。当初は北の新道から起こした「火星の風の音」を公開し、地球の隣の惑星の荒涼とした風景を我々の脳裏に想像させてくれました。その後、本来の目的である地震の観測はすぐには訪れなかったものの、ここ最近の3月14日、4月6日、4月10日、4月11日にはそれらしきデータを観測しており、中でも4月6日のデータは、風やinSight地震の揺れとははっきり異なり、火星内部から伝わった可能性が高いと判断されました。

InSightは、惑星の内部構造からの震動を検知するセンサーであるSeismic Experiment for Interior Structure、略してSEISによって、地中の何百mもの奥底までプローブを挿差し込まずとも、微妙な地震を感知できるようにしています。さらに、より微弱な現象については高感度な超広帯域センサーを併用して捉えるようになっています。

NASAの研究者は、火星でなぜ地震が発生するのか、その正確な原因を突き止めようとしています。現在はInSightのみの1点観測ですが、将来的に複数の着陸探査機を使った複数点観測を行えば、より正確な震源の検出や観測が実現するかもしれません。そのためには、まずInSightによってある程度火星の内部活動が明らかされる必要があります。

ちなみに火星の地震は火星の冷却で発生する収縮によるケースや、隕石が衝突した際の衝撃が伝わるケースなどがあると推測されています。InSightのデータによってより理解が深まるのに期待したいところです。