クルマ離れが叫ばれるこの時代に、カーライフの楽しさを知ってもらわんとするこの企画!

自動車を得意とするベテランライター・サトータケシが、クルマ担当の編集部員船山に、わかりやすくクルマの魅力を解説する!

今回の疑問は、「デートに行きたい!遠出するのに気持ちのいいクルマを教えて!」



船山:今月はちょっと遠出をする特集で、僕は箱根のおこもり宿を担当したんですよ。

サトー:へぇ、それは楽しそうだ。

船山:いやぁ、楽しかったです。東京から2時間で行ける場所ということで箱根と熱海だったんですけど、土曜の昼に出発してスモールラグジュアリーな宿に一泊、日曜日にランチを食べて帰ってくるんです。

サトー:で、おこもり宿はどう?

船山:よかったなぁ(遠い目)。部屋の露天風呂とおいしいご飯、あれは確実に飲み過ぎてしまいそうですね。ポルシェのマカンとアウディのS5スポーツバックで行ったんですが、どっちも快適で、クルマもまた楽しかった!

サトー:その2台なら間違いないだろうね。

船山:で、今月のお題なんですが、遠出をするのが気持ちのいいクルマを教えていただきたいです。



【Porsche Macan】カイエンの弟分という位置付けだが、その性能は折り紙付き。¥6,990,000〜



【AUDI S5 Sportback】伝統的クーペスタイルと、スポーティな佇まいが融合。美しいフォルムが秀逸。¥8,910,000〜


サトー:なるほど、グランドツアラー、つまりGTってことだね。いいでしょう。でもちょっと長くなるよ?

船山:そこをキュキュッと2ページにまとめてください。

サトー:まずね、かつてのヨーロッパの貴族は、子息を2年とか3年の長期旅行に出したんだ。たぶん見聞を広めてこいってことだと思うんだけど、それをグランドツーリングと呼んだそうだ。

船山:日本でいうところの、卒業旅行みたいなものでしょうか?

サトー:近いかもね。馬車からクルマの時代になって、グランドツーリングのためのクルマをグランドツーリングカーとかグランドツアラーと呼ぶようになった。

船山:具体的な車種はどんなクルマだったんですか?


ザ・GTな車種って一体どんなクルマ!?


サトー:これがグランドツアラーだという明確な定義はないけれど、たとえば英国留学中の白洲次郎はベントレーでジブラルタル海峡へ自動車旅行をしているね。パワーに余裕があるのはスポーツカーと共通だけど、長時間乗っても疲れない快適性とか、ある程度の荷物が積めるスペースがあるのがグランドツアラーだと言えるだろうね。

船山:では、船山におすすめのグランドツアラーを一台あげると?

サトー:スバルのレヴォーグを薦めるね。エンジンに余裕があって乗り心地もいいから快適。荷物も載るし、四駆だから悪条件でも苦にならない。アイサイトも付いているから安心だしね。



【SUBARU LEVORG】日本のグランドツアラーの最右翼はコレだ!日本の道路事情でも扱いやすいサイズと、ゆとりのある室内空間、広いラゲッジスペースなどが高いレベルで実現された。スバル独自の4駆システムやアイサイトの存在もあり、楽しく安心、快適に長距離ドライブができる。¥2,862,000〜

船山:アイサイトって、ぶつからないクルマってヤツですね。

サトー:そうそう、ぶつからない技術に加えて、車線をキープしながら前のクルマに付いて行く機能などもあるから、長距離でも疲れないし安心して走れるんだ。

船山:あと、GTという言葉を聞くと、従兄弟のお兄さんたちがスカG、スカGと言ってたのを思い出します。スカGってスカイラインのことですよね?

サトー:スカイラインも日本が誇るGTだね。その究極が日産GT-Rで、実はGT-R 50周年を記念して、スゴいモデルが発表されたんだよ。近未来感あるでしょ。



【NISSAN GT-R 50 by Italdesign】世界中のクルマ好きがぶっ飛んだ夢の1台。GT-Rの50 周年を記念して50台が生産される特別なモデル。最新の日産GT-R NISMOをベースにイタルデザインとのコラボで開発。見た目だけでなく最高出力720psを発生するエンジンなど中身もスーパーなドリームカー。99万ユーロ〜

船山:おおっ、これはガンダムが入ってる感じがします。

サトー:イタリアのイタルデザインというカロッツェリア(デザイン工房)と共同で開発して50台限定で販売するんだけど、お値段なんと99万ユーロから。1ユーロ124円として、1億2,000万円オーバー! 夢のクルマだね!

船山:これに乗ったら、天竺までのグランドツーリングに出たくなりそうです……。


サトーさんがガチで選んだ、ベストな一台とは?


サトー:取材に使ったポルシェとアウディの2台を簡単に振り返っておくと、ポルシェのマカンは日本でも扱いやすいサイズのSUV。ポルシェだからもちろんエンジンには余裕がある。

船山:素人の質問で恐縮ですが、エンジンのパワーに余裕があると遠出に向いているのですか?

サトー:そうだね、エンジンをあまり回さずに済むから運転に気を使わないし、音だって静か。

船山:なるほど!

サトー:アウディS5スポーツバックについては、魔法の絨毯に乗っているみたいに乗り心地が快適だから、どこまででも走れそうな気になってくる。

船山:ということは魔法の絨毯にお乗りになった経験はあおりで?

サトー:……。アウディのクワトロという四駆システムも素晴らしいから、タイヤさえスタッドレスにしておけば北は北海道から南は沖縄まで、長距離ドライブを安心して楽しめると思う。

船山:最後に質問ですけど、もしお金の問題がなかったとしたら、サトーさんならどんなクルマでグランドツーリングに行きたいですか? 行き先はどこでも!

サトー:そうね、いま考える理想のGTね……、だったらマセラティのレヴァンテGTSを選びたいかな。



【サトー’s RECOMMEND】Maserati Levante GTS。高級車やスポーツカーで知られてきたイタリアの名門がSUVに進出。SUVでもスポーツカーのような切れ味鋭い走りを見せ、特に最高出力550psV8ツインターボを積むGTSは圧巻。¥18,000,000

船山:へぇ、それってどんなクルマなんですか?

サトー:レヴァンテはイタリアの名門マセラティ初のSUVで、なかでもGTSはフェラーリのV型8気筒エンジンを積むスペシャルなモデル。パワーに余裕があるのはもちろん、音や加速感も刺激的で、しかも四駆の安心感もある。レザーの内装も上質だから、長時間のドライブも優雅に過ごせるよ。

船山:いいとこばかりですね。

サトー:ま、お値段もいいんだけど、夢の一台ということでね。ふなっしー(註:船山は編集部の一部でこう呼ばれる)もこのクルマで箱根のおこもり宿に行ったらテンション上がるよ。

船山:さらにお酒が進んで、酔っぱらってしまいそうです……。


〜サトータケシ今回の教訓!〜
自動車旅行の楽しさは、クルマ選びで半減もすれば倍増もする