国ははしごを外すと思う…浸透進む後発薬にくすぶる市場悪化の懸念
国は、特許の切れた先発薬ではなく、薬価の安い後発品を多く使う医療機関を優遇する制度を構築してきた。例えば18年度診療報酬改定では、「後発医薬品調剤体制加算」の枠組みを変更。従来は後発品の調剤数量が65%以上で18点、75%以上では22点を加算していた。これを75%以上は18点、80%以上が22点、85%以上で26点と改め、一層の後発薬使用促進をうたった。
だが、高齢化の進展などで社会保障費が年間5000億円程度増えている昨今の状況も勘案すると、点数の加算に限界はありそうだ。後発薬大手である日医工の田村友一社長は中長期の事業環境が不透明と考えており、「新中期経営計画(の発表)は19年5月を予定しているが、その時点で恐らく(自社の)数値目標は出せないのではないか」と語る。
日医工は手をこまねいてはいない。買収した米国企業を活用して海外事業拡大を図る一方、国内でもエーザイの後発薬子会社を19年4月1日付で傘下に収める予定だ。また、後発造影剤が主力の富士製薬工業は「後発品だけやっていたのでは、市場で勝ち残れない」(武政栄治社長)と判断。新薬や、医薬品製造受託の事業を伸ばす考えを掲げている。
ただ、日本の後発薬市場では「メーカー数が多すぎる」(厚生労働省幹部)との見解が根強く、さらなる合従連衡を期待する声は多い。事業規模拡大の必要性は新薬メーカーでも指摘されてきたものの、武田薬品工業やアステラス製薬は既に海外での売り上げが過半を占める。
一方で後発薬については、「海外でもシェアを取れるような会社が欲しいとの話が昔の(厚労省が策定した)『医薬品産業ビジョン』にもあったが、実現できていない。そこは(後発薬企業の)経営陣のリーダーシップの問題もあると思う」(UBS証券の関篤史アナリスト)。
後発薬は大手の日医工や沢井製薬でも米国深耕が道半ばの状況。21年以降の経営環境を見据え、大胆な決断を下す企業がどれだけ出るかによって、将来の日本メーカーの存在感が変わってきそうだ。
(文=斎藤弘和)
