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<内戦勃発から丸5年が経過したスーダンでは、武装勢力が民間人を強姦や強奪の標的にする絶望的な状況が続いている>

南スーダンでは、スーダンとの闘争を経て2011年に独立した直後から、キール大統領とマーシャル副大統領(当時)の両派が対立した。13年以降にはその政治的対立が、各派の支持基盤である民族間の紛争となり、内戦状態が丸5年続いている。

今年9月、両者が和平協定に調印したものの、北部のユニティ州では、一般市民が交戦中の勢力から直接のターゲットにされている。国連によれば、内戦開始以来220万人以上の民間人が住まいを追われ、そのうちの約12万人がユニティ州ベンティウ近郊にある民間人保護区には身を寄せているという。

先月30日、NPO国境なき医師団(MSF)は、ベンティウ近郊で人道援助のために設置された食糧配給所へ向かう女性たちを狙った強姦が多発し、過去10日間で、妊婦や10才の少女を含む125人がレイプ被害に遭った、と発表した。さらに、棒や銃床で殴打されたり、なけなしの金銭や食糧配給カードが強奪されたケースもある。

多大な犠牲を払って独立した新国家は、希望への第一歩を踏み出したはずだった。しかし、国づくりは破綻し、紛争の中で行き場を失った人々は、未来を描けないままに命を繋いでいる。


避難民キャンプの中で遊ぶ子供たち(ベンティウ近郊、11月)


徒歩2時間の距離を隣人に担がれてMSFのクリニックに来たニガイ(50)。病院の略奪が何度も起きているため、州南部にMSFの安定的な医療施設はない(ユニティ州ドージャック近郊、11月)


MSFのクリニック。医療援助は木の下などで行われている(ユニティ州ドージャック近郊、11月)


クリニックの近くで出会った女性。今年の内戦中に政府軍兵士5人からレイプされ、性感染症を心配している(ユニティ州ドージャック近郊、11月)

Photographs by EMIN ÖZMEN