アメリカと旧ソビエト連邦がにらみ合っていた1960年代の冷戦期、アメリカは自国の至るところに核ミサイル発射用の巨大なサイロを密かに建設していました。やがて冷戦は終了し、不要となったミサイルサイロを買い取って居住地区を持つ高級核シェルターに改造するプロジェクト「Survival Condo」が進められています。さまざまな物や施設の中身を特集するWhat's insideが、Survival Condoの豪華すぎる核シェルターをムービーで紹介しています。

What's inside a Luxury Doomsday Bunker? - YouTube

核爆発の爆風や衝撃に耐えられるほど頑丈に作られた核ミサイルサイロはアメリカ全土に72カ所が存在します。今回What's insideが潜入したのは、カンザス州某所にあるという地下サイロで、核シェルターに改造されたもの。ちなみに、サイロ内の居住地区の価格は1カ所につき150万ドル(約1億7000万円)から300万ドル(約3億4000万円)とのこと。



入り口の扉はめちゃくちゃ頑丈な鋼鉄製で、その厚さは子ども1人分の幅。



扉は自動ドアになっていて……



その上には鳥避けの装置が設置されています。この装置が鳥が嫌う超音波を発生させることで、サイロに出入りするときに鳥が飛び立って入り口の場所がばれるのを防ぐというわけ。



入り口をくぐってすぐのロビーはかなりの広さ。



施設内に入る前に、トイレとシャワーが設置されていますが、これは体の汚染を除去する施設の名残とのこと。



さっそく施設内部に入ると、サイロを建設した歴史や写真の記録が飾られていました。このサイロはアメリカ陸軍によって1960年代はじめに建設されたようです。



写真の中には、談笑しているジョン・F・ケネディ大統領のものも。ケネディもこのミサイルサイロを訪れたことがある模様です。



プロジェクト「Survival Condo」に賛同しているスポンサーには、TIME、Wall Street Journal、WIRED、BBC、National Geographicなど、名だたるメディアの名前がずらり。



少年の背後にあるのはすべてバッテリー。核戦争や災害でシェルターを使うことになった場合、まず直面するのがエネルギーの問題です。このサイロで予備電力として使われるバッテリーは潜水艦に搭載しているものと同タイプで、長期間の電力供給が期待できます。



娯楽室は明るく、観葉植物も置かれています。



ボルダリングが楽しめる壁面や……



ペットと遊ぶための広場など、さまざまな娯楽施設が用意されています。



ここまではサイロの上層階。地下には他にもさまざまな施設や居住地区が存在します。エレベーターそのものは当時のものを再利用しているようですが、赤い光とライトアップされた階層表示がいかにもSFらしい雰囲気を作ります。



これは空気中の火山灰をすべてろ過できる装置で、施設内に清潔な空気を提供することができます。



この灰色の容器は雨水をろ過して貯蓄する装置。泥や放射性物質を除去することが可能です。



サイロの壁に穴をあけて少年が入るとこんな感じ。厚さは9フィート(約2.7メートル)もあるとのこと。



コントロールルームには、監視カメラの映像モニターや報知器モニターがあります。



監視カメラはAIによって自動でコントロールされているとのこと。



もちろんシェルター内の秩序を乱す者や平安を脅かす者を閉じ込めるための独房も用意されています。



また、実銃を撃てるシューティングレンジも用意されているので、日頃から敵の攻撃に備えるために射撃訓練を行うことも可能。



地下には映画館もあります。



シートはふかふかのソファー。地下深くに作られた施設なので、爆音を響かせても近所迷惑にはなりません。



映画を見た後はバーで一杯飲むこともできます。



これは水ろ過システム。一日に1万ガロンの水をろ過することができるそうです。



虫歯になったら治療できるよう、歯科医療の施設も。



もちろん食糧は重要な問題。サイロ内には1人につき5年間分の食糧が用意されているとのこと。



フルーツや野菜、穀物が缶詰になって保管されています。



一角には、スーパーマーケットでよく見かけるような陳列棚も。「FISH MARKET」とあるので、新鮮な魚も売ることができるようですが、シェルターに逃げ込むような大災害が起こった後に果たして新鮮な魚を入手できるのかは疑問。



サイロ内に栽培プラントが設置されているので、新鮮な野菜の入手には困らないようです。



少年が本を読んでいるのは……



図書室でした。ただし、まだ本はそれほどそろってはいない様子。



図書室の一角にはPCコーナーがあり、子供の教育・学習に利用することができます。置かれているPCはすべてAppleのiMacのようです。



外に出て運動ができないので、トレーニングジムも用意されています。



もちろんサウナ・スチームサウナも完備。



いい汗をかいたら、ビリヤードを楽しむこともできます。外に出られなくても、娯楽は十分充実しているようです。



ここからは居住地区の紹介。居住地区はフルフロアとハーフフロアの2種類があり、最大宿泊人数はそれぞれ10人と5人となっています。



照明はすべてLEDで、窓の代わりに外の様子を映すデジタルサイネージが壁に埋め込まれています。



キッチンは十分な広さです。



寝室はこんな感じで、ここにも窓代わりのデジタルサイネージが壁に埋め込まれています。



もちろん洗面所や水洗トイレも部屋ごとに設置されています。



バスタブはなくシャワーのみですが、世界が終末を迎える中でシャワーを浴びられるだけでもぜいたくといえるかも。



トイレはウォシュレット完備。



そして家の隅にあるのがWi-Fiのルーター。デジタルサイネージの映像やPC、スマートフォンなど、すべてのデータのやりとりはこのWi-Fiを通じて行われます。



そして最後に紹介されたのが……



巨大なプール。ただでさえ貴重な水をふんだんに使って泳ぎを楽しむことができます。



また、壁に設置されたボタンを押すと……



滑り台に水が流れて、ウォータースライダーを楽しむこともできます。



取材を終えて帰る二人。サイロはフェンスで覆われて、厳重に管理されています。かつては冷戦の象徴であった核ミサイルサイロは、高級外車を軽く乗り回すような超富裕層しか契約のできなさそうな超高級核シェルターとなっていました。