大島本人には、招集した理由をどう説明する気なのだろうか。サッカーの方向性に対する疑念も湧く。縦に速いサッカー、バックラインの裏を突くサッカー、高い支配率を好まないサッカーとの整合性だ。

 柴崎についても同じ事が言える。ハリルホジッチの就任直後こそ呼ばれていたが、半年後のイラン戦(親善試合・2015年10月13日)を機に代表から遠ざかり、復帰したのはその約2年後に行われたアジア最終予選の対サウジアラビア戦(アウェー・2017年9月5日)になる。その後、柴崎が怪我をしたこともあるが、今回の代表復帰には、ストーリー的に無理を感じずにはいられない。

 なぜ呼ぼうとしなかったのか。柴崎は2016年のJリーグを制した鹿島の中心選手だ。その年の年末に行われたクラブW杯でも、決勝でレアル・マドリー相手に2ゴールを決める活躍を見せている。アギーレ時代に代表デビューを果たしていたので、実力者であることは分かっていたはずだ。にもかかわらず、呼ばなかったと言うことは、サッカーのスタイル的な問題に原因を求めざるを得なくなる。

 大島同様、柴崎もハリルホジッチの好みから外れた技巧派のMFとして位置づけられてきた。それが本番まで3ヶ月を切ったいま、揃って代表に復帰した。この脈絡の無さをハリルホジッチはどう説明する気なのか。

「その時、調子のいい選手を使う」と、今回の代表メンバー発表記者会見で、ハリルホジッチは何度かそうした台詞を吐いた。だが、僕にはそれが方便に聞こえてならなかった。100%否定する気はないが、それと同じぐらい、本番から逆算する目を持たないと、代表チームを計画的に強化することはできないのだ。

 大島、柴崎、以上に分かりやすいのは本田圭佑だ。逆算する視点の無さは、本田を外したり、加えたりする姿勢に端的に現れている。これでは選手は育たない。自覚も生まれない。中心選手が誰なのかも見えてこなければ、目指すサッカーの輪郭もボヤけてくる。この状態では、チームは固まっていかないのだ。