Galaxy S9/S8比較レビュー。進化したポイントを徹底チェック:Galaxy Tips
Galaxy UNPACKED 2018で発表されたGalaxy S9は、2017年6月発売の従来機Galaxy S8と見比べると、機能だけでなく、デザインの細かい部分も改良されていて、正統進化と呼ぶにふさわしい出来栄えです。

Galaxy S9に関するレビューや報道記事は既にネット上で多く露出していますが、今回は改めて両者の違いをまとめました。

なお、Galaxy S9の国内発売は未定。本記事で紹介するGalaxy S9はグローバル仕様となることにあらかじめご留意ください。

縦長ディスプレイはスッキリ&使いやすく



▲Galaxy S8(左)とGalaxy S9(右)

まずは前面をチェック。「Galaxy S9(以下、S9)」は「Galaxy S8(以下、S8)」と同様に18.5:9のインフィニティディスプレイを搭載し、どちらもホームボタンがありません。ただし、両機ともディスプレイ下部の中央を押し込むと、ホームボタンのタップに相当する操作が行えます。


▲Galaxy S8(奥)とGalaxy S9(手前)の前面上部を比較

端末上部に目を凝らすと、インカメラ周りのディティールが目立たなくなっているのがわかります。元々画面占有率の高い、縦長のディスプレイでしたが、ベゼルとの一体感が増しました。

また、ディスプレイのサイズは維持したまま、筐体の縦の長さが少し短縮されています。具体的には、Galaxy S8の149mmから147.7mmに、1.3mmほどコンパクトになりました。


▲Galaxy S9にて、「Samsung Note」と「電卓」を同時に起動(左)。中央の境目をタップし、ホームベース型の「+」アイコンをタップする。App Pairのアイコンが作成された(右)

このディスプレイを活かすための特徴的な機能として、S9では2つのアプリを同時起動するアプリアイコンを設定できる「App Pair」を利用可能です。例えば、上記の画面ではメモと電卓を同時に起動できるアイコンを作成しました。

筐体サイズが微妙に変化&弱点だったスピーカーもパワーアップ

▲Galaxy S8(左)とGalaxy S9(右)の上側面を比較

続いて、端末上側面を比較。この点については、大きく変化していない印象です。幅、厚み、重さともに増していますが、手に持ってもさほど気になることはないでしょう。

具体的な数値としては、幅が68mmから68.7mmで0.7mm増、厚みは8.0mmから8.5mmで0.5mm増。重量は150gから163gで13g増です。

外部メモリに関しては、Galaxy S8が最大256GB(microSDXC)をサポートしたのに対し、Galaxy S9では最大400GBまでの容量をサポートします。


▲Galaxy S8(左)とGalaxy S9(右)の下側面を比較

下側面を比較してみると、スピーカーの形状が変わっています。Galaxy S8では細かい格子状になっていますが、Galaxy S9は大きく開いています。設定可能な音量は約1.4倍まで増加しました。

実質的な性能としては、モノラルスピーカーからデュアルスピーカーになったことが重要です。Galaxy S8ではサウンドの再生がモノラルスピーカーだったので、縦長のディスプレイを活かしきれていませんでしたが、Galaxy S9からはDolby Atmosもサポートしており、旧機種よりも立体的なサウンド出力が可能なので、より動画コンテンツの視聴に適した端末となりました。ちなみに、スピーカーのチューニングは音響機器メーカーのAKGが担当しています。

バッテリー容量については、Galasy S8の3000mAhから変化していません。

SoCについて、S8ではQualcomm製のSnapdragon 835が採用されていましたが、S9ではSnapdragon 845となります(販売国によっては異なる)。

指紋センサーの位置が改良され、顔&虹彩認証も併用できるように


▲Galaxy S8(左)とGalaxy S9(右)の背面

背面の仕上げは両者とも同様。うっすらと鏡面になっていて、周りの景色を反射します。

カラーバリエーションについては、Galaxy S8がグローバル向けに発表された際に「Midnight Black」「Arctic Silver」「Maple Gold」「Coral Blue」「Orchid Gray」の5色がありました。なお、この中から国内販売されたのは、Midnight Black、Orchid Gray、Coral Blueの3色でした。

一方、Galaxy S9ではグローバル向けに「Midnight Black」「Coral Blue」「Lilac Purple」「Titanium Grey」の4色を発表しています。もし国内向けの発売が確定すれば、この中の2〜3色に絞られるでしょう。

カメラ周りの配置が変化したこともポイントです。Galaxy S8では、指紋センサーがレンズの右横に位置しています。このため、右手で端末を持つ場合には、指紋認証を利用する際に「指の腹がレンズに触れてしまう」と指摘されていました。

Galaxy S9ではこれを踏まえ、レンズの真下に指紋センサーを配置しています。実際に持ってみると、側面の電源キーに親指を添えながら指紋センサーを使う場合、やはりレンズに指が触れてしまいます。しかし、ここで「なんだ、改善されていないのか」と早とちりしてはいけません。

実は、Galaxy S8ではスリープ復帰をするために、電源キーを押す(またはホームボタンの位置を押し込む)という操作をしてから、指紋センサーへ指を伸ばす必要がありました。しかし、Galaxy S9ではいきなり指紋センサーに指を触れると画面が解除されるようになっています。

筆者が側面の電源キーに親指が届かない位置でホールドしたところ、指紋センサーに伸ばした指の腹がピッタリと当てはまりました。レンズ汚れの防止と、使いやすさの向上が同時に実現されています。

加えて、指紋の登録速度も速くなりました。S8では、指の腹を何度も押し当てる必要がありましたが、S9では指の腹でなでるようにスライドさせて登録を行います。ちなみに認証方法は「指の腹を押し当てる」のままなので、使い勝手は変わりません。

また、セキュリティ関連については、顔認証と虹彩認証を併用する「インテリジェントスキャン」機能を新搭載。顔認証のスピード感を活かしつつ、暗所での認証や、マスクを装着した際の認証が可能となっています。Galaxy S8では顔認証と虹彩認証のそれぞれに個別で対応していました。

F1.5のカメラは驚異的な明るさに


▲Galaxy S8で撮影した写真(左)とGalaxy S9で撮影した写真(右)を比較

カメラ性能については、既に多くの記事でも触れられていますが、紹介すべきポイントが多いので改めてご紹介しておきましょう。F値の変化が話題となりましたね。Galaxy S8でもF1.7という非常に明るいレンズを採用していましたが、Galaxy S9ではF1.5というさらに明るいレンズを搭載しています。

なお、既報の通りGalaxy S9+はデュアルカメラ仕様になりましたが、Galaxy S9はシングルカメラのままです。

Galaxy S9に搭載されるF1.5のレンズは、明るい環境では自動(プロモードでは手動)で、F2.4に切り替わるという機構を備えています。これにより、暗所ではより明るく、明るい場所ではノイズや白飛びを少なく撮影でき、幅広い条件下でよりきれいな写真を残せます。

ソフトウェア処理に関して言及すると、Galaxy S8では一度シャッターを押すだけで3枚の写真を撮影して合成する「マルチフレームテクノロジー」を採用していました。これにより、手ブレが目立ちやすいズーム撮影でも、見かけ上ブレの少ない仕上がりに合成できました。

一方、新モデルのGalaxy S9では、これが「マルチフレームノイズリダクション」機能に進化しています。4枚の写真を撮って合成した写真を、さらに3セット分合成します。つまり、計12枚の写真を合成してノイズを押さえるということです。



「スローモーション」が「スーパースローモーション」に変更


▲S8のスローモーションの編集画面(左)とS9のスーパースローモーションの編集画面(右)を比較

そのほか、スローモーション撮影の仕様にも大きな違いがあります。そもそもGalaxy S8では「スローモーション」という撮影モードが用意されていて、同モードで撮影した映像は、全体をスローモーションに変換できました。

一方、Galaxy S9ではこれが「スーパースローモーション」に変更されています。こちらは通常動画の間に960fpsで撮影したスローモーション映像が挟み込まれるように仕上がります。「0.2秒間を6秒間で再生できる」とのことです。

実際にGalaxy S9で撮ってみると、従来よりも被写体の躍動感が増した印象を受けました。一方、被写体の動きを検知した場面(または手動で適用開始を指定した場面)のみしか、スローモーションとして保存されない点には注意が必要です。

ただし、Galaxy S9ではスーパースローモーションで撮影した動画に対して、BGMを追加したり、GIFアニメとして出力したりするような「編集作業が容易に行える工夫」が施してあります。ただ撮影して終わりではなく、その映像をよりシェアしやすい素材として使えるようにしたのは、評価したいポイントです。

「エフェクト」 「AR絵文字」でスタンプが豊富に


▲Galaxy S8で使えたエフェクト(左)とGalaxy S9で使えるAR絵文字(右)

ちなみに、インカメラについてはスペック的な変化がありませんが、Galaxy S9ではユニークな機能として「AR絵文字」が追加されています。自身をモチーフとしたキャラクターを作成し、GIFアニメのスタンプとして出力するなどして楽しめます。

ちなみに、Galaxy S8では「エフェクト」として自身の顔にスタンプを重ねることができました。Galaxy S9ではこの機能もAR絵文字の中に残っています。従来あった可愛い路線のスタンプに加え、ポップな路線のスタンプも追加されています。自分のスタンプしか使えないわけではないのでご安心ください。


▲Galaxy S8とGalaxy S9の主なスペック・特徴を比較