11日、大阪市内の阪神電鉄本社で行われた西川恭爾・同社社長との会談を終えて、記者団の質問に答える村上ファンドの村上世彰代表。(撮影:常井健一)

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阪神電気鉄道株の西川恭爾社長との初のトップ会談を終えた同社筆頭株主の投資ファンド「M&Aコンサルティング」(通称・村上ファンド)の村上世彰代表は11日午後、大阪市福島区の同本社1階のロビーで記者団の取材に応じ、阪神タイガース球団株の上場について「『村上タイガース』なんてことはありえない。私は球団経営する気は毛頭ない」として、「ファンが望まないのなら、上場にこだわるわけではない」との意向を阪神側に伝えたことを明らかにした。その上で、村上氏は、上場を問うため、3分の1を是非の基準とするインターネットでのファン投票の実施を求めたとしている。

 球団株上場を想定していない野球協約に抵触する可能性について「ファンの民意が野球協約に反映されているのかどうか、一部のオーナーの意思だけで決まってないか」と各球団経営陣を批判。「阪神タイガースホールディングスという形で上場することもおかしくない」と持株会社方式による上場を検討していることを示した。

 また、村上氏は「まったく利用していない不動産を10年間も野ざらしにしてはまずい」と保有資産の有効活用を求めながらも、阪神球団の本拠地・甲子園については「甲子園を愛した人間として、つたがからまる汚い外観のほうがいい」と改修にとどめ、移転させる意思がないことを明らかにした。西川社長との間では、具体的な物件をあげての意見交換はなかったとしている。

 阪神電鉄株を大量取得した理由について◆IRをしたことがないので株価が安い◆愚直できちんとした経営をしている ─ として、西武鉄道株を取得した昨年から鉄道関連株に注目していたことを明らかにした。さらに、新たな買い増しについて「ある一定の株価水準までなら、いくらでも買いたいということを経営陣に伝えてある」と意欲を示し、中長期的に保有する意思があることを強調した。

 村上氏への取材は、西川社長の前に行われ、約1時間にわたり記者団の質問に積極的に答えた。同氏は、冒頭で「阪神タイガースのファンや関係者に多大なご心配をおかけしたことを深くおわび申し上げたい」と謝罪。同球団の日本シリーズでの活躍に期待を寄せた。【了】

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