ネットリンチにどう対策するか

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NHK「クローズアップ現代+(クロ現)」で紹介された「ネットリンチ対策」の方法について、ITジャーナリストの三上洋氏はツイッターに「炎上加速させちゃうことあるよね」と投稿した。

番組では「アカウント閉鎖」「削除依頼」「告訴」の3点をあげていた。どういう問題があり得るか、J-CASTニュースは三上氏に取材した。

「ネットリンチに遭った際の対策」

2017年11月13日放送の「クロ現」では、ゲストに、ネットで5年以上嫌がらせを受けているという唐澤貴洋弁護士が出演した。ある人から誹謗中傷書き込みを削除してほしいとの依頼があり、ネット掲示板にその旨を書いたところ、今度は自身もネットリンチのターゲットにされた経験がある。

唐澤氏が「ネットリンチに遭った際の対策」としてあげたのは、(1)自分のアカウントをすぐに閉鎖する(2)削除依頼をする(3)告訴する――の3点だった。

(1)は「常に有効な方法ではありませんけれど」と前置きし、「ネットリンチはそのネタを常に探しているところがあります。アカウント上に載っている情報がさらなるリンチを呼びかねません」と説明。(2)は「ネットリンチの規模にもよりますが、小規模なら記事削除してもらうよう、サイト管理者に請求することも有効です」とし、(3)は「書き込み内容にもよりますが、違法性が強ければ逮捕を含めた厳格な警察の対応が現実に行われています」と順に説明した。

こうした対策についてITジャーナリストの三上洋氏は13日夜、「これ逆効果のような。炎上加速させちゃうことあるよね。。。」とツイート。疑問を示した。

三上氏は16日のJ-CASTニュースの取材に、3つの対策について「状況によりますが、ネットリンチをエスカレートさせるおそれがあります」として、こう話す。

「『隠蔽』や『脅し』と捉えられかねない状況では、火に油を注ぐ行為」

「まず『アカウント閉鎖』をすると、公に意見を表明する場がなくなります。次に『削除依頼』はイタチごっこになりがちで、ただ削除しても同じ内容が繰り返し書かれていきます。削除したい情報があるのだと加害者側に伝えることにもなり、弱点をさらすことになりますので、何もしない場合よりも炎上が加速するおそれがあるのです。デマであれば長期的には削除依頼をすべきですが、その際もなぜ削除するかを説明する必要があります。

『告訴』については、対決姿勢を示すことになります。生活に支障が生じないよう、都道府県警のサイバー犯罪対策課などに相談するのは重要です。一方、いわれがなくてもリンチされている側に疑惑がもたれた状態では、告訴する旨を公にした場合『脅し』と捉えられ、反感を買ってしまいます」

こうしたことから「『隠蔽』や『脅し』と捉えられかねない状況では、火に油を注ぐ行為になります」と言う。一方「デマであれば長期的には削除依頼をすべきですが、その際もなぜ削除するかを説明する必要があります」とも話している。

では、どう対策を取るべきか。三上氏はこう話す。

「情報公開です。デマが流れ誹謗中傷を受けたら、SNSやメディアを通じて『自分はこういう者で、こういう状況に置かれているが、この情報は間違っている』と公にアナウンスすることです。難しければ匿名のブログでもいいです。個人でできなければ弁護士に依頼し、正しい情報を発信してもらいます」

「クロ現」では、お笑い芸人・スマイリーキクチさんも出演。ネットに書かれた虚偽情報によって殺人犯扱いされ、誹謗中傷を受け続けた。現在も殺害予告が届くことがあるという。実体験にもとづき、キクチさんは「まず冷静になる気持ちで投稿を集める。嫌がらせの電話などは録音する。警察に行く前に、ネットの捜査ができる刑事さんがいるかを尋ね、日時を決めて行く。そうすると捜査してくださる可能性は高いです」と述べていた。