ヤンキース・田中将大【写真:田口有史】

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今季終了後にFAとなれる権利、地元メディアは「タナカはオプトアウトする」

 ア・リーグ優勝決定シリーズでアストロズに3勝4敗で敗れたものの、開幕前の予想を大幅に覆す大健闘を見せた2017年シーズンのヤンキース。現在、開催されているワールドシリーズが終われば、多くの契約問題が注目を集めることになる。今季終了後に契約を破棄してフリーエージェント(FA)となれる「オプトアウト」の権利を持つ田中将大投手の去就、メジャー挑戦が有力視される日本ハム・大谷翔平投手の獲得も含め、地元メディア「ノースジャージー・コム」が大胆予想を展開している。

 田中は今季、浮き沈みの激しい1年を送った。レギュラーシーズンでは好不調の波が大きく、辛辣なニューヨークメディアから絶賛を受けたと思えば、次の登板では酷評されるなど、評価は乱高下した。結局、30試合登板で13勝12敗に終わり、勝率.520、防御率4.74は自己ワースト。目標としていた200イニングにも届かず、投球回数は178回1/3にとどまった。

 しかし、ポストシーズン(PS)で評価を一変させた。負ければ敗退が決まる地区シリーズ第3戦でリーグ最高勝率のインディアンスを完璧に抑え込み、2連敗から3連勝という奇跡の逆転突破の立役者となると、アストロズとのリーグ優勝決定シリーズでも1勝1敗ながら2試合連続で好投。特に、本拠地での第5戦では7回3安打無失点の快投で勝利投手となり、3試合で計20イニングを投げてわずか2失点と絶大な勝負強さを発揮した。大舞台になるほど力を発揮する右腕は、名門ヤンキースで最も重視される10月の戦いで真価を発揮し、ファンを熱狂させた。

 この活躍でニューヨークで“危惧”されているのが、田中の去就。2014年に7年総額1億5500万ドル(約176億円)の大型契約で加入した田中だが、今季終了時点で「オプトアウト」できる権利を盛り込んでいるからだ。契約を破棄してFAとなり、再契約せずにヤンキースを出ていってしまうのではないか。大車輪の活躍を見せたことで、そんな不安が高まっている。

「ノース・ジャージー・コム」は「ヤンキースのオフシーズンについて水晶玉を覗き込む」とのタイトルで特集記事を掲載。オフの注目点として、いくつかの項目を挙げているが、そのうちの1つで「タナカはオプトアウトする」と断言している。

PSの活躍で評価は再浮上、さらなる巨額契約へ「誘惑にノーと言う理由はない」

「しない理由があるだろうか? 日本人スターの価値はポストシーズンで指数関数的に上昇しており、その値段が厳密にいくらなのか確かめないのは愚かだ。ア・リーグ優勝決定シリーズ後にタナカは記者に対しヤンキースに戻りたいと答えていたが、それを深読みしすぎてはいけない」

 寸評では、このように指摘。「もしタナカが真逆のことを言っていたら、実際にニュースとなっていたことだろう」とも言及している。

「こういう見方をしてみよう。タナカの代理人が(彼が結んだ契約に)オプトアウトを含むことには確かな理由があった。というのも、彼らのクライアント(田中)が他でより巨額の契約を結ぶことができるというアイデアを検討することができるからだ。その誘惑にノーと言う理由はない」

 ヤンキースと残す3年の契約よりも、いい内容のオファーが届く可能性は十分にあると代理人は見ているという。その可能性がこのポストシーズンで飛躍的に高まったことは確かだ。

 その上で、記事ではもう1つの項目を設け、「タナカは退団する」と大胆予想。寸評では「彼は現在エースなので、ヤンキースは引き止めるために全力を注ぐだろう。しかし、球団幹部らはタナカの右肘内側側副靱帯の部分断裂と、それがいつでも破裂しうることを忘れてはいない。内部ではタナカがオプトアウトを選んだら引き止めないという決断が8月になされている」と分析している。

 1年目に右肘靭帯部分断裂で約2か月半離脱した田中だが、その後は問題が出たことはない。不安を十分に払拭するパフォーマンスを見せてきたが、米国内では肘の状態を懸念材料とする見方が多く、いずれは手術が必要になると見られている。そのため、田中が契約を履きしてFAとなった場合、ヤンキースが再契約に動く可能性は低いというのだ。

大谷の移籍先も大胆予想「ヤンキースと契約する」

 もっとも、アレックス・ロドリゲスが2007年シーズン終了後に契約を破棄し、新たに10年契約を結び直した際に、「オプトアウト」すれば引き止めないとヤンキースのフロントが当初明かしていたことも記事では紹介。FAを選んでも、どうなるかは分からないと言えそうだ。MLBの規定により、田中はワールドシリーズ終了から3日以内でオプトアウトの権利を行使するのかどうかを決めることになる。

 また、今オフにもメジャー挑戦に踏み切ると見られている大谷も特集に登場。「ショウヘイ・オオタニはヤンキースと契約する」と、こちらも大胆予想を展開している。

 記事では、「もちろん完璧な憶測」としながら、「彼はメジャーリーグの研ぎ澄まされた競争だけでなく、特にヤンキースに興味を持っていると言われている。私の直感ではオオタニはブロンクスでタナカの代わりに落ち着く」と言及。本当に根拠のない予想となっているが、果たしてどうなるだろうか。

 この他、今季限りで契約が切れるブライアン・キャッシュマンGMについては、「契約延長」を予想。「キャッシュマンがすでにハル・スタインブレナーと良好な関係を築いている事実が、この決断をオフシーズンの中で最も簡単なものにさせる。GMは4年目は球団オプションのついた3年契約を結ぶだろう」としている。さらに大型契約が終了するベテラン左腕について「CC・サバシアは1年1500万ドル(約17億円)で合意する」と指摘。「スターリン・カストロはトレードされる」と正二塁手の放出も予想している。

 一方、同メディアは契約満了となるジョー・ジラルディ監督について「続投」と分析していたが、こちらは退任が発表され、予想が外れる結果となった。

 ヤンキースは来季をどのようなメンバー構成で迎えるのか。その中に、田中、大谷の名前はあるのか。目が離せないオフシーズンになることは確かだ。(Full-Count編集部)