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厚生労働省は10月24日、「2017年版 厚生労働白書」を公表した。今回は「社会保障と経済成長」をテーマに、経済成長という視点から社会保障の在り方についてまとめた。

○高齢者以外の世帯で「400万円未満」の世帯が増加

同省が実施している「国民生活基礎調査」のデータを基に、1994年〜2014年にかけての家計所得(年間)の推移を分析したところ、高齢者世帯以外の世帯では、世帯総所得が「400万円未満」の世帯が増加し、「1,000万円以上」の世帯は減少したことがわかった。

特に30代は全体として所得の低い方にシフトしており、「300万円未満」の世帯が増加する一方、「400万〜700万円未満」の世帯は減少。また1世帯当たり平均総所得は591.6万円から558.9万円に、中央値も540万円から528万円に減っていた。要因としては、単身世帯や一人親世帯の増加などがあると推測している。

一方、65歳以上の高齢者世帯では、世帯総所得が「100万円未満」の世帯は減少したのに対し、「200万〜500万円未満」の世帯は増加。1世帯当たり平均総所得は304.9万円から297.3万円とやや減少し、中央値は219万円から240万円と若干増加した。白書は、高齢者世帯の所得分布が改善した理由として、「年金制度の成熟化」が影響していると分析している。

また日本の所得再分配機能は、現役世代に比べて給付面、負担面共に高齢世代に手厚い構造になっていると指摘。その上で「今後は、世代や世帯の構造ごとに、それぞれの世帯の状況をよりきめ細やかに見て再分配政策を考えるとともに、現役世代の所得向上支援や全世代型の社会保障への転換を推進していくことが必要」との見方を示した。