なぜ豪州はアジアでW杯予選を戦うのか 英紙も疑問視「不思議に思うファンもいる」

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オーストラリアは06年にオセアニアからアジアに転籍 「なぜFIFAは許可したのか」

 ロシア・ワールドカップ(W杯)アジア最終予選でグループB・3位に終わったオーストラリア代表は、同A・3位のシリア代表と10月5日、10日にホーム&アウェーのプレーオフを戦う。

 シリアの政情不安を受けて、第1戦はマレーシアで開催されるが、英紙「ザ・サン」は「なぜオーストラリアはアジアで戦っているのか?」と特集した。

 オーストラリアは1966年にオセアニア連盟(OFC)に加盟。オセアニアにはW杯の自動出場権が与えられていないなか、1974年には韓国、2006年にはウルグアイとの大陸間プレーオフを制して本大会出場を果たした。その後、05年にOFC脱退とAFC加盟が決定、FIFA(国際サッカー連盟)も速やかに転籍を承認し、06年1月から「AFC加盟国」となることが決まった。10年、14年には“アジア代表”として2大会連続で世界の舞台にも立っている。

 そんななか、サッカー発祥の地・英国紙「ザ・サン」は、W杯アジアプレーオフを前に改めてオーストラリアの立ち位置について着目。「オーストラリアはアジアプレーオフでシリアと戦う準備を進めている。しかし、地図を見てみると、なぜこの両チームが対戦するのか不思議に思うファンもいるだろう」と言及し、「なぜFIFAは所属大陸の転籍を許可したのか?」と疑問を呈している。

転籍後は2大会連続出場を果たしているが…

 記事では、オーストラリアがOFC所属時代に1966年(対北朝鮮)、70年(対イスラエル)、86年(対スコットランド)、94年(対アルゼンチン)、98年(対イラン)、2002年(対ウルグアイ)と大陸間プレーオフで敗退していることに言及。そして、06年に前回敗れたウルグアイを破って本大会出場権を得たことを触れるとともに、OFC脱退以降は10年W杯にニュージーランド、13年にはコンフェデレーションズカップにタヒチ、16年のリオデジャネイロ五輪にはフィジーとオーストラリアに比べてマイナー国が出場を果たしていることを報じた。

 逆に、オーストラリアが加入したアジアでは中東勢が割を食っているという。過去2大会、中東勢ではイランがW杯出場したのみと“オーストラリア・ショック”が顕著。煽りを食らった中東諸国が加盟国再編を求めるのではと憶測が流れた時期もあった。

 奇しくも、今予選はイラン(グループA・1位)、サウジアラビア(グループB・2位)と中東2か国が本大会進出を決め、オーストラリアはシリアとプレーオフを戦うことになった。果たして、サッカルーズ(オーストラリア代表の愛称)は4大会連続5回目となるW杯への切符を手にできるだろうか。

【了】

フットボールゾーンウェブ編集部●文 text by Football ZONE web

ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images