「斎藤は最近、好調だっただけに残念」

「植田直通は、先週のガンバ戦で非常にいいパフォーマンスを見せていた」

 またしても代表から外れた西川周作についても「最近調子が上がってきている」と述べている。だったら、なぜ選ばないのか。

 この会見は、ハリルホジッチの演説で始まった。日本はボール支配率を重視する傾向が強すぎる、と。会見時間の半分近い時間を、日本サッカー界への反論に費やした。突っ込み所満載の荒っぽい説明だったが(それは別の機会に書くとして)、ハリルホジッチがそうではないサッカーを標榜していることが、明確になった瞬間だ。

 ならば、それと選手選考の基準とは、どんな関係があるのかをセットで語る必要がある。ボール支配率を重視するか否かは、理念の問題だ。簡単に言えば監督の趣味の問題。重視しないと言い切るなら、こういうサッカーがしたいから、こういう選手を選びたい。あるいは、選んだつもりだと、選手の好みも明確に示す必要がある。コンディションばかりを切り口に、選考理由を語られても、自らの理念は浸透していかない。説得力に欠ける発言になる。

 毎度約1時間に及ぶ、メンバー発表の会見は、この日に限らず、ほぼハリルホジッチの独演状態になる。自らのサッカー論を語る時間はたっぷり用意されているが、それは名監督の演説には程遠い内容だ。こちらのサッカー観を触発させる、なるほど! という台詞は聞こえてこない。本番で何かをしてくれそうな気配をハリルホジッチには感じない。感じさせてくれる監督でないと、支持する気持ちは湧かないのだ。