世界の工場として成長を続けてきた中国の製造業だが、近年は人件費の高騰など各種コストが上昇している。安かろう悪かろうと言われながらも、価格競争力の高さで世界中に製品を輸出してきた中国。しかし、中国のコスト優位はもはや失われつつあるようだ。(イメージ写真提供:123RF)

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 世界の工場として成長を続けてきた中国の製造業だが、近年は人件費の高騰など各種コストが上昇している。安かろう悪かろうと言われながらも、価格競争力の高さで世界中に製品を輸出してきた中国。しかし、中国のコスト優位はもはや失われつつあるようだ。

 中国メディアの華爾街見聞は23日、中国の労働力におけるコスト優位は今まさに失われていると伝え、中国で生産を行っていた外資メーカーが続々と工場を移転させている今、「中国は新しい成長モデルを見つける必要がある」と伝えている。

 中国では人件費の上昇に加え、15歳から59歳までの生産年齢人口が減少に転じており、これまでの安価な労働力を強みとした経済モデルは転換を迫られている。記事は、上海や北京、深センといった中国の大都市における人件費は東南アジア諸国はもちろん、今やクロアチアやリトアニア、ラトビアといった欧州の一部の国より高くなっていると紹介した。

 中国で生産を行っていた企業のなかには、より人件費の安い東南アジアに拠点を移す動きが見られるほか、本国に回帰する動きもあるとし、特に日本企業のなかには「日本で生産したほうがより高品質なものを作れるうえ、日本経済の回復にも貢献できる」として、日本に生産拠点を戻す動きが増えつつあると伝えた。

 中国製造業はこれまで各種資源を大量に投下し、資源を浪費しながら低効率のもとで低付加価値な製品を生産してきたとする一方、これまでのコスト優位を失うなかで、より付加価値の高い製品づくりを迫られていると指摘。そしてこれは中国経済の構造転換が必要であることを示すと伝え、中国は今、新しい成長モデルを見つける必要に迫られていると報じている。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)