By christoph-schulze

アメリカ映画では死者を棺に入れて埋葬する土葬のシーンをよく見かけますが、近年のアメリカでは、葬式を火葬にする人の割合が過半数に達しているとのこと。火葬が主流になりつつあるアメリカですが、多くの葬式会社はウェブサイトに火葬費用を記載しておらず、相場がどれくらいなのかわかりづらい状態なのですが、アメリカの主要な40の都市で火葬費用がどれくらいに設定されているのかを調査したデータが発表されています。

How Much Does a Cremation Cost?

https://www.parting.com/blog/the-incredibly-uncompetitive-cremation-market/

数世紀にわたってアメリカでは土葬の文化が続いてきましたが、全米葬儀ディレクター協会および北アメリカ火葬協会の調べによると、2018年までにアメリカ葬式で火葬を選択する人の割合は、51.6%に達する見込みとのこと。北アメリカ火葬協会によると、火葬率の高い州では土葬の文化のない宗教を信じる人や、無宗教の人が多いことがわかっています。また、数百ドル(100ドル=約1万1000円)の骨壺で済む火葬と違って、土葬には数千ドル(1000ドル=約11万円)かかる棺が必要なことも、火葬を選択する理由につながっています。火葬にしたことで浮いた棺代を使って、葬儀自体を山頂などの特別な場所で開催するための費用に充てることもあるそうです。



これらの事情を踏まえて、葬式会社の比較サイト・Partingがアメリカの火葬費用の相場を調査したのですが、多くの葬式会社は火葬の費用をウェブ上で公表しておらず、連邦取引委員会も葬儀会社が葬儀費用を隠す傾向にあることを認めているとのこと。費用が不明な葬式会社では、メールか電話で問い合わせてようやく正式な金額がわかる状態であり、調査は難航したとのこと。

ウェブだけでは正確な費用の比較ができなかったアメリカの火葬費用ですが、Partingが粘り強く調べた結果、火葬の最も基本的なサービスで、葬儀はせずに火葬だけを行う「Direct Cremation(直接火葬)」の多くは1000ドル(約11万円)前後という価格に設定されていたとのこと。一方で、同じ直接火葬でも、場所によっては4000ドル(約44万円)以上に設定している葬儀会社もあり、葬儀などの追加サービスを含めると9000ドル(約99万円)以上を請求するケースも確認できたそうです。

以下はアメリカの直接火葬の費用を葬儀会社の数で示したグラフで、最も多くの葬儀会社が直接火葬の費用として設定しているのは、1000ドル〜2000ドル(約22万円)で、次に多いのが2000ドル〜3000ドル(約33万円)となっています。なお、葬儀会社の中には自前で火葬場を持っていることがありますが、それ以外の葬儀会社は他社の火葬場を借りてサービスを提供することになります。火葬場を借りる手数料を含めると費用が高額になるのですが、葬儀会社ではこの手数料について説明していないところが多く、価格だけで比較するのが難しくなっているとのこと。



アメリカの40都市で、直接火葬の最大価格と最低価格、およびその差額をリストアップすると、以下のようになります。最も格差が激しいのはニューヨークで、最低価格は550ドル(約6万円)なのに対して、最高価格は1万125ドル(約112万円)となっており、100万円以上の差額が生まれているのがわかります。2番目に格差の激しいワシントンD.C.でも最高価格が7000ドル(約77万円)以上となり、注意深く比較しなければ、同じ火葬でも天と地ほどの差額を支払うことになります。



Partingによると、高額な価格を設定している会社は追加サービスにあまり注意を払っていませんが、低価格の会社は追加サービスを提示してくる可能性が高いとのこと。追加サービスとは数千ドルする火葬用の棺が主な製品で、ほかにも葬式用の花や遺体の防腐処理サービス、遺体の預かりなどがあります。アメリカにおける直接火葬の平均額は2057ドル(約23万円)ですが、追加サービスの費用を含めた火葬の平均額は3650ドル(約40万円)になるそうです。また、州ごとに見ると最も火葬費用の平均額が高いのはコネチカット州で、最も安いのはネバダ州だったこともわかっています。