世界中に熱狂的なファンを生み出した『アベンジャーズ』や『トランスフォーマー』など、いわゆるヒーローもののブロックバスター作品に、またひとつ新たなシリーズ『パワーレンジャー』が参入した。全米ではオープニング興収4000万ドル以上という大台を叩き出し、すでにムーブメントを起こしている本作が、いよいよ日本でお目見えする。

小さな町エンジェル・グローブに住むティーンエイジャー5人が、ある日、強靭なパワーを手にすることになり……と物語を紹介すれば荒唐無稽にも思われそうだが、劇中では5人がスーツを身に纏うまでの葛藤やいきさつがきちんと描かれており、アクション映画であると同時に、エモーショナルな人間ドラマとしても楽しめる。

物語に厚みを与えたピンクレンジャー(キンバリー・ハート)を熱演したナオミ・スコットが、このほど来日。日本語吹替版を務めた広瀬アリスと、ふたりで和気あいあいと単独インタビューに応じてくれた。

――おふたりは、LAのワールドプレミアでお会いしているんですよね?

ナオミ:そうです。こんなにキレイな方、忘れられないもの。

広瀬:いえいえ、いえいえ(笑)!

ナオミ:またお会いできてうれしい。

広瀬:私もです! 日本で初めての取材ですか?

ナオミ:そうなんです!

広瀬:わ! 一番最初だ!

――ナオミさんはこの役が決まったときの気持ちを、広瀬さんは初の日本語吹替版への挑戦をおうかがいしたく、いかがでしたか?

ナオミ:すごくうれしかったです。私も子供のときに「パワーレンジャー」を観て育って、そのときからキンバリーというキャラクターにすごく惹かれていました。キンバリーは少し意地悪なことをしてしまって、そのことを後悔していて、それに向き合わなければいけないというキャラクターなので、普通のヒーロー作品とは少し違った描かれ方をしているから珍しいと思ったんです。スーパーヒーローという面でも魅力的だけど、とにかくキンバリーという女の子を演じたいなと思いました。

広瀬:私は上に兄がいるので、元々戦隊ものは小さい頃から自然と観ていました。大人になってから『パワーレンジャー』に携わることができて、しかも初めての声優だったので、すごくうれしくて。私もですけど、特に兄が喜んでいて(笑)。ジャパンプレミア(※この日の取材の夜に行われた)にも来るんですけど、楽しみすぎて前乗りしてきちゃって。兄がいろいろな人に自慢しています(笑)。

ナオミ:ワオ、会いたいわ!

――おふたりは、キンバリーと近しい点はありますか?

ナオミ:性格的には全然違います。

広瀬:へえ〜。

ナオミ:どちらかと言うと、イエローレンジャーのトリニー(ベッキー・G)のほうに近いですね。面白いのが、(実際の性格は)ベッキーのほうがキンバリーに似ているんです。いつも、ふざけて「逆よね」って言っていました(笑)。

広瀬:私も自分の性格とは違います。ただ、キンバリーが起こしてしまう女の子同士のいさかいみたいなことは、すごく日本にありそうですよね。同世代としては、理解できる部分はいっぱいあるなと思いました。そこからキンバリーが自分と向き合っていく姿というのは、尊敬します。こういう時間って、きっかけはどうであれ大事な時間なので。

――冒頭で、キンバリーが自分で髪をバッサリ切りますよね。あの所作が彼女の強い意志を表していたと思いました。

ナオミ:本当にその通り! でも、アリスさんは切らなくてよかったね(笑)。

広瀬:えっ、本当に自分の髪を切ったんですか?

ナオミ:お尻くらいまであった髪を切りました。しかも、1回だけのテイクで。

広瀬:ええー!

ナオミ:あとは、いろいろな角度から撮るので、ウィッグをつけて3回切りました。全部で4テイク撮ったんですけど、皮肉なことに、自分の髪を切ったテイクは使ってもらえなかったの(笑)。

広瀬:えええー!

ナオミ:切り方は教わったから、かなり出来はよかったはずなんですけどね(笑)。

――ヘアカットも挑戦のひとつだったと思いますが、スーツを着ることもなかなかない経験ですよね?

ナオミ:今言われて、どれだけスーパーヒーローを演じられることが幸運だったのか、特別なことなのかを思い出しました。でも物理的には、すごくつらかった(笑)!

広瀬:辛いですよね!? 着るのにどれくらいかかるんですか?

ナオミ:最終的には1時間半まで短縮したんですけど、あのスーツ、何層にも分かれていたんです。そのうち1層がかなりタイトで、その上に装甲をつけるんです。動きが制限されて、動けなくなるし、何より重い! だから、スーツを着ているときは、映画とは違って動きが鈍くなってしまうっていう(笑)。本当にスタントマンたちがすごくて、私やベッキーがロボットのようにしか歩けないなか、彼らは素早く演じていて「すごい!」って興奮していました。

広瀬:あと、日本の戦隊モノってフルフェイスが多いですけど、この作品は顔が見えますよね。そこもすごく大事な気がしました。

ナオミ:アリスさんの言う通りで、ティーンエイジャーたちが戦っているというのをわかってほしいから、顔が見えるのは大事ですよね。この作品のメタファーは「自分のマスクを取ろう、本当の自分を見せよう」ということだと思うので、顔が見えることにも通じていますよね。

――アクションも人間ドラマも両面楽しめる作品だからこそ、世界で大ヒットしています。ナオミさんの知名度もググッと上がったと思いますが、そのあたりはいかがですか?

ナオミ:私の場合、「この作品で世界の方に知っていただける」というような考え方は、あまりしないんです。ただ、特別なチャンスだったことは間違いなくて。世界のいろいろな人が私が役者であること、自分の仕事を知ってくれる。女優として、自分の演技を知ってもらえることほどうれしいことはないですよね。だから、日本でアリスさんと『パワーレンジャー』のプロモーションをできることは特別なことです。

広瀬:うれしい……!

――広瀬さん、ハリウッド進出はいかがですか?

ナオミ:絶対活躍できると思う!

広瀬:本当ですか(笑)!? いつかはしてみたいなとは思います。このあいだ、ワールドプレミアに出させていただいて、日本ではないところでの空気感の違いをすごく感じました。だから、「いつかまた行きたい」と思いました。

ナオミ:うん、うん!

広瀬:超頑張ります!

――おふたりは息がぴったりで、共通点が多そうですよね。

ナオミ:もしかして、私と一緒で家にいるのが好きなタイプ?

広瀬:大好き。漫画も!

ナオミ:私も大好き! すごくいいわよね。あと、私は業界にたくさん友達がいるタイプじゃないんですけど。

広瀬:一緒、一緒! 数じゃなくて、質だと思うんです。

ナオミ:本当にその通り! 何となく、やっぱり(広瀬さんと)似ているような気がするの(笑)。だから、私たちが、この役をやったのよね!(取材・文:赤山恭子/撮影:市川沙希)

『パワーレンジャー』は7月15日(土)より全国にて公開。

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