身長差21cmペア、二宮真琴/ボラコバがベスト4へ快進撃 [ウィンブルドン]

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 イギリス・ロンドンで開催されているウィンブルドン(本戦7月3〜16日/グラスコート)は大会9日目、男子シングルス準々決勝と、男女ダブルス準々決勝などが行われた。

 女子ダブルスで勝ち残っている二宮真琴(橋本総業ホールディングス)/レタナ・ボラコバ(チェコ)は、ともにグランドスラム優勝経験があるスベトラーナ・クズネツォワ(ロシア)とクリスティーナ・ムラデノビッチ(フランス)の強豪ペアに6-4 6-4と快勝。今年の全豪オープンでの穂積絵莉(橋本総業ホールディングス)/加藤未唯(佐川印刷)に並ぶグランドスラムでのベスト4入りを果たした。ウィンブルドンでは2013年の青山修子(近藤乳業)/シャネル・スケッパーズ(南アフリカ)以来の日本人の準決勝進出だ。

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 恋人同士なら理想的かもしれない21cmの身長差は、女子ダブルスではどうなのだろう。少なくともこの二人は、相当しっくりきているようだ。157cmの二宮と、178cmのボラコバ。年の差も10。日本とチェコの凸凹ペアの快進撃は、それぞれの"自己最高"の更新を重ね、ついにウィンブルドンの準決勝へ到達した。

 準々決勝の相手はノーシードながら、一人一人の実績を知れば多少は怯む。クズネツォワは2度の全豪オープン優勝を含めて17のダブルス・タイトルを持ち、全豪以外のグランドスラムでもすべて決勝に進出している。シングルスで強い選手がダブルスでも強いとは限らないが、シングルスで全米と全仏、2つのメジャータイトルを持つ32歳だ。ムラデノビッチはシングルスのグランドスラム成績はベスト8が最高だが、ダブルスで全仏オープンをはじめ16のツアー・タイトルを持っている。

 一方、二宮は昨年秋に東京でツアー・タイトルを手にしたものの(/青山)、グランドスラムは2回戦が最高。シングルスでのグランドスラム出場経験はない。しかし、「最初から最後まで積極的にいこうと思った。前でちょこちょこ動いてプレッシャーをかけていこうと思いました」という二宮に、気後れは感じられなかった。

 第1セット第7ゲーム、クズネツォワのサービスゲームをブレーク。第2セットは4-4まで両者ともブレークポイントも与えなかったが、第9ゲーム、ふたたびクズネツォワのサービスで0-40とビッグチャンスを握ると、最後はダブルフォールトで労せずブレークに成功した。

 ボラコバのサービスによるサービング・フォー・ザ・マッチ。30-0からボラコバのストロークのミスが2本続いたが、プレッシャーのかかるところで、二宮がネットで思いきりのいい動きを見せた。積極的にポーチに出てフォアのボレーでマッチポイントをつかむと、ウィニングショットも二宮がフォアのボレーを軽快に決めた。

「パートナーが緊張しているのが後ろから伝わってきたので、あそこは今日一番勝負に出たところでした」

 ボラコバはダブルス経験豊かな33歳とはいえ、グランドスラムではこれまでベスト16の壁を突破したことはなかった。硬くなったとしても不思議ではない。

 最後の場面に二宮の積極性が象徴されたが、試合を通して後ろのボラコバから安心感をもらっていたからこその発奮でもあっただろう。

 日本選手では4年ぶりのウィンブルドンの準決勝進出。ミックスダブルスで二宮のパートナーも務めた綿貫裕介コーチは、「日本の選手は前で動ける選手が多い。コンビネーション能力が日本人は高いのかなと思う。外国選手のパワー、大きな動きも魅力ですけど、俊敏さでは日本人が勝る。青山さんは、小さい選手はこうやって勝つんだといういい道標を示してくれたと思う」と分析した。

 青山は154cmで、全豪ベスト4の加藤も156cmと、日本女性のこの年代の平均身長158cmよりも小さい。小柄な選手の可能性をさらに広げたいという二宮。準決勝の相手は第9シードのチャン・ハオチン(台湾)/モニカ・ニクレスク(ルーマニア)だ。全豪での穂積と加藤、そして4年前の青山も果たせなかった決勝進出、そのチャンスは決して小さくない。

テニスマガジン/ライター◎山口奈緒美)

※写真は「ウィンブルドン」の女子ダブルスで、スベトラーナ・クズネツォワ(ロシア)/クリスティーナ・ムラデノビッチ(フランス)の強豪ペアを倒し、準決勝進出を果たした二宮真琴(橋本総業ホールディングス/手前)/レタナ・ボラコバ(チェコ)(撮影◎小山真司/テニスマガジン)