Photo by Foto-Rabe(写真はイメージです)

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 山本一郎(やまもといちろう)です。『週刊少年ジャンプ』(集英社)というと、個人的には「Dr. スランプ」ぐらいしか読んでおらず、大人になってからもほとんど漫画を読まないので何一つ思い入れは無いのですが、なんか騒ぎになっておりました。

 また、Facebook上で表現規制に賛成する弁護士たちが集まって議論している内容を読むと、そこまで目くじら立てなくてもと思う気持ち半分、表現規制したい人たちはこういう雰囲気の議論をしているのだなあという感慨半分といったところでしょうか。

 各方面の弁護士や有識者がこの問題を巡って様々な議論を延々と繰り返しておりますが、基本的には「べき論」や「印象論」のオンパレードであって、このような性的表現が具体的に性犯罪含め不適切な子供の成長に直結するというデータも特にないので、私は「やめろって言うならやめるにふさわしいデータや証拠持ってきてくださいね」という話で終わりだと思っております。

 私自身は表現規制反対派で、今回問題になったジャンプの表現の類が子供の教育に悪いと思っているならば、親の責任でそういうコンテンツを魅せない教育をすればいいんじゃないかと考えています。実際、私の子供たちがドラえもんで訳も分からずしずかちゃんの入浴シーンや、しずかちゃんが叫ぶ「のび太さんエッチ」という表現をぽかんと見つめているのを見て、これについて適切な回答を親として与えられるのか、また与えることが正しいのかという困惑をすることもあるわけであります。

 一方で、この原稿で書こうとしたことをそのまま、ろくでなし子女史がTwitterでぶっ放しておりました。一字一句、同意するものであります。

(´-`).。oO(エロ本やエロ漫画やAVを子供からひた隠そうとし、エロい妄想自体を否定するばかり。それらはみんなファンタジーなんだよ。実際の人間にするには相手の了承が必要で、避妊しないと病気や望まない妊娠するんだよ。と性教育する方にはなぜ向かないんだろ(´・ω・)

- ろくでなし子 祝デコまん無罪確定! (@6d745)

■エロ表現との適切な距離感とは

 適当な時期に適切な性表現に適度に触れていなければ、最適な性生活を人生で送るための知識が備わらない、というのはごもっともであります。いまさらになって梅毒が流行るのも子供たちが略取されて管理売春に走ってしまうのも、ひとえに社会や親・家庭のケアがどれだけ充分かが問われるのだといっても過言ではありません。

 しかしながら、このような話題がネットに放り込まれると、まるで乾いた薪の上に火がついたように有識者が湧いて出て右と左に分かれて、「バーカ」「お前こそバーカ」という騒動に毎回発展するのは何なんでしょうね。まあ、自分のことは棚の上にあげて申し上げるわけなんですが、毎回よく飽きねえなと思うわけであります。

 突き詰めれば、エロ表現、とりわけネットや雑誌での過激なものについて、許せないと言っている人たちの話はたいてい「青少年の教育に悪影響」という金科玉条を用意するけれど、でもそれって「単にお前が気に入らないことを、教育という錦の御旗を掲げて代弁しているだけじゃないのか」と思うわけであります。もちろん、子供がいなければ教育について語るべきではないと言いたいわけではありませんが、子育てしてみて分かるのは「子供は言われているほどそこまで馬鹿ではない」ということに尽きます。

 拙宅の小学生だって、精通はしていないけど「女の子をいじめてはいけないのだ」とか「エッチなことを女性教師の前で話してはならないのだ」などといったことは充分に弁えているように見えます。逆に、友達同士でのネタとしてうんこネタを披露したり、尻や陰部を開陳したりというのは日常的に行っているわけで、自分の人生を振り返って「そういうことをしたことのない小学校生活など考えられない」と思うからこそ、親として「まあ、ほどほどにしておけよ」と半笑いで諭すぐらいのことしかできません。

 やっぱり自分の小学校時代を思い返すと、エロ本を漁りに子供同士で古本屋練り歩いたり、エロ本立ち読みできたやつをヒーローにしたりしてました。世の中そんなもんじゃないかと思うんですけどね。子供ながらに、健全な女性に対する興味の発露は多かれ少なかれみんな持っていましたし、分別がつくようになるまでは親が見張ってるぐらいがちょうどいいんじゃないかと思うんですけど、どうでしょうか。

著者プロフィール


ブロガー/個人投資家

やまもといちろう

慶應義塾大学卒業。会社経営の傍ら、作家、ブロガーとしても活躍。著書に『ネット右翼の矛盾 憂国が招く「亡国」』(宝島社新書)など多数

公式サイト/やまもといちろうBLOG(ブログ)

やまもと氏がホストを務めるオンラインサロン/デイリーニュースオンライン presents 世の中のミカタ総研