Photo by BrianMcguffog(写真はイメージです)

写真拡大

 乳がんで死去した小林麻央さん(享年34)の早すぎる死に、「十分な医療を受けていなかったのではないか」という疑念が尽きない。こうした中、治療先に選んでいた医療機関が行政処分を受けるという由々しき事態が持ち上がった。7月4日発売の『女性自身』(光文社)が、小林麻央さんが通院していた東京・渋谷区内の内科クリニックが無届のさい帯血医療を行ったとして、厚生労働省から再生医療の一時停止命令を受けたと報じた。

「出生児のへその緒を使ったさい帯血の投与は、再生医療に効果があるとうたわれているものの、医学的に十分に立証されておらず、感染症のリスクもはらみます。厳しい管理下で行われなければならず、無届であれば医療ミスも起きかねません」(全国紙記者)

 当該の病院は行政処分を受けてのテレビ局の取材に対し、「行政処分を深く受け止め法令順守の上、診療に努めてまいりたい」と陳謝。不適切であったことを認めた。

 麻央さんはこの病院で、さい帯血投与ではなく水素温熱免疫療法を受けていたとされる。この聞きなれない新型療法の紹介文が波紋を呼んでいる。

■問題の病院がマンガを使い効能を猛アピール

 病院のホームページに記載された水素温熱免疫療法の説明によれば、高濃度水素水を用いた温熱療法のことらしく、院長自ら「H2アクアサーミア」と命名。40℃前後の高濃度マイクロナノバブル水素水が、あらゆるステージのがんに効果があるという。同クリニックでは、マンガまで使って、積極的に効能をうたっている。

「要は、水素水の入った風呂に入るだけのこと。ホームページの研究実績では、『80名のうち79名の方が、ガンの進行を遅らせることができた』とうたっていますが、遅れたかどうかは医師の主観にゆだねられる。水素水自体が、効果が科学的に証明されているわけではありません。」(前出・全国紙記者)

 2年8月に及ぶ闘病生活では、気功にまで手を出した麻央さん。回復に向けての飽くなき追求が、客観的な判断を狂わせ、早逝につながったのか。同じくがんに苦しむ人々のため、詳細な検証が望まれる。

文・真田栄太郎(さなだ・えいたろう)※1978年神奈川県出身。大学在学中にフリーライターとして活動を始め、『東京ダークサイドリポート』(ワニマガジン社)、『週刊宝島』(宝島社)、『Hot Dog Press』(講談社)などに寄稿。現在は週刊誌の記者・編集者として事件、芸能取材に奔走する