TBSが好調でフジテレビは大惨敗?”春ドラマ”成否の分かれ目(写真はイメージです)

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 先日、4月からスタートした“春ドラマ”がすべて終了した。今期の民放ドラマのなかでは、全話平均視聴率で長谷川博己(40)主演の『小さな巨人』(TBS系)が首位を獲得。全話の総合視聴率が21.3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区、以下同)を記録した。本作は警視庁本庁と所轄の確執や、警察内部の戦いを描いたドラマ。警察という巨大組織に翻弄される主人公や、周囲の人間ドラマなどが話題を呼んだようだ。

 また今期のドラマにおいて注目を集めたのが、波瑠(26)主演の『あなたのことはそれほど』(TBS系)だ。こちらは6月20日放送された最終回の視聴率が14.8%と、6話以降から2ケタ台を維持し続けた。特に主人公を演じた波瑠が不倫におぼれていく様を熱演し、彼女のこれまでのイメージを一新させた。さらに、夫役をつとめた東出昌大(29)の不気味な演技も注目を集め、視聴者をクギヅケにさせたようだ。

 シリーズもののドラマを除けば、どちらもTBS系のドラマが大健闘といった結果になったが、この特徴は最近じわじわとあらわれているものだという。

「TBSでは前クールも、松たかこ(40)主演の『カルテット』が話題を呼びました。こちらも『あなそれ』と似たような注目のされ方で、最初はさほど話題になることはなかったのですが、途中から尻あがりに視聴率が上昇しました。また昨シーズンは新垣結衣(28)主演の『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)のヒットもあるなど、各シーズンごとに良作を生み出し続けている傾向にあります」(芸能記者)

 7月から放送がスタートする“夏ドラマ”でも、こうした流れをつなげていくことができるかにも注目が集まりそうだ。

■夏ドラマも「捨て作」が否めないフジテレビ

 一方長く苦戦を強いられているフジテレビは、今回も「相変わらず」という評価が下されているようだ。今期においても、全ドラマが第一話の視聴率を越えることができないまま終了を迎えた。

 とくに月9ドラマの30周年と銘打って放送された、相葉雅紀(34)主演の『貴族探偵』(フジテレビ)も、初回視聴率は11.8%だったものの、その後2ケタとなることはなかった。また桐谷美玲(27)主演で、芸人のブルゾンちえみ(26)が圧倒的な存在感を見せつけた『人は見た目が100パーセント』(フジテレビ)は、全話平均視聴率が6.4%と惨敗に終わった。

「注目が集まる主演の演技力が批判されることもありましたが、大きな差は話の作りこみ方ではないでしょうか。視聴者の中には『話の先が見えすぎている』といった声もあがっており、相葉のファンか惰性で見ている視聴者しか残らないという印象を受けます。質より豪華出演者という印象も否めませんね」(前出・記者)

 ちなみに夏ドラマにおいても、フジテレビはラインナップからこの状況は脱却できないという見方が強いようだ。

「夏ドラマにおいても、シリーズが好評を博している山下智久(32)主演の月9ドラマ『コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』以外はすべて原作ありのドラマです。原作をうまく料理できれば問題はないのですが、近年のフジの前例から判断しても難しいのではとの見方が大半です」(前出・芸能記者)

 フジテレビでは過日、新たな人事が発表され亀山千広氏(61)の退任が決まっている。こうした上席の交代劇に追われて、夏ドラマ以降が“捨て作”とならないことを祈るばかりだ。

文・海保真一(かいほ・しんいち)※1967年秋田県生まれ。大学卒業後、週刊誌記者を経てフリーライターに。週刊誌で執筆し、芸能界のタブーから子供貧困など社会問題にも取り組む。主な著書に『格差社会の真実』(宙出版)ほか多数。