【六川亨の日本サッカー見聞録】高倉ジャパンの国内初陣。ポスト澤は出現するか

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▽今週末の9日は、熊本地震復興支援マッチとして開催される、日本女子代表vsコスタリカ女子代表の試合を取材に行く予定だ。昨年の4月に監督に就任した高倉麻子氏にとって、この試合が国内初戦となるのはちょっと意外だった。昨年3月、地元で開催して出場権を逃したリオ五輪アジア最終予選以来の国内マッチということになる。

▽チームもだいぶ様変わりした。2011年ドイツW杯と2015年のカナダW杯で優勝、準優勝、そして2012年のロンドン五輪で銀メダルを獲得した“なでしこジャパン”から、MF澤は引退して結婚。彼女以外にもMF宮間やFW永里(大儀見)、FW大野、MF川澄、DF岩清水、GK福元らはチームを去った。

▽変わって現在の主力は、106試合の最多出場記録を持つMF阪口(日テレ・ベレーザ)、94試合のMF宇津木(シアトル・レインFC)、DF熊谷(オリンピック・リヨン/85試合)、DF鮫島(INAC神戸/76試合)といったこれまでのメンバーに、今年3月のアルガルベカップに出場した選手に加え、3人の初招集選手を含むフレッシュな顔ぶれとなった。

▽その3人だが、FW上野(愛媛FCレディース。20歳)は昨年のU-20女子W杯で5ゴールを決めて得点王に輝いた。MF大矢(愛媛FCレディース。22歳)はU-23日本女子代表からの昇格組。そしてMF隅田(日テレ・ベレーザ。21歳)は、なでしこリーグを連覇中の日テレでレギュラーとして活躍しているなど、将来が楽しみな選手でもある。

▽彼女たち以外にも、なでしこリーグ得点王のFW田中(日テレ・ベレーザ)や、やっと代表で結果を出せるようになったFW横山(AC長野パルセイロ・レディース)らが名を連ね、現時点でのフルメンバーと言っていい顔ぶれだ。

▽高倉ジャパンの当面の目標は、来年に控えているフランスW杯(2019年開催)のアジア予選となる。もちろんW杯は通過点であり、その先に待つ2020年の東京五輪でメダル獲得が期待されている。その第1歩となるのが、今回のコスタリカ戦でもある。

▽澤という不世出の偉大な選手を失った日本女子代表ではあるが、今回のメンバーからポスト澤が育つことを期待したい。そして高倉ジャパンはどんなサッカーをするのか。こちらも興味の尽きないところである。【六川亨】1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた、博識ジャーナリストである。