最近は、スポーツジムでも中高年者を多く見掛けるようになり、「ケガや病を持たない健やかな人生を送りたい」と願う人たちが多くなっているようだ。
 「“健康長寿”を長いスパンで捉え、将来的にも、入院・介護を受けずにいられる体づくりをしようと考え始めている人が多くなっているのではないでしょうか」
 こう語るのは、健康ライターの深見純一郎氏だ。

 厚労省が2013年に発表した日本人の健康寿命は、男性が71.19歳、女性は74.12歳。ここで言う健康寿命とは「介護の必要がなく健康的に生活できる期間」のことで、つまり、他人の助けを借りずに自立して生活できる年齢だ。
 同省では4年ごとにこうした調査を行っているが、'13年の4年前は男性が70.42歳、女性が73.62歳だったので、それぞれ0.77歳、0.5歳延びたことになる。おそらく、今年発表される健康寿命も延びていることだろう。

 しかし、健康に生活できる年齢が長くなることは喜ばしいことだが、前出の深見氏はこう指摘する。
 「'13年で言えば、日本人の平均寿命は、男性80.21歳で、女性は86.61歳。つまり、健康寿命との開きが男性は9歳、女性は約12歳もあるということ。この間、死ぬまでは健康とは言えず、寝たきりや介護を必要とし、1人では生きられない状態ということです。もちろん個人差はありますが、やはり健康寿命の平均をメドに、“生涯”、あるいは“死”というものをより身近に考える必要があるのではないでしょうか」
 現在、厚労省では、この健康寿命を少しでも延ばすことを目標に掲げ、'22年の平均寿命を男性81.15歳、女性が87.87歳と推計。健康寿命の延び幅が平均寿命の伸び幅を上回ることを目指している。

 そこで今、言われ始めているのが「メタボの次はロコモ」。
 メダボリック症候群は、肥満や高脂血症、糖尿病、高血圧などの二つ以上が同時に出る状態で、寿命にも関わるものとして指弾されてきた。しかし近年では、それよりもロコモティブ症候群(運動器症候群)のほうが問題視されているのだ。
 「“運動器”とは、骨や関節、筋肉などのことで、ロコモティブ症候群は、年齢を重ねるごとにこれらの機能が衰えてくるというもの。その結果、転倒して骨折するなどして、介護が必要になってしまう。そうしたことを防ぐ意味でも、日頃から体力をつけるトレーニングを積んでおけば、予防にもつながるのです」(医療関係者)

 東京都内には、ロコモの認知向上と運動機能改善を目指す『ロコモチャレンジ!推進協議会』がある。ここは整形外科専門医が参加し、サポート企業との連携で、ロコモの正しい知識と予防意識の啓発のための広報活動を推進している。また、埼玉県松山市で行われるウオーキングイベント『日本スリーデーマーチ』や、厚労省主催の『スマート・ライフ・プロジェクトフェア』などに同協議会も参加。“ロコモトレーニング”などの指導を行っている。