人は驚くと、こんな顔をする。



この男性が無我夢中で食べているのは、







なんと「コオロギラーメン」。出汁はわずか2種類のコオロギだけ。豚も鳥も牛も入っていない、純度100%のコオロギ出汁ラーメンだ。ただし、香りや食感を楽しんでほしいと、ヒマワリの種やゴマ、ショウガは入れてあるという。お好みで、1人あたり約10匹の揚げコオロギもトッピングできる。

彼はわずか数分後…





みごと完食。埼玉は川越からやってきたというこの男性。朝9時から2時間、店の前に並んでいたという。

「テレビを見てから楽しみで楽しみで。怖いもの見たさで来たんですけど、とんでもなく想像以上に美味しかったです」と、ご満悦の表情で帰っていった。

店の外にはこの行列。



店内もご覧の通り大盛況。



人でにぎわうこの店は、国内10店舗、海外22店舗を誇る超人気ラーメン店「凪(なぎ)西口分店」。

日ごろから「昆虫食」の魅力を広めている慶応大学生・篠原祐太さんと、世界各国の食材を出汁に使うことでラーメンをユニバーサルフードにしたいという「凪」創業者・生田智志さんが意気投合し、2015年9月、初のコオロギラーメンを店舗で提供。このときは100食完売したという。

あの有吉が「確かに美味い」


そしてこの日迎えた凪とコオロギラーメンとのコラボ第2弾。昨年末、お笑い芸人の有吉弘行さんがバラエティ番組『ダレトク!?』でコオロギラーメンを試食した際、「美味い」と絶賛。さらに番組で今回の限定販売を告知した影響もあって、この日は朝から行列が絶えなかった。

ラーメンだけではない。粉末コオロギを水に一晩漬けて出した出汁で炊いたご飯に、コオロギの甘露煮を載せた「コオロギ飯」。



トノサマバッタの粉末をベースにしたトノサマプリン。やさしい口どけ。



タガメを、市販の純米焼酎に漬け込み、タガメの洋ナシのような独特のフェロモンの香りを楽しむ「タガメ酒」。アルコール度数25度。



そんな脇役たちも好評を博し、150食(念のために+20食は確保していたので実数としては170食)あったラーメンは…









と確実に減っていった。

興味深そうに写真を撮っているのは日本に暮らして3年が経つという、ドイツ人男性のトリスタンさん。貿易会社に勤務している。



「今回は友達に誘われて来ました。以前、油で揚げたコオロギはカンボジアでも食べたことがありますが、まったく新しい経験」と楽しそう。そして実食。



コオロキラーメンの生みの親の野望


コオロギラーメンの生みの親、篠原祐太さん。通称「地球少年」。4、5歳で虫を食べ始め、約3年前に虫を食べてきた過去をカミングアウト。現在、都内のシェアハウス「アオイエ」にて、ゴキブリやコオロギを始めとする約3000匹の虫たちと共に暮らしている。

その篠原さんと実際に作り上げたのが「凪 西口分店」小林敦店長。



今回、篠原さんの総評。
「前回と比べ、コオロギの食材としての美味しさを引き出せた自信があります。実際、お客様からも想像以上の好評をいただけました。国民食のラーメンとコラボする中で、昆虫食への抵抗を和らげ、昆虫食への間口を広げる狙いがあったが、そこは上手くいったと思います。
一方で、SNSなどでは気持ち悪いという反応も少なくありませんでした。どうすれば、勇気を出して挑戦したいと思ってもらいやすくなるのかは、昆虫食が抱える課題です。より美味しく、より魅力的な昆虫食を創り上げられるよう、引き続き試作に励みたいです!」

次に考えている計画は……。
「今回は、コオロギを使用した塩ラーメンでしたが、コオロギ以外の虫や、塩以外の風味でもできないか、コオロギラーメンの可能性にチャレンジしてゆきます。最終的には、限定ではなく、常時美味しい虫料理が食べられるお店もつくりたいなと考えています。また、ラーメンに限らずあらゆる昆虫料理に挑戦したいです。興味ある方は気軽に連絡いただけたら嬉しいです!ぜひコラボしましょう」

小林店長も「また別の虫ラーメンを企画してます!」と明かしてくれた。



次の衝撃まで楽しみに待つことにしたい。
(内堀たかふみ)