キャリアウーマンなら誰にも危険が?うつ病の原因と対策
昨年のクリスマスに過労を理由に新入社員が自殺で亡くなった事件。すごくやり切れない思いでいっぱいです。
その原因とされる“うつ病”は、働いている人の10%が抱えている悩みと言われていますが、うつ病に罹ってしまう原因って一体何なのでしょう?
「自分は大丈夫だ」と思っていてもいつの間にか罹ってしまっている、というのがうつ病ですよね。
そこで、薬剤師であり精神疾患患者の職場復帰支援の経験を持つ筆者が、なぜうつ病になってしまうのか? うつ病に罹らないためにはどうすれば良いのか? について、皆さんに分かりやすく解説します!
■うつ病の原因は?(過労と心労)
昨年末の過労自殺では、マスコミによると“長時間労働(過労)が主な原因”だと報道されていますが、厚生労働省により“長時間労働がうつ病などの精神障害の誘因になる”と判断されたのは2011年のことです。
最近では、こういった経緯もあって過労自殺という言葉をよく見かけますが、実際には心労による自殺の方が断然多いのです。
うつ病を誘発する多くの原因は何か?と言えば、「ストレス(心労)」にほかなりません。
自殺された方のTwitterが話題になっていましたが、パワハラ・セクハラなどによる精神的ストレスがうつ病を引き起こすことの方が当然多いということは皆さんのご存知ですよね?
まぁ、今回の事件の原因も多くは心労(上司のハラスメント)が原因だと筆者は考えているのですが……
とにかくうつ病の原因の多くは“ストレス”ということで、どんなストレスが良くないのか下に挙げます。よく“4つのストレス”と言いますが、現実論としてはかけ離れていますのでリアルな所でいきましょう!
一言で言えば“環境の変化”です。
女性で言えば、“妊娠・出産、子育て、更年期障害”のストレスで多くの方がうつ病に悩まされています。
仕事をしている方では身近なところで言うと“職場のパワハラ、セクハラ、異動、昇進、退職、単身赴任、不本意な仕事”が原因となる場合が多いです。
特に女性の場合にはうつ病の原因となる環境の変化が多くあります。しっかりと対策を知っておきたいですね。
■うつ病になりやすい人って?
うつ病は特に生真面目な人や気遣いが多い(社交的&気弱)人に罹りやすいと言われています。予防法はいろいろな情報が飛び交っていますが、ここでは筆者の蔵書の中から選りすぐった予防法をお伝えしたいと思います。
■うつ病予防の「7つのストップ」
筒井末春著『うつと自殺』(集英社新書)より、うつ病を予防する7つの心得をご紹介します。
(1)完全主義をやめる
(2)自分のミスに厳しすぎるのをやめる
(3)すべてをコントロールしようとするのをやめる
(4)余計な関わりをもつことをやめる
(5)自分の体調や健康を無視するのをやめる
(6)仕事をストップして自分や家族のために時間をとる
(7)自尊心が高いあまり助けを求めない、ということをやめる
これはカナダのうつ病の自助グループが掲げているものなのですが、日本はうつ病対策が遅れているので経験豊富な海外の取組をご紹介しました。
心労は心の持ち方ひとつで楽になれるものなのですね。こうやって日々のストレスを増やさない行動ってすごく大切だと感じます。そしてストレスを受けてしまった場合には、そのストレスをその日のうちに減らすことが重要ですね。
本を読む、音楽を聴く、おしゃべりを楽しむ、買い物をする、散歩をするといった、生活の中でストレスを軽減できることがあれば強い味方になってくれるはずです。
最後に、万が一「うつ病かな……?」と思っても心配しないでくださいね。現代医学ではうつ病は不治の病ではなく、適切な治療を受ければ治る病気です。
一番大切なことは“早期発見、早期治療”。勇気を持って病院にいくことが治療への近道ということになりますよ。
【参考】
※ 「職場でのうつ病に関する国際意識調査」 日本の調査結果を発表 - ルンドベック・ジャパン株式会社
※ 24歳東大卒女性社員が過労死 電通勤務「1日2時間しか寝れない」 クリスマスに投身自殺 労基署が認定 - 産經ニュース
【参考書籍】
筒井末春(2004)『うつと自殺』(集英社新書)
【筆者略歴】
※ ことだまこまち・・・薬剤師。薬学部を卒業後、製薬会社の学術職を経て、薬局・ドラッグストア業界で教育・採用などのHR業務を十余年経験。現在は独立し、薬剤師の転職支援をおこなう会社「薬剤師キャリア」を運営している。
【画像】
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