止まらないストレスによる「ドカ食い」…知っておきたい原因と対処法

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ストレス社会とも言われる現代。ストレスからの食べ過ぎが止められず、太ってしまうことが更なるストレスになる……という悪循環に陥ってしまう人も少なくありません。

美味しいものを食べることで本当の意味でのストレス発散ができればよいのですが、実は好きなものを食べるという行為は、その場しのぎに過ぎないと言っても過言ではないでしょう。

そこで今回は予防医療推進協会の理事長を務める筆者が、ストレス食いの原因と対処法を身体機能や心理学からご紹介します。

■ストレスで自律神経が乱れる

ストレスからの不調は、自律神経のバランスの乱れが大きな要因となります。私たちの体はストレスを感じると交感神経が刺激され、優位になります。通常、交感神経が優位な場合は食欲は抑制されます。しかし交感神経が優位になりすぎると、体は正常なバランスを保とうとして一気に副交感神経を優位にさせてしまうのです。すると衝動的な抑えられない食欲に駆られ、むやみやたらに食べてしまいます。

自律神経のバランスを保つには、規則正しい睡眠時間の確保をするため、できるだけ同じ時間に就寝し、仮に就寝時間が遅くなっても朝寝坊は1時間以内に留めるようにしましょう。

■ストレスによる“ドカ食い”は、セロトニン不足

“幸せホルモン”セロトニンが不足すると、同じ出来事が起きても大きなストレスを感じてしまいます。セロトニンの分泌量を増やすには、朝から日中にかけてできるだけ日光を浴びることや、同じ歩くのでもダラダラと歩くのではなく、少し早めの規則正しいリズムを意識して歩くことが効果的です。

また、セロトニンはアミノ酸の一種トリプトファンから作られるので、トリプトファンを多く含むマグロやカツオ、煮干し、卵などのタンパク質とトリプトファンからセロトニンを作る際に必要な、ビタミンB6を多く含むニンニクやサンマ、ピスタチオ、こんにゃく、ナイアシンを多く含むきのこ類やかつお節、たらこなどとマグネシウムを多く含む海藻類や大豆製品などを意識して摂ることが大切です。

セロトニンといえばトリプトファンという情報をよく見かけますが、トリプトファンだけではセロトニンは作られません。ビタミンB6、ナイアシン、マグネシウムもセロトニン合成には欠かせない栄養素なのでバランスのよい食事が不可欠だといえるでしょう。

■ストレスによる“ドカ食い”は代替行為

最後に、ストレスによるドカ食いを心理学的に見てみると、実は食べたいという欲求が強いわけではなく、他の“満たされない欲求”を穴埋めするための代替行為だと言われています。

本当は「ゆっくりした時間がほしいのに、慌ただしい日常に追われて自分の時間が作れない」とか、「人間関係を円滑にしたいのに、上手くできない」などの食以外の心の隙間を、食べることでごまかそうとしているのです。

しかし代替行為はいくら繰り返しても、本当の欲求が満たされることはないので延々と続いてしまいます。本当の原因が分からないまま食べ続けるのではなく、1度ゆっくりと自分と向き合い、自分が満たしたい欲求とは何なのかを探ってみるのもいいでしょう。

今回は3つの原因と対処法をご紹介しました。できるところからアプローチし、ひとりでの解決が難しいと感じた場合には早めに受診することも視野に入れておいてくださいね。

【参考】

※ 総務省認証 予防医学学術刊行物「ほすぴ」成人病予防対策研究会発行

【筆者略歴】

SAYURI・・・長年の医療業界での経験を生かし、健康管理士、食育インストラクター、心理カウンセラーとして執筆活動や講演活動をする傍らNPO法人予防医療推進協会の理事長も務める。

【画像】

※ Kaspars Grinvalds / shutterstock