台湾系LCC、経営多難…外資系が市場独占の可能性も

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(台北 10日 中央社)台湾系格安航空会社(LCC)が窮地に立たされている。トランスアジア(復興)航空系の格安航空会社、Vエア(威航)は今月1日から休業。チャイナエアライン(中華航空)系のタイガーエア台湾(台湾虎航)も厳しい経営を迫られており、早ければ来年にも台湾のLCC市場が外資系に淘汰される恐れが出てきた。

▽LCC利用増も台湾系は苦戦

交通部(交通省)民用航空局の統計によると、台湾の航空市場全体に占めるLCC利用者の割合は2012年の時点ではわずか3%だったが、現在は13.5%まで拡大。昨年には日本や韓国、東南アジア路線を中心に470万人が手軽な空の旅を楽しんだ。

台湾系LCCは2014年9月と12月にタイガーエア台湾とVエアが相次いで運航を開始。低運賃と台湾の特色を打ち出した機内食などで攻勢をかけたものの、いずれも業績は低迷。特にVエアは親会社のトランスアジア航空が2014年7月と2015年2月に墜落事故を相次いで起こした影響などを受け、就航から2年弱で運休を決めた。

タイガーエア台湾は懸命の舵取りを続けているが、同社に出資するチャイナエアラインなどとの間には経営方針をめぐり確執があるとされる。来年4月に満了を迎えるチャイナエアラインとシンガポールのタイガーエア間で結ばれている契約が更新されない可能性もあり、今後の見通しは不透明だ。

▽克服すべき課題多く

タイガーエア台湾が生き残れるかどうかは、企業に増資の意思があるかないかと語るのは、成功大学の戴佐敏副教授。ただ、開南大学の葉文健副教授は、台湾系LCCが東南アジアや日本の後塵を拝し、経営規模の小ささや国内市場がないことでコストが高く、外資系との競争で不利だと経営の難しさを指摘する。

民用航空局の関係者は、価格設定や効率的な運航、利用者の実態把握などIT技術を活用し、いかにコスト抑制を実現するかが重要だと台湾系LCCが克服すべき課題を投げかけている。

(汪淑芬/編集:齊藤啓介)