ヤンキース・田中将大【写真:Getty Images】

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右前腕部の張りで27日は登板回避、2日に先発の可能性も…

 ヤンキースは29日(日本時間30日)、本拠地でのレッドソックス戦に5-1で勝利したものの、ワイルドカード圏内のオリオールズが勝利したため、プレーオフ進出の可能性が完全消滅した。チームが“終戦”を迎えた中、米メディアはエースとして名門球団を牽引したが田中将大投手が、今季最後のマウンドに上がるかに注目。右前腕部の張りのため、26日(同27日)のブルージェイズ戦の登板を回避した右腕は来月1日(同2日)のオリオールズ戦に先発する可能性が残されているものの、ジョー・ジラルディ監督は慎重な姿勢を貫いてる。

 8月1日のトレード期限までに主力を大量放出しながら、ルーキー捕手のサンチェスら若手の台頭で、シーズン最終盤までポストシーズン進出を争ったヤンキース。しかし、結果的には最近4年で3度目のプレーオフ逸に終わった。ジラルディ監督は試合後、「あと少し届かなかった。ここまでハードに戦ってきた。(敗戦の事実を受け入れるのは)とても難しい。とてもストレスフルなシーズン。誰もが責任を背負っている」と振り返った。

 プレーオフ進出の可能性がなくなり、米メディアが注目しているのは、エースの動向だ。田中は今季、31試合に先発して14勝4敗、防御率3.07。199回2/3と、自身初の200イニングの大台にわずか1/3回と迫っている。また、防御率は3.06のマイケル・フルマー(タイガース)、アーロン・サンチェス(ブルージェイズ)に0.01差の3位。2日に今季最後のマウンドに上がることが出来れば、200イニング到達と最優秀防御率のタイトル奪取という2つの大きな目標を達成できる可能性がある。

 球団公式サイトは「タナカは木曜日に行われたブルペンセッションを滞りなく済ませ、レギュラーシーズン最後の登板に向けて、もちろん用意はできていると語った」と紹介。本人はすでに右前腕部の状態は万全と感じているようだが、指揮官は「その点に関しては一日一日、見定めていきたい。現状、土曜日の先発投手は決まっていない」と慎重な姿勢を崩さなかったという。

200イニングと防御率タイトルかかるも「ヤ軍は登板を回避させるかもしれない」

 もちろん、チームのプレーオフ進出がなくなった中、マウンドに上がって状態を悪化させ、来季に響くようなことがあれば元も子もない。記事では、田中自身がチームの方針に「理解を示している」と言及。通訳を通じて「受け入れますし、理解もしています」と話したことも伝えている。一方で、自身初の200イニング到達については「シーズン初めかスプリングトレーニングで触れたと思いますが、その数字は自分が達成したいゴールの一つです」と意欲を示したという。

 また、ニュージャージー州最大のニュースサイト「nj.com」も、エース右腕についての特集記事を29日の試合前の時点で掲載。「もしヤンキースがポストシーズン進出を逃した場合、多額の投資をしているタナカに対してのリスクを避けるために、登板を回避させるかもしれない。タナカもその決断に関しては理解を示している」と、球団公式サイトと同じ論調で報じている。ヤンキースが、大型契約を結ぶ田中に状態を悪化させるようなリスクはわずかでも負わせたくないと考えるのは当然かもしれない。

 ただ、日本人初となる最優秀防御率のタイトルを自らの手でつかめる可能性があることも確か。記事では「田中の3.07という防御率はリーグ3位であり、ともに3.06を記録しているサンチェス(ブルージェイズ)とフルマー(タイガース)とは僅差となっている。この点も田中が最後の登板に望んでいる理由なのかもしれない」と指摘している。

 ヤンキースはどのような判断を下すのか。田中の200イニング到達と最優秀防御率獲得はなるのか。大きな注目が集まる。