「枕が変わると眠れない」と"マイ枕"を持参する人を知っています。旅館とかホテルにある、他の枕じゃダメ。本人の肌に合い、一蓮托生を誓ったお気に入り枕がいい! "マイ枕"は、言わば"自分専用枕"と言い換えることができるかもしれません。

鈴鹿8耐での優勝経験を持つプロライダーが監修


一口に枕と言っても、色々な種類があります。とは言え、こんな枕は聞いたことがなかった。株式会社プレジール(群馬県高崎市)が7月7日より予約発売を開始する『SPEED Air(スピード・エアー)』は、日本初の"ライダー専用枕"だそうです。


この枕の開発には、鈴鹿8耐での優勝経験を持つプロライダー・青木宣篤選手が関わっています。



では、まずは"ライダー専用枕"が誕生した経緯について。
1998年、青木選手は事故により重度のムチ打ちを患い、首が全く動かなくなってしまいました。治癒するまで約10日を要し、治っても2か月後に同じ症状が起こってしまう。しかも、その間隔は徐々に短くなっていきます。
数万円の枕を購入して怪我の改善を願うもすぐに枕は合わなくなり、首痛は再発……。そんな時に同社の枕に出会い、サーキット転戦時の青木選手の必需品となりました。その後、「私以外に困っている方もいるはず!」と青木選手が思い立ち、"ライダー専用枕"の企画が立ち上がったのです。

開発時、プロライダーから山のような要望が


この『SPEED Air』は、実際に枕で悩んだ経験のある青木選手が監修しています。だからこそ開発時、青木選手からはメーカーへ切実な要望の数々が出されました。
●青木選手は背中から頸椎にかけて背骨が一本のパイプのようにまっすぐになっているので、首だけでなく背中から支えると心地良い。
●低めの枕が好み。でも固い枕は嫌いなので、ふんわりと優しく支えてほしい。
●ふんわりしていながらも、高さはしっかり保ってくれる枕にしたい。
●首部は簡単に高さ調整ができるエアサポートシステムで支え、緩やかなカーブを保ちたい。首部分はやわらかく、それでいてしっかりさせる。
●背中はできるだけ薄めに。サイドはさらに薄めにし、寝返りが打ちやすいように。
●中綿がつぶれた場合に備え、補充して高調整できるように。
●汗を素早く吸い取り、洗濯もできて乾きやすい素材に。

さすがのこだわり! "ライダー専用枕"を開発するために、上記のような大量のリクエストが提出されました。ということは当然、完成までに膨大な時間を要してしまいます。頭部のやわらかさ・首への圧迫と肩部のバランス・寝返りのしやすさなど、なかなか思い通りの域に到達しなかったためですが、青木選手によるモニタリング、ダメ出しの繰り返しを経て、『SPEED Air』が遂に形となりました。



パソコンやスマホのせいで首を痛めた人にもいい


以下が、"ライダー専用枕"として開発された『SPEED Air』の特徴です。
(1)人により異なる首部の自然なラインを保つため、エアサポートシステムを内蔵。繊細なアスリート用の首に合わせたウレタンフォームを採用し、頭や首だけでなく肩から自然な身体のラインに合わせて就寝できる。
(2)肩部は綿を抜くことで、厚み調整が可能に。筋肉量に合わせ、布団と枕の隙間を埋めることができる。
(3)下面は調整しやすいつぶ綿の2層構造。柔らかく頭部を包み込む。

そんなこの『SPEED Air』を実際に使って寝ると、体にどのような変化が起こるのでしょう?
「肩口にベロをつけた枕は、頸椎と頭だけで支える枕に比べ頭部と肩を支えながら頸椎を支えてくれ、頸椎に長い間負担がかかりません。首部の筋肉の緊張・ストレスをその日のうちにほぐし、首や肩の疲労から解放します」(株式会社プレジール・木榑浩之さん)

ということは、もしかしてライダー以外の人が使っても心地いいんじゃないの?
「一般の方がご使用しても、全く問題ございません。特に首を痛めた方やパソコン、スマホなどで下ばかり向いている方など、首や肩に違和感のある方にもお勧めできます」(木榑さん)
そりゃそうですよね。アスリートみたいな繊細な人たちが満足するのだから、一般人にとってはかなり贅沢な仕上がりとなっているはずです。

もちろん、今では青木選手自身がこの『SPEED Air』を愛用している模様。
「無理難題を乗り越えて完成したこの枕を、今では決して手放しません。サーキットへ行く際には、必ず持参します」(青木宣篤選手)



それにしても、やっぱり「ライダー専用」という謳い文句がおもしろい。昔、コネタで「焼さんま専用醤油」の記事を書きましたが、なぜか不意に思い出しました。
(寺西ジャジューカ)