マーリンズ・イチロー【写真:Getty Images】

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1998年日米野球で来日→対戦「鋭いライナーを飛ばしまくっていた」

 メジャー通算2984安打を放ち、3000安打の金字塔まで残り「16」本に迫ったマーリンズのイチロー外野手。26日(日本時間27日)に本拠地でのカブス戦に「1番・センター」で2戦連続先発したが、出塁したのは第5打席の四球のみで4打数無安打と快音は響かなかった。

 だが、18年前の1998年、MLB代表として日米野球で来日したメジャー通算162勝左腕アル・ライター氏の心には、当時25歳だったイチローのバット音が響き渡ったようだ。試合を中継する「FOXスポーツ・フロリダ」の実況解説として放送ブースに加わったライター氏は、3回にイチローが第2打席に立つと、懐かしげに18年前の思い出話にふけった。

 メジャー16年目のシーズンを戦う今では、イチローの「殿堂入りは当然」という声が方々から聞こえる。だが、実況アナが「27歳でマリナーズに移籍したイチローですが、それ以降3、4年連続で素晴らしい成績を残しても、殿堂入りするにふさわしい成績を残せるか、懐疑的な人が多くいました」と語る通り、当初は「メジャー入りが27歳ということを考えると、そこまで長くプレーできないだろう」という見解が大半を占めていたそうだ。

松井秀喜に注目が集まる中、メジャーの目を引いたイチローの打撃

 ここで一言物申したのがライター氏だ。1998年当時メッツに所属していたライター氏は、日米野球の参加メンバーに選ばれて来日。シリーズ第3戦に登板をし、イチローとも対戦している。当時のメジャー関係者は「みんな東京ジャイアンツの松井(秀喜氏)のことばかり話していた」そうで、ライターさんも当然その輪に加わっていた。
 だが、来日してから日本代表チームの練習や試合の様子を目の当たりにしたメジャー関係者の目を奪ったのは、他でもないイチローだったという。「対戦結果は覚えていませんが、鋭いライナーを飛ばしまくっていた」「こいつは打てると直感した」と、当時の強烈な印象を語っている。「その2年後にメジャーにやってきて、ご覧の通りだ」と、自分の目に狂いがなかったことを強調した。

 日米通算安打数では、メジャー歴代最多安打記録4256本を持つピート・ローズを超えたイチローは、メジャー通算安打数を2984本とし、次の1打でサム・ライスと並んで通算安打数では歴代30位タイとなる。早くからイチローの才能を認めていたメジャー通算162勝左腕でも、まさかこれだけ長いキャリアを持ち、そして18年後に自分がイチローの出場する試合を解説することになるとは思わなかったのではないだろうか。