コーヒーショップ「タリーズ」で個展が開ける。最大一年半待ちのひそかな人気ギャラリー

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ある日個展の案内をもらった。会場は「タリーズコーヒー新宿2丁目店」。2Fのスペースをギャラリーとして使うことができるらしい。どうやったら借りられるのか? どんな人が使っているのか? タリーズのギャラリー担当者と、実際に個展を行うアーティストに取材をした。



どうやったらタリーズで個展ができる?


申し込み方法は電話、メール、もしくは新宿2丁目店にて直接問い合わせ。空いている月に先着順で予約を入れる。現在は1年待ちとなっているそう。中にはリピーターになる人もいるとか。展示期間は基本1ヶ月間、値段は無料だ。

ジャンルは問わないものの、事前にポートフォリオなどをお店側が確認し、雰囲気に合うかチェックする。絵画や写真など平面作品が多いそう。また、概要書も渡されるので、展示物の管理や展示方法などを確認する。あくまでコーヒーショップなので、来店する際には最低でもドリンク一杯を注文することを忘れずに。



コーヒーとアートを楽しんで欲しい


店長の高橋さんに、詳しい話を聞いた。

――開催の経緯を教えてください
素晴らしい作品を作っても、展示する場がない、費用が高いなどの理由で、展示を断念されるアーティストの方も多くいらっしゃいます。そこで、場所だけでもご提供させていただき、当店にご来店されるお客様にも、アートを見て楽しんでいただける空間を演出していただければと思い、ギャラリースペースの貸し出しを始めました。



――アーティストの方へのメッセージ
展示する場所にお悩みの方、多くの人に作品を見て欲しいという方、ぜひ、当店のギャラリースペースもご利用ください。本店は、新宿でもトップクラスの来店者数です。サラリーマン、ご家族連れ、海外からのお客様など、さまざまな方が来店されます。

ここでの作品展示を通じて、お仕事のつながりができた方もいらっしゃいます。コーヒーを飲みつつ、プレゼンの場にしていただくのも良いと思います。私も芸術大学で学んだ経験があり、皆様の作品に対する愛情にはとても共感しています。これからも素晴らしい作品を持って来ていただけるのを楽しみにして、お待ちしております。



一年半待ち! アーティストにとってもタリーズでの展示は魅力


5月1日(日)より同店で個展を行う、粟田洋介さんにもお話を聞いた。コーヒーショップでの開催に合わせ、タイトルも『コーヒーブレイク』となっている。



――タリーズで作品展示ができることはどのように知りましたか?
たまたま来店したときに絵画が飾ってあったので、ここで展示ができるのか、直接お店の方に聞きました。僕の場合一年半待ちました! 多くの方が来店するので、作品がたくさんの人の目に触れることが魅力です。

――やっぱりコーヒーはお好きですか?
はい。コーヒー飲みながら制作することは多いですが、特に今回に限ったことではありません(笑)。

――どんな作品を展示予定ですか?
リサイクルのべニア板にアクリル絵の具で描いた作品です。フレームもリサイクルの木です。カラフルで大き目の、目に留まりやすい作品が多いです。



――作品制作の際にこだわったことなどがあれば教えてください。
お客様はコーヒーを飲むのが目的でしょうから、作品に気づかない方も多いと思います。だから楽しくポップな感じで、存在感のある作品にこだわりました。楽しく明るい雰囲気が作れたら、と思っています。アートを飾ることで、コーヒーブレイクをより楽しいものにできたらいいですね。



いつも立ち寄るコーヒーショップ。ふと目をやるとアート作品が展示されている。普段なら気にも留めないかもしれないが、そこに自分が描いた作品が展示できるとしたらどうだろう? タリーズに入ったら、アートにも目を向けてみよう。いつか、あなたの絵が飾られる日がくるかもしれない。

(篠崎夏美・イベニア)