埼玉県坂戸市にある若葉駅から徒歩約20分の場所に、日本とは思えない建物がある。それは、TVドラマ「西遊記」のロケ地としても利用された、『聖天宮(せいてんきゅう)』という、台湾の伝統宗教"道教"のお宮(日本でいう神社に近い)。

なぜ坂戸市に建てられたのか? 気になって調べたところ、台湾出身の康國典(こうこくてん)大法師が、若い頃に患った不治の病を「三清道祖」(人間界の運を司る神様)に祈願して完治したことから、同じように多くの人に祈願出来る場所を建てたいと思っていた。

ある日、夢で神様から「お告げ」があり、名称・方角・佇まいまでもお告げがあったというのだから驚きである。

お宮は日本にある道教の中でも"最大規模"ということだ。さらに、カラフルな色を使った豪華絢爛な造りも魅力と聞けば、実際に行って確かめてみたい気持ちに駆られてしまったので行ってみることにした。

田園風景と聖天宮のアンバランス感は異様…




若葉駅から一直線に歩いていくと、有名企業の工場地帯があり、それを抜けると田園風景が広がる。



心の中で「あれ?道間違った?」と思ってしまうレベルだが、気にせず直進すると遂に「天門」と呼ばれる入口に到着。受付で拝観料300円を支払い中に入ってみる。

神様と皇帝の建造物にしか使われない「黄色い屋根瓦」と「龍」






天門の先にあるのは「前殿」。日本のお寺や神社では見られない"色使い"や高さ5mもある観音石から施された「九龍柱」の彫刻は圧巻。

こうした龍が聖天宮には5000頭以上もあるとのことだが、さすがに全てを見つけるのは至難の業だ。




内装も隙間がないぐらい細かく画が書かれ天井にも装飾がされている。しかも、天井は1万点以上の楠木で出来た彫刻に金箔を施し、何と釘を使わずに組まれているのだ。



前殿の入り口に立つ「四大天王」は、2.5mの高さがある楠木の一枚板から彫像されたとのこと。

本殿ではスタッフが無料で歴史や参拝方法を教えてくれる





本殿では台湾人のスタッフが歴史や台湾の参拝方法について教えてくれる。聖天宮は昭和56年から15年掛けて造られ、当時は若葉駅もなく雑木林を開拓しながらの途方もない作業だったそうだ。



「日本のお寺や神社よりもカラフルなのが特徴で、供養ではなくお願い事をする場所です」(男性スタッフ)

線香も小さい頃にキョンシー映画でみたような長さで、普段見慣れているお寺や神社とは確かに違う。

予約をすれば"コスプレ撮影会"も出来る


最後に見て欲しいポイントを教えてもらうことにした。

「壁に書かれた画や色々な場所にある彫刻は見てほしいです。鼓楼と鐘楼に登れますので、天気が良い日は登ってほしいですね」(男性スタッフ)



本殿前には「九龍網」と呼ばれる1枚岩から掘られた彫刻。


「鼓楼」と「鐘楼」は15時になると鳴るようになっている。

「あとHPから予約すればコスプレ撮影も出来ます」(男性スタッフ)

確かに珍しいロケーションで撮影したいと思っている人は多いはずなので、コスプレが好きにもオススメしたい場所ということだ。
(カネシロコウセイ)