32歳。エクゼクティブの恋愛と経営哲学「我々を恋愛から救うものは、多忙である。」

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結婚、離婚、別居婚、同性婚など、価値観が多様化し、複雑化するライフスタイルにおいて、もはや、結婚は正義ではない。今回素敵な独身男性に出会ったことでスタートしたこの連載。東京で生活している、30代独身男性の、仕事に対する価値観や、恋愛Tipsを聞いていきます。

就職する気がなかった21歳の立教大学生が、29歳で役員に抜擢されるまで。

第一回目は、29歳の時に当時最年少でインターネット総合企業サイバーエージェントの取締役に抜擢された山内隆裕氏。グループ会社CyberZの代表取締役も務める。若くしてビジネスで成功した彼の内面を探るべくインタビュー。

-今日はよろしくお願いします。-

普段このような取材を受けないので緊張しておりますが、どうぞよろしくお願いいたします。

ー早速ですが、29歳で役員ってすごいですね。元からそんなに意識高かったのですか?-

いえ。全く。私は、立教大学で、バスケのフリースタイルをやっていたんですが、もともと就職せずにショーバスケの世界で戦おうと思っていました。当時は都内のクラブでパフォーマンスしたり、音楽番組に出演したりしていました。スポンサーもついていたので、好きなことしながら月10万円くらい稼げてればいいやと思っていて。周りが、就職活動しだしたときも、特に焦りはありませんでした。

-ショーバスケで生計を立てるって可能なんですか?-

どうでしょうねぇ・・・収入は月10万円程度。でも、好きなことをしながらお金もらえるなんて最高なのでは。単純にそう思っていました。たまたま、大学の就職説明会で、サイバーエージェント社長の藤田が来ると耳にして、話を聞きに行ったのですが、そこで人生の方向が180度変わりました。そこからは、怒涛の日々ですよね。

来月キャッシュアウト?!コーヒーを落として怒鳴った過去。

-一番大変だったことはなんですか?-

入社して3年で、子会社CyberZの社長を任されたのですが、設立後2年目の年末、このままでは翌1月に倒産することが発覚したときですね。社員も少しずつ増えていたところでしたが、キャッシュフローが回らなくなったことに気づき目の前が真っ暗になりました。

責任ある仕事を任せてくれた会社と、信頼してくれる社員に申し訳なくて。仕事終わりの12月27日から1月3日までの8日間、誰とも口をきかず、家族や友人からの連絡を絶って、一人で閉じこもって悩み考え抜きました。

-当時27歳で、その経験はさぞかし辛いですね。-

年初めの1月4日。意を決して会社に行きました。考え抜いた末、いつしか守りに入っていた自分に気づき、初心に戻りベンチャーらしく勝負してみようと気持ちを切り替えたんです。その気持ちを、当時、取締役を任せていた社員に打ち明けようと朝早くから待っていたのですが・・・

待てどくらせどやってこない。始業前いつも通りに出社してきた彼に意見を聞こうと思って「何か考えてきた?」と聞いたら、「何のことですか?」と。

思わず、コーヒーを落としました(笑)

私が苦しくてひとりきりで悩んでいたとき、同じ悩みを共有できる唯一の相手だと期待していた分、かっとなってしまったんです。

当時は、危機意識が圧倒的になかったのかもしれません。けど、そもそも、彼は26歳。会社を自分が背負っているという自覚なんてなかったんです。彼に責任はありません。

そういうことを踏まえて、僕も彼も意識を再度入れ替え、腹をくくることができたので、いい経験です。それからは、彼も意識が変わって、今ではすっかり頼り甲斐のある右腕になってくれましたね。

エグゼクティブ・山内氏の恋愛観。女性が良かれと思ってしがちな◯◯は、実はNG??

我々を恋愛から救うものは、理性よりもむしろ多忙である。

-これだけ若くて、上場企業の役員だなんて、選り取りみどりだと思いますが、どんな女性がタイプですか-

いえいえ、そんな立場でもないですが、しいてタイプをあげるなら「多忙な女性」がいいですね。
僕は、普段、秘書に分単位で予定を管理されているのですが、だからこそ、プライベートでは、そっとしておいてほしいというか。男性が忙しいことを気遣って料理作ってくれたり、掃除してくれたりといったように、気を使ってくれる女性は多くいると思うんです。

だけど、秘書から毎日「社長、次は、このミーティング、30分後に別のミーティングが別のフロアで入っています」というように分刻みでスケジュールを管理されているので、家でもテキパキしている方だと会社のデジャヴかと感じてしまうと思うんです(笑)ありがたいのですが、先周りして、用意されればされるほど、自由がなくなるように感じてしまうのです。

-それは、盲点ですね・・エグゼクティブからすると、逆にそういう気持ちになるんですね・・世の中の女性は、良かれと思ってしているのでしょうが。-

人によってそういう女性が好みという方も多くいるので、それぞれ好みがあると思いますが、私の場合はそのように感じてしまいます。仕事で忙しいからこそ、自分のために色々とやってくれていると思うのですが、それが私の場合は逆効果だったりします・・・

お客様や社員との会食なども含めて、仕事にかける時間が多い分、パートナーに対してかけられる時間が僕にもそんなにない、となると、自分一人の時間を大切にできたり、パートナーとの予定以外にも自分の予定が入っている女性の方が合います。芥川龍之介の本に書いてあったのですが、、「われわれを恋愛から救うものは、理性よりもむしろ多忙である。」と。その通りだなと。時間があれば、いろいろ良からぬことを想像してしまったり、疑心暗鬼にもなってしまいますからね。

-なるほど。他にはありますか?-

あとは、仕事で気が張っているので、できれば完璧に家事炊事するようなタイプよりは、素朴な方が居心地いいですね(笑)。天然というか、空気感がふんわりしている女性。

普通の感性を持っていることも重要です。例えば、
「ありがとう」と「ごめん」がちゃんと言えるなど、当たり前のことをちゃんとできることはとても大切だと思っていて、今後も、その感覚は、ずれたくないと思っています。

ーなるほど。では、エクゼクティブな山内さんが女性に求めるのは、「多忙」「天然」「感覚が普通であること」の3つに集約されると。顔は関係ないですか?-

僕の強みは、いいところを伸ばすところなので(笑)上の3つが備わっていれば嬉しいです。

-ちなみにご結婚は?-

結婚は、タイミングだと思っています。僕の場合、社員もいるので、業績好調で見通しが立っているときにしたいと思っています。するとしたら、35歳頃なのかなぁと漠然と思っています。

エグゼクティブ・山内的勝負レストランは?

-山内さんが女性をもてなすときのモットはありますか?ー

女性に対してだけではないですが、相手の立場になって考えるということですね。嫌いなもの、好きなものもそうですし、その週に食べるものや、その店に行ったことあるかどうかについてもさりげなくヒアリングします。どうせ食べるなら、初めてのお店の方がテンション上がるじゃないですか?せっかく一緒に時間を過ごすなら少しでも、盛り上がって欲しいなと思ってお店を選びます。

最近でお気に入りの店は、西麻布の鮨『麻葉』です。去年オープンして間もなく、大将はまだまだ若いですが、腕は確実ですし、何度もリピートしています。大将とはもう4年来の仲で自分の辛い過去も理解してくれているので、そういう意味でも信頼を置いているお店の一つです。

西麻布の鉄板焼き『寺』も好きですね。スタイリッシュな店内でお忍び感もありますし、「生うに焼ご飯添え」は必ず喜んでもらえます。雲丹の量が、ごはんを凌駕していますから(笑)

山内隆裕(やまうち・たかひろ)

サイバーエージェント取締役 兼 CyberZ代表取締役社長
1983年生まれ。立教大学卒業後、サイバーエージェントに入社。2009年、モバイルマーケティング会社CyberZ設立と同時に代表取締役に就任。2012年より、サイバーエージェントのスマートフォン広告事業管轄、取締役に最年少で就任。