「お主もワルよの〜」と政権与党がのたまったかどうか…。全国銀行協会の佐藤康博会長(みずほFG社長)が10月15日の記者会見で、1998年以降自粛してきた政治献金について「企業の社会貢献の一環として重要性を有している」とゴーサインを出した。これを受けて3大メガ金融グループは、年内にも献金を復活させるという。
 だが、ちょっと待った。メガバンクの金利はネット銀行の10分の1以下ではないか。社会貢献と偉そうなことを言うなら、まずやるべきは預金者への還元だろう。
 「銀行業界はこれまで『対等な競争条件が確保されていない』と脅威である郵貯に対して“縛り”を要求し、預入限度額の引き上げに反対してきた。その郵政3社が株式を上場し、民営化されたタイミングでの政治献金の復活です。しかも大手銀行にとって自民党は融資先。それも無担保融資ですから、選挙の度にカネを用立てる“現代の大名貸し”とまで言われてきた。今回の献金復活は実質的な債権放棄というべきもので、政治を買収するようなものです」(金融ジャーナリスト)

 銀行業界が政治献金を自粛したのは、バブル崩壊が引き金となった金融危機の際に、銀行に対して総額13兆円という巨額の公的資金が注入されたからだ。政府の支援を受けた銀行が政権与党に政治献金をすれば、国民が不信を持つのは当然と目された。
 「不良債権を処理するために公的資金を受け入れた大手行は、ほぼ返済を終えています。一方、安倍政権は法人税の実効税率を5年間で約35%から20%台にする方針を打ち出し、昨年末にまず2年間で3.29%の引き下げを決めました。アメもふんだんに用意され、財界の総意として政治献金の環境は整ったということです」(大手行幹部)

 全国銀行協会が言う銀行の役割『経済社会の心臓』は、『政権与党の心臓』の間違いではないのか。