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今年3月に中国政府が正式発表したことに伴ない、市場では、「一帯一路」(海と陸のシルクロード)構想への注目度が高まっています。「一帯一路」とは、中国を起点に中央アジアを経由して欧州に至る「シルクロード経済ベルト」(一帯)と、中国沿岸部から東南アジア、インド洋を経て欧州に繋がる「21世紀海上シルクロード」(一路)の双方において、鉄道や道路、送電網や港湾などのインフラ整備を実施していくというものです。実現すれば、65ヵ国、44億人をカバーする巨大経済圏(シルクロード経済圏)が誕生することとなり、域内の貿易促進や雇用創出だけでなく、中長期的に経済的な結びつきが強まることでヒト、モノ、カネの移動が活性化するなど、経済効果の波及が期待されます。

中国にとって、「一帯一路」構想は、経済協力の強化というだけでなく、シルクロード経済圏の活性化による輸出拡大に伴ない、足元で問題視されている中国国内の過剰生産能力を緩和させ、国内経済の成長に繋げる狙いがあるものと考えられます。中国は今後、「一帯一路」構想を活用し、鉄道やエネルギー、建築、通信設備といった分野の輸出を促進させるとともに、域内貿易の活性化を後押しするため、自由貿易協定(FTA)の締結を進める方針を明らかにしています。なお、中国のシルクロード経済圏との年間貿易額は約10年で2倍以上になると期待されています。

中国は、「一帯一路」構想に伴なうインフラ開発を資金面で支援するため、昨年末に約4.5兆円のシルクロード基金を独自に創設し、4月には初めての案件としてパキスタンの水力発電所の建設に投資すると発表しました。また、世界銀行やアジア開発銀行(ADB)に続く国際機関として、現在アジア諸国や豪州、英国など57ヵ国が参加を表明するアジアインフラ投資銀行(AIIB)の設立準備を進めており、2015年中に正式に始動させ、インフラ整備の後押しの一助とする方針です。今後、シルクロード基金やAIIBによるインフラ整備支援計画が明確化し、「一帯一路」構想の実現性が高まるにつれ、中国への波及効果に対する期待も高まるものと見込まれます。

(※上記は過去のものであり、将来を約束するものではありません。)

(2015年6月17日 日興アセットマネジメント作成)

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(日興アセットマネジメント)