22日、東京ゲームショウで基調講演するソニー・コンピュータエンタテインメントの久夛良木健社長(撮影:吉川忠行)

写真拡大

「どこでもドアに近いものができる」――。21日から始まった「東京ゲームショウ2006」の基調講演で、ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)の久夛良木(くたらぎ)健社長は、技術革新の先にある未来像について語った。

 久夛良木社長は「1983年のファミリーコンピュータ発売から約20年で、ゲーム機のプロセッサのクロック周波数が4桁、計算能力は5桁、メモリ容量は6桁も向上した」と技術革新のスピードについて述べ、「イノベーションが優れたコンテンツを生み出している」と現状を分析した。その上で、インターネットの普及について触れ、ネットワーク上に集積された巨大な計算パワーを有効利用すれば、家庭のゲーム機や携帯電話のような小さな端末でも、現在のスーパーコンピュータ並みの便利さを享受できるようになると予言した。

 同社長は、現在のインターネット環境は不十分としながらも、「この10年間より次の10年間は、はるかにおもしろくなる」とコメント。ゲーム機の特長はリアルタイム性とリアルレスポンス性でパソコンを大きく引き離しており、パソコンがメインのインターネットの世界にゲームが融合することで、PS3を初めとするコンピュータエンターテインメント業界が今後の新しいパラダイムをリードしていくと話した。

 ゲーム機の進化が開発者とユーザーの垣根を低くするということにも触れた。ユーザーが自分の周りの環境を写真や動画でアップロードして、データなどをユーザー同士で共有できるほか、これまで独自で情報を入手していた開発者が、ユーザーからの情報をもとに効率的に開発を進めていくことになるという。中でも、地図のデータベースは注目すべきアプリケーションの1つとし、「世界中の人が集めたデータを地図上で処理すれば、リアルタイムの快適さで、あちこち飛び回ることができる。どこでもドアに近いものができる」と夢を語った。【了】

■関連記事
東京ゲームショウが開幕

■関連リンク
東京ゲームショウ