30日夕方、東京都港区の新高輪プリンスホテルで、楽天との覚書締結を会見で報告する井上弘TBS社長(撮影:吉川忠行)

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30日、楽天<4755>と覚書を締結し、資本・業務提携に関する協議に合意したTBS<9401>の井上弘社長の一問一答は以下の通り。

―― 楽天との協議入りに合意した理由は?

 統合提案の撤回のほか、協議期間中に楽天のTBS株保有比率を、みずほ信託銀行に信託するなどで、10%未満まで低下させるという合意が大きな理由。何度も提携しようと以前から言っており、協議を開始しようということ。

―― 業務提携の内容は?

 Eコマース展開、オンライン放送、ポータルの活用などが中心になる。放送と通信の融合は、言うのは簡単だが、商売にしようとするとなかなか難しい。楽天の提案にはまだ目新しいものはなかったが、協議でいい案が出ればと思う。

―― 楽天のTBS株保有が、野球協約違反ではないかということについては?

 協約に従うべき、という以前のスタンスのまま。

―― 協議期間が3月末までとのことだが、一方の意思で打ち切れるか?

 法律論ではいくらでもあるだろうが、覚書は紳士協定。一方的に打ち切ることはないと信じている。互いの立場を重んじると信じている。

―― 打ち切りになった場合、楽天の意思だけで、信託した株を引き出せるか?

 紳士協定を守るという立場で考えている。勝手に、ということはないだろう。

―― 楽天のビジネスモデルや業績など、どのようなイメージを持っているか?

 それを含めて、11月末に答えるつもりだったが、提案が撤回され、これから協議を始めることになったので、発言は控える。イメージ批評を今の時点でするのはいかがなものか。

―― 一連の騒動で、TBS自身の資産の有効活用や業績についてどう考えたか?

 株主価値の向上に甘さがあった。会社の企業価値の向上に貪欲であるべきと反省しており、魅力ある企業にするために、いっそうの努力をしたい。

―― 野球協約の遵守に解釈があるが、楽天はTBS株を何%まで持ってもよいと思うか?

 協約について言う立場にない。個人としては株はダブって持つものではないと思っている。

―― 株式の取り扱いについて、売り先など提案するか?

 現段階で予言めいたことをいうのはよくない。大株主として敬意をもって接する。

―― どうして、楽天と別々に会見を開くのか?

 今日はこれから協議を開始することを決めただけ。定例会見だ。新しく何かをやるという発表なら一緒にやるかもしれないが。

―― 勝ち負けで言うと?

 統合提案にはびっくりしたが、可否について検討しただけで、駆け引きをした感覚はない。勝ち負けではない。

―― マスコミが「休戦」「和解」など言っているが、どうか?

 みなさんが言っているだけ。これまでは協議に入らず、検討していた。今日が交渉のスタートなので、「休戦」でも「和解」でもない。

―― 覚書の延長は、一方が決めるのか、両方が決めるのか。

 信頼関係で話し合うのだから、話し合いで決める。

―― 業務提携委員会はいつ開かれる?メンバーは?

 覚書を締結したばかりで決まっていない。メンバーは未定だが、業務提携関連のチーフは城所賢一郎取締役、財務関連は財津敬三専務。

―― 統合提案から約50日を振り返ると?

 スタッフが真摯に、休みも取らず検討してくれた。頭が下がる。よいスタッフを持ったと感謝している。

―― 楽天の存在は数ある提携先企業の1つか、それとも気になる対象か?

 提携対象として、他社と等距離とみる。大株主だから気になるのは確か。

―― 統合提案から、三木谷社長と一度も会わなかった理由は?

 申し出を検討するだけで、協議の必要がなかったから。【了】

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