中国海軍軍事学術研究所の張軍社研究員は中国メディア「環球時報」の取材に対して26日までに、中国最新鋭の052型ミサイル護衛艦について「将来、作戦能力と搭載できるミサイル数は、日本の『こんごう型』に基本的に相当する」と述べた。(写真は環球時報の26日付報道の画面キャプチャ)

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 中国海軍軍事学術研究所の張軍社研究員は中国メディア「環球時報」の取材に対して26日までに、中国最新鋭の052型ミサイル護衛艦について「将来、作戦能力と搭載できるミサイル数は、日本の『こんごう型』に基本的に相当する」と述べた。

 日本の海上自衛隊が保有するこんごう型ミサイル護衛艦は、1番艦の「こんごう」が1993年に就役。こんごう型の後継としては、あたご型1番艦の「あたご」が2007年に就役した。2015年1月25日現在、こんごう型は「こんごう」、「きりしま」、「みょうこう」、「ちょうかい」の4隻が、あたご型は「あたご」、「あしがら」の2隻が就役中だ。

 張研究員は、2003年から12年にかけて6隻が進水したとされる052C型(蘭州級)ミサイル護衛艦について、「米国のアーレイ・バーク級、日本のこんごう型、最新のあたご型が(満載時)排水量が9000-1万トンであるのに比べてやや小さく、搭載できるミサイル数も少ない」と説明した。052C型の満載時排水量は7000トンとされている。

 中国では1997年進水の深セン(051B型)、02年に進水をはじめた052B型(広州級)以降のミサイル駆逐艦が「第3世代」とされている。

 張研究員は「中国の第3世代国産ミサイル駆逐艦の総合作戦能力は大きく向上した」と述べ、「将来、052D型ミサイル駆逐艦の作戦能力と搭載ミサイル数は日本のこんごう型に、基本的に相当する」と説明した。

 張研究員は、小型艦であるフリゲート艦については「中国海軍の艦の性能は比較的先進的で、米国の(オリバー・ハザード・)ペリー級ミサイルフリゲートよりも性能は遥かによい」などと説明。最新鋭の054A型(舟山級)は、フランスのラファイエット級よりも高性能と説明した。

 張研究員はさらに「ただし、米国は少しずつ小型のフリゲート艦を退役させ、沿海域戦闘艦で置き換えようとしている。排水量は3000トン程度でフリゲート艦の大きさに匹敵」、「主に対潜水艦や特殊作戦を任務とし、防空能力は強くない対空ミサイルは近距離の物で、対艦ミサイルにもそれほど威力はない」として、「054A型とは比べるべくもない」と述べた。

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◆解説◆
 海上自衛隊のこんごう型護衛艦は、米国国外での初のイージス艦。弾道ミサイル迎撃用のSM-3も装備されている。あたご型には第2世代イージスシステムが搭載され、ステルス性への配慮も進んだ。SM-3は今後、改修の上で装備する予定だ。

 米国のオリバー・ハザード・ペリー級ミサイルフリゲートが建造されたのは1975年から88年、仏ラファイエット級は1番艦ラファイエットが92年に進水した。なお、仏ラファイエット級は輸出型が台湾に6隻売却された。

 上記記事は、中国の軍艦の優秀さを強調しているが、張研究員の真意であったかどうかは不明。張研究員が挙げた日本を含めての外国の軍艦の就役は、比較の対象とした中国の「新鋭艦」よりも10年以上古い型だ。つまり、張研究員は中国の軍艦建造技術が10-20年以前の西側諸国のレベルに追いつきつつあると主張したことになる。

 ただし、中国の軍艦建造のテンポは極めて早い。中国の最新鋭の軍艦については「世界で最も優れているわけではないが、世界で最も大量に建造されている」との言い方もある。(編集担当:如月隼人)(写真は環球時報の26日付報道の画面キャプチャ)