来季から広島に復帰する黒田博樹【写真:田口有史】

黒田復帰で想定される広島の先発ローテは?

 ビッグニュースが飛び込んできた。12月27日、米MLBのヤンキースからフリーエージェントとなっていた黒田博樹投手の広島復帰が発表された。2日遅れの大きなクリスマスプレゼントに、カープファンは歓喜したに違いない。

「悩み抜いた末、野球人生の最後の決断として、プロ野球人生をスタートさせたカープで、もう一度プレーさせていただくことを決めました」

 こうコメントした右腕は、年俸16億円とも言われるメジャーのオファーを蹴り、4分の1の額の年俸4億円(金額は推定)で、8年ぶりに古巣へと戻る決断を下した。ドジャース、ヤンキースでメジャー通算79勝、5年連続2桁勝利、そして、日米通算182勝という輝かしい実績を誇る黒田の復帰で、広島カープの24年ぶり優勝が、一気に現実味を帯びてきた。

 黒田の復帰で、想定される来季の広島のローテはこうだ。

 まず、ポスティングシステムでのメジャー移籍が見送られ、残留の決まったエース前田健太がいる。そして、新人王の大瀬良大地、12年の新人王で7勝に終わった今季の巻き返しを図る野村祐輔が続く。助っ人のクリス・ジョンソンはメジャーでは未勝利ながら、ツインズ傘下3Aで10勝をマーク。この4人に、黒田を加えた5人が、ローテの軸だろう。

 6枠目は、今季シーズン中盤から4勝をマークした福井優也、今季16試合に先発したルーキー九里亜蓮、戸田隆矢と篠田純平の左腕2人、今季中盤に加入したデュアンテ・ヒースなどが争うことになる。

先発投手陣の白星は「60」に届くか

 シーズン前の星勘定通りにいかないのが世の常ながら、それでも、夢を抱くという意味で、ソロバンを弾いてみよう。

 前田、黒田は本来の力を発揮すれば、最低でも10〜15勝は出来るだろう。2人で25勝は欲しい。2年目の大瀬良も、今季と同じ10勝はノルマ。野村とジョンソンにも2ケタ10勝を期待したいところだが、2人で15勝なら、御の字か。6枠目に挙げた5投手で10勝を稼げれば、先発投手陣の白星は、60個に乗る。

 以下を見て欲しい。

 14年 巨人55勝 ソフトバンク57勝
 13年 巨人59勝 楽天63勝
 12年 巨人62勝 日本ハム55勝
 11年 中日53勝 ソフトバンク79勝
 10年 中日57勝 ソフトバンク58勝

 これは、過去5年のセ・パ両リーグの優勝チームの先発投手の勝利数である。見て分かるように、V球団は、11年の中日を除いて、55勝以上をマークしており、60勝を超えると、優勝が大きく近づいてくる。今季の広島は51勝だった。

 当然、先発投手の勝利数には、打線や救援投手陣の出来、負傷離脱など、様々な要素が絡んでくるため、この通りいくわけではない。それでも、黒田の加わる来季のカープ投手陣には、60勝という数字も不可能ではないという期待を抱かせる。

 メジャー流出が危惧されたエース・マエケンはチームに残り、衰えの見えない黒田が加わる。24年ぶりの優勝へ。2015年、広島にこの上ないチャンスが到来している。